インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

『GMO』 神に逆らう、遺伝子組み換え作物!?

2009-10-09 22:41:29 | 映画や小説、テレビなど
 何か面白いことがないかなあと、このインディオ通信がクリックされるのであろうが、残念ながら、このブログは面白くない。昨日の「ドル安の原因」、受けたのは、日頃小難しい経済ニュースに関心がある人たちだけかも(?)。ちなみに、「2008年の終わり3か月で、200年分のお金を印刷している計算になる」(Noh Jesu(ノ・ジェス)氏と認識経済)(ということは…)

 ところで今、『GMO』(Genetically Modified Organisms 遺伝子組み換え作物)なる小説を読んでいるが、これも『ワイルド・ソウル』と同じように、南米が取り上げられ、アンデス山脈のボリビア(コカノキが栽培されている)が舞台となっている。
 
 
GMO(上)
服部 真澄
新潮社

2003年7月発売(古いですか)


 よくスーパーで豆腐とか買うときに「遺伝子組み換えでない」とか表示がある。一体何のことか良く分からぬが、悪魔のようなイメージがあるため(?)、多くの日本人から敬遠されているようだ。小説でも語られている。

 人間は、今では神を真似て、新しい生物をも創っている。自然には存在しないはずだった生物が、品種改良の域を超えて、次々と創られている。遺伝子操作技術を用いて、生物に、自然では交配できない種の遺伝子が組み込めるようになった。バクテリアから植物へ、植物から動物へ、遺伝子を移すことが理論的に可能になった。人間からヤギへ。人間からバクテリアへ……。

 あらゆる種の交雑が、試される可能性が出てきた。
 魚の持つ遺伝子を植物に導入することも、可能になった。カレイの遺伝子を持つジャガイモが創られた。

 …なぜジャガイモカレイを創るかって? カレイには、体内の水分が凍らないようにするタンパク質があって、極寒の海域でも生きていられる。そこで、あるエンジニアが思いついたのだ。カレイの遺伝子をジャガイモに組み込んで、凍らないジャガイモが出来たら、寒い地方でも作付けできるだろう、と。


 農業は害虫やら雑草との闘いであるからして、害虫の天敵から遺伝子を拝借した作物(害虫抵抗性作物)やら、除草剤で死なないバクテリアの菌から遺伝子を拝借した作物(除草剤耐性作物)が創り出されたわけである。

 そんな不気味な作物は食べたくもないが、この技術は農業ビジネスで大金に化ける可能性を秘めているので、カーギルなどの穀物メジャーはばら撒こうとしたがっている。

 穀物メジャーは、農家を奴隷にする「種子支配」を目指している。農家には収穫量が多い種子を創って売り、さらに相性のいい除草剤や農薬も抱き合わせで売り、さらには融資やら、作物の購買も手がけるわけだ(う~ん、農協もまさにそうではないか!)

 かくして、穀物メジャーは、GMOの規制の緩い、権力者に賄賂を渡せるような外国で、植民地支配を展開するわけである。

 かつてのイギリスフランスなどの列強による植民地支配(帝国主義)が、今では単に多国籍企業に取って代わっただけなのかもしれない。マネーを得るために、資本家が、バナナやらブドウ、小麦や大豆などの「商品作物」を栽培させるわけである。

 ちなみに、アメリカでは農業のほか、石油、IT・ハイテク、航空宇宙が重要産業であるようだ。
昔、『原油帝国主義』がありましたねぇ(バイオエタノールやっているようです)。

 この『GMO』は、ただのミステリー小説ではなく、ワインやらブドウやらコカインやら、薀蓄たっぷりの国際情報小説で、コロンビアやらボリヴィアに滞在して詳しく調査したのであろう。植物が好きなようで、農作物に関してためになる知識が色々手に入った。

 ボリヴィアは貧しい農民が生活していくためにコカノキ(手間がかからず、高値で売れる)が必要なようだが、しかしそれはアメリカの金持ちのコカインに化けるので、現地にアメリカの麻薬取締局(DEA)が来て調査したり、代替作物(ブドウでワイン?)を提案したりしているようだ。10$のコカの葉が、アメリカでは6000$に化けるわけで、中間業者(コカイン・カルテル)が如何に搾取しているかが分かる。

 ミャンマーの山岳地帯とかでも同じことが言えますね(ヘロイン版で)