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~わさび農家の山しごと、山暮らし通信~

伊豆、下田のわさび農家です。
緑の山々と田畑の広がる、のどかな山里での暮らしを父ちゃんと母ちゃんが語ります。

『ある精肉店のはなし』

2013年10月27日 00時41分47秒 | その他


『ある精肉店のはなし』 (纐纈あや監督)の完成試写会に行ってきました。
大阪貝塚市にある家族経営の精肉店の話。
牛の肥育から屠畜、精肉を代々続けてきた一家。
2012年春、長年続けてきた屠畜が最後のときを迎えます。

張りつめる屠場の空気。
くずれおちる牛。
皮を剥ぎ、、内臓を取り出し、肉を切り分けていく。
先ほどまで生きていた「生命」が、食べる糧「肉」へと変わっていく。
映像の美しさに、音の美しさにぐいぐいと引き込まれていく…。

家族四代で精肉店を切り盛りし、にぎやかに食卓を囲み、
祭りに燃え上がり、そして戦ってきた…。
時に笑い、時にほろりとし、そして温かさが満ちている映画。
「生きるとは いのちをいただくこと」。
見終えて一週間。まだまだ夫婦で余韻に浸っています。

上映は東京・ポレポレ東中野にて11/29(金)”いい肉の日”より。
ぜひ多くの方に見ていただきたいドキュメンタリー映画です。
わが家、今度は子どもと一緒に行きたいと思っています。


                     母ちゃん
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タイムスリップ?

2012年08月19日 07時35分04秒 | その他


わが家から車で10分ほどのところに、
伊豆急行線の最寄り駅、「稲梓駅」があります。
四方を山で囲まれた小高い丘の上に佇む駅は無人駅。
コンビニはもちろんのこと、売店も電話もなく、
乗り降りする乗客もまばら…。
特急電車が止まる事もなく、派手な観光施設もない…。
しかし、知る人ぞ知る鉄道写真の撮影スポットなのです。



伊豆急行線内で一番高いという高さ21m、長さ91mの鉄橋を通り、
駅に滑り込む電車。
山を抜ける風は涼やかで、セミしぐれが響き渡ります。
降り立ったと同時に田舎に帰ってきた事を感じさせるそんな素朴な駅。
私たち家族の大好きな場所なのです。



この夏、この懐かしくレトロな駅だからこそできる事をしてみようと
電車の「お見送り」をしています。
子ども達は白のランニングに麦藁帽子、むしかご。
父ちゃんは作業着に腰にはタオル。
母ちゃんは手ぬぐい頭巾にもんぺ姿…。
まるでひと昔前にタイムスリップしたかのような家族5人。



帰省や観光で下田を訪れ、再び東京に帰っていく人たちの乗った
「東京行き」電車に手を振ります。
「いってらっしゃい」「また来てくださいね」との気持ちを込めて…。

嬉しそうに手を振りかえす人。
驚いたような表情で見つめる人。
もちろん気づかない人も…。

ちなみに一昨日は下田に滞在していらした皇太子ご一家が夕方にご帰京。
家族揃って、稲梓駅での「お見送り」に行ってきました。
いつになく高速で駆け抜ける特急踊り子号。
果たして気づいていただけたか…、定かではありません。

人の心をホッとさせるようなぬくもり。
私たち家族が大好きな駅で、そのぬくもりを伝えられたら…。
ささやかな願いです。
家族の気が向いた時に神出鬼没に現れる「お見送り」。
稲梓駅を通る時にはどうぞご注意くださいませ。

                     母ちゃん
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「原発」県民投票・静岡、始まりました

2012年06月18日 20時47分41秒 | その他


梅雨入りし、ただいまアジサイの見頃です。
「原発」県民投票・静岡の署名期間が始まりました。
正式には、「中部電力浜岡原子力発電所の再稼動の是非を問う
県民投票条例の制定を求める」署名です。
今回、母ちゃんはこの署名を集める「受任者」となりました。

各地に原発が存在する日本ですが、静岡県にはどこの原発よりも
問題視されている「浜岡原発」があります。
御前崎市の海岸にある浜岡原発。
直下地震の確率が向こう30年で88%という、
いつ東海地震が起きてもおかしくない地に立地しています。
地震の際には高さ21mという津波が予想されており、
更に敷地内の地盤が非常に弱く、断層群の上を
冷却系配管が横断しているという事実。
そして風下には東京を中心とした大都市があり、20km圏内に東名・新東名、
新幹線などの大動脈が走っているのです。
今、もし東海地震が起こったら…。
考えただけで恐ろしくなる状況にあります。

県内の市町村では既に5/13~7/11の署名活動が始まっているのですが、
下田市では市長選挙が予定されていた為、
本日、6/18~の周回遅れのスタートとなってしまいました。
市長選挙も結局行われず、無投票となったのですが…。



2012年が明けてすぐに、東日本大震災で被災された知人の
お見舞いに行ってきました。
父ちゃんと母ちゃん、小3だった長男の3人で2泊3日、
車中泊しながらの旅でした。
岩手県花巻まで北上し、釜石に出て大船渡、陸前高田、気仙沼、
南三陸、石巻、仙台、名取、亘理と南下し、福島県に入る行程。

それまでテレビや新聞で見聞きし、理解しようと努力してきた
つもりでしたが、現実は想像をはるかに超えていました。
学校や住宅、商店、鉄道、道路のあったはずの町。
穏やかな日常があったはずの町が、跡形もなく消えている。
それが1つや2つの町ではなく、青森~福島の海岸線の数々の町が
もぎとられたように消えてしまっているのです。
凄まじい惨状に、発する言葉も見当たりませんでした。



上の写真は今から約7年前、長男が2歳だった時に訪れた
宮城県石巻市長面海水浴場での一枚です。
北上川の河口に位置する長面海岸は、
白い砂浜と松林が弓なりに広がる美しい海岸でした。
その長面地区は震災により地区全体が地盤沈下。
砂浜も松林も、ホテルも住宅も何もない、海になっていました。
そして海岸から車で5分ほどの北上川のほとりにある大川小学校では、
多くの児童が津波の犠牲となって亡くなりました。



その後福島県に入り、南相馬から先に南下する事ができなくなり、
飯館村を抜けて帰路へと向かいました。
「日本で最も美しい村」に認定されていた飯館村。
なだらかな丘陵が続き、冬、葉を落とした雑木林には
やわらかい陽の光が降り注いでいました。
かつて子ども達が駆け回り、
村人が稲作りや畑仕事に勤しんでいたのどかな村。
静まりかえった村の一角に人がいました。
小学校と思われる小高い丘の回りで、
白い防護服に身を包んだ人々が除染の為に落ち葉を集めているのでした…。
今でもその光景が頭から離れません。

放射能は目に見えないし、臭いもしない、体に刺激を感じることもない。
しかし人体へ計り知れない影響を与え続け、
土地へ降り注いだ放射能は留まり続ける。

東日本大震災を経験した私たち大人は
もっともっと考えなくてはいけないし、動かなくてはならない。
生き方に責任を持たなければならない。
本当に子ども達のことや、そのまた先に続く生命のことを思わなければいけない。

東北から帰ってきて半年。
息子は特別何も言わないし、私たちが聞く事もありません。
しかし感じるのです。
子どもは黙って見ている。
大人たちがどのように行動するかをじっと見ている、と。
だから、今できることはやらなければならない、と思っています。

                     母ちゃん
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チェーンソーカービング 2

2011年12月02日 06時51分14秒 | その他


5年前、約1週間をかけて紀伊半島を旅したことがありました。
深い深い森の中をひた走り、キャンプをし、
熊野古道や高野山の厳かな空気に触れ、
土地の方々には本当に親切にしていただいた、思いで深い旅です。

その時に和歌山県龍神村で”チェーンソーカービング”を初体験しました。
2時間ほどかけてつくったのは小さなフクロウ。
今でもわが家の庭の中央に飾られています。
そのときにお世話になった城所ケイジさん
が、日曜日に伊豆市 天城ドームでのイベントでカービングショーを行いました。
4年連続チェーンソーカービングの世界チャンピオンになったというすごい人で、
何の変哲もない丸太が城所さんの手にかかると、フクロウや鷲、熊や龍などに姿を変えます。

この日の制限時間は1時間。
ショー開始とともにチェーンソーの音が鳴り響き、
木の粉を巻きあげながら丸太が削られていきます。



一体、何になるのか…。
黒山の人だかりで、大人も子どもの興味深々です。



少し、形が現れてきたでしょうか…。



正面から見るとこんな感じ。
見事な角を持った”鹿”です。



ゴツゴツとした角やふさふさの体毛、引き締まった顔つきなど、正に”野生の鹿”。
これだけ仕上げるのに僅か1時間。
実は城所さんのショーを見るのは初めてだったのですが、
その芸術性の高さに感動でした。

森の中に入ると樹齢何十年もの大木が間伐され、そのまま放置されてるのを見かけます。
木に限らず周りを見回すと宝物が一杯転がっている事に気がつきます。
命あるものを大切にする気持ち。こんな時代だからこそ私達は真剣に考えなければならないと思います。


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                                  父ちゃん
 

天然●●●

2011年10月12日 22時53分23秒 | その他


稲刈りも終え、山の空気もぐんと冷えてきました。
柿の実もきれいに色づき、辺りは秋の気配に包まれています。

突然ですが、これは何の実か分かりますか?
パンやケーキ、クッキーなどのお菓子、また様々な料理に使われるもので、
独特の食感と香ばしい香りが大好きです。

答えは…、「クルミ」です。
都会育ちの母ちゃんにとってクルミは、
「お店で売っている食材」、「剥いて売っているもの」でした。
しかし、数年前に近くの山道を散歩中に、
偶然クルミの実を見つけたのです。

夢中で拾ったクルミを家に持ち帰り、
しばらく水に浸けた後にタワシで擦って乾かすと、
あの芸術的な形のクルミが現れました。
小粒で、でもがっしりと堅くて、キラキラ輝くクルミ。
こんな普通の山に、普通にクルミが育っている事に
大感激したことを覚えています。



以来、毎秋のクルミ採りは大きな楽しみ。
わが家の縁側の片隅にはいつもクルミがあって、
子ども達のおままごとにも大活躍しています。

が、実のところ、まだ食材として利用した事はないのです。
今年こそは、自分で採ったクルミで
「クルミパン」や「木の実クッキー」を作り、
子ども達をびっくりさせたいと密かに思っています。



日々の暮らしには小さな喜びがたくさん詰まっている、
と感じています。

周りの自然から感じる喜び。
人やものとの出会い。
ふとした瞬間に感じる子どもの成長。
何かをやり遂げたときの喜び。
そして、「クルミ」との出会いもその一つ。

実りの秋はたくさんの喜びをもたらしてくれる季節です。

                     母ちゃん
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孫正義氏の会見取材!?

2011年04月24日 06時22分25秒 | その他


週末、震災後初めて東京に行ってきました。
3.11の震災後、わさびの注文数の変動を通して
東京の人々の消費が冷え込む様が直に伝わってきました。
1ヶ月が経ち、それらも通常通りに戻り始める中で、
東京や市場の状況、空気を感じておきたいというのが第一の目的でした。



わが家のわさびを卸している東京大田市場。
深夜、トラックで到着したわさびを確認し、
早朝の競りにも顔を出させていただきました。



そしてその上京の折、自由報道協会主催の孫正義氏の会見の場に
立ち会うことができました。
詳しい会見の内容は下記のページでご覧いただきたいのですが、
「2011年をエネルギー転換元年としたい」との思いを語る、
熱い熱い会見でした。

http://<wbr/>www.ust<wbr/>ream.tv<wbr/>/record<wbr/>ed/1419<wbr/>5781

今回の地震、津波をきっかけに、福島原発でこれだけ重大な事故が起き、
原発の危険性が発覚したにも関わらず、
「脱原発」を語ることはタブーとされているのが現実です。
メディアも脱原発への動きを規制し、あらゆる圧力をかけてくることが予想されます。
実際、被災地への義援金として100億円を寄付し、
また今回、「自然エネルギー財団」を設立することを発表した孫氏に対しても、
「金持ちのおごり…」などと批判する声もあります。

が、「ソフトバンクの事業者としてでなく、
一個人としてやれるべきことをやりたい。
何を言われ、どんな力が潰しにかかろうとも
人々の幸せのためにやれることをやる、
それが私自身の考える正義だ」
と声を詰まらせながら語る姿に、胸が熱くなりました。
孫正義-正に正義、信念を強く持つ人なのだと。

震災を通して原発事故を経験した私達は、
今後、二度と同じ過ちを繰り返してはならない、と思います。
無関心であったエネルギー問題に対して真剣に考え、
方向転換に向けて動き出さなくてはならない。
ただ漠然と「山の暮らしを丁寧におくる」のでなく、
クリーンなエネルギーへの変換という具体的な方向性を持って
進んでいかなくてはならない、と考えています。

                     母ちゃん
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