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白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(467)2024年11月松竹新喜劇公演観劇記

2024-11-20 18:48:23 | 松竹新喜劇


一本は友人の洋ちゃん主役の「砂糖壺」、もう一本は八十やん(曾我廼家八十吉)が演出に回って植栗(一蝶)が宇田信吉に挑戦する新喜劇の名作「人生双六」 こりゃあ見に行かざるをなるメエと初日だったが支配人に無理を言って席をお願いした

入口で配られた番付は「蓬莱」がスポンサーだ これは植栗がずーっとアルバイトしていた店だ よかったな
客席はいくつかの小団体でほぼ一杯、文化庁の「劇場、音楽堂等に於ける子供舞台芸術鑑賞体験支援事業」という長ったらしい団体もいた なんでも子供は無料、同伴者は半額と言うことだ

「砂糖壺」は昭和56年9月中座 母親は酒井光子、極道息子に曾我廼家文童(茂林寺文福、舘直志合作)この役をひっくり返して放蕩を繰り返す母親を洋、孝行息子に藤山扇治郎とした

これが失敗だ(演出わかぎゑふ)
洋の役は幼い頃からショウダンサーに憧れていたが実らす 夫と二人で和菓子屋を営んできた しかし夫に先立たれてから商売に見向きもしないで酒に溺れ、その上ギャンブルにもハマり店の金を持ち出しては負け、近所の人々にも借金下押し質屋にも質草のヤマ とこれは彼女が出てくるまでの近所のおばちゃん(出口、泉)や客の吉岡(一蝶)や質屋の兄妹(天笑、いろは)たちの証言だけで表現される

そのうち洋が酔っ払って得意のダンスをしながら店に帰ってくる
実は洋は大金を拾ったのだ
(2本目の「人生双六」を知っている僕は思わず目を疑った、どちらも大金を拾う話だ)
そこからいわゆる新喜劇版「芝浜」と言われる芝居が繰り広げられるのだが 芝浜が嫁の芝居と言われるように これは息子の扇治郎の芝居だ 折角、洋をゲストに呼んて芝居どころもない役にしてどうするのだ
結局ゲストを生かすところのない話になってしまった ギャンブル仲間のママ役の川奈美と妹役の千草明日翔が存在感を見せた

それにこの和菓子屋は老舗らしいが街並みの真ん中にあり 入り口は下手にあるため 上手からでる人物は店の前を横切らねばならない
こんなセットにした意味が解らない

おまけ
新喜劇とOSKとの繫がり

新喜劇発足時には新喜劇には女優は天外の嫁
浪花千栄子、石河薫ら数人だった あとはみんな女形だった 浪花千栄子を若い女優を鍛えようと自分の役を勉強のために彼女らにまわし自分は脇役に甘んじた その中のOSK出身の九重京子に天外の子が出来、浪花は劇団を去る
その後OSKからは勝浦千浪、四条栄美、桜国子(佐久良国子)村山左近らが座員で活躍した

さて2本目のお目当ての「人生双六」は大金を拾う話は「砂糖壺」とだだ被りなのは充分承知 八十吉の演出は昔寛美に教えられた通りのオーソドックスさで こんなふうに芸は伝承して行くんだと言わんばかりであった

一場終わりの屋台
二人 あっちゃ向いてこっちゃ向いて(向く)
屋台に「五年経過」と出る
二人顔を見合わす
(木)
暗転 となると思うがちょっと違ったような

やはり良く出きた話で何度観ても泣ける

一蝶は寛美色からの脱皮の意欲が見えるが
あとは思い切った冒険が必要かも知れない

浜本の嫁役のいろはは浜本の義母の役まで一人で担って良くやっている 義母役の役者が劇団にいないので こうなったのだが 工員が嫁と宇田信吉を二人きりにするのは見た目にも無理がある程度である

これは男優でも同じこと 高田次郎さんの代わりの役者がいないので 甲斐君に回ってきた
しかし完全なコピーでは甲斐君が演る意味がない それにしてもそっくりだった

大衆演劇ではあるが昔 里見劇団がこの芝居の音楽をビートルズのLETS IT BEで通したらしい いつまでも長唄の勧進帳でもあるまい









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