荘厳 静謐 香椎宮
お宮巡りにこだわった福岡の旅の最後に訪れたのが「香椎宮」である。第14代仲衰天皇と神功皇后を祀ると云われる香椎宮は、楼門、拝殿、本殿、そのどれをとっても日本建築の美を感じさせるものだった。
福岡の旅最終日の9月17日(火)、都心からはやや離れたところ(8キロくらい)に位置する「香椎宮」へ地下鉄と西鉄を乗り継ぎ訪れた。
西鉄の「香椎宮前駅」で降り、踏切を渡ると最初の鳥居があり参道が始まる。参道が始まって直ぐに「香椎宮頓宮」がある。そこを参った後、参道に戻るのだが延々と参道が続く。

※ 香椎宮参道入り口に建つ石柱です。遠くに最初の鳥居が見えます。

※ 参道が始まって直ぐ、右脇の坂を登ると香椎宮頓宮があります。
この参道だが、これまで訪れた二つの神社の参道とはまた違う様相だった。参道の両側には楠木の見事な大木の並木が涼しい緑陰を作っていた。そこには参拝客を見込んだような店は見当たらず、マンションやおしゃれなレストラン、あるいは手作りのショップなど、ごく普通の落ち着いた生活道路といった様相も呈していた。

※ 楠木の並木が続く参道です。陽光を遮り、涼やかな空間を作ってくれます。
楠木が陽光を遮ってくれる中、長い参道(およそ1キロともいわれる)を歩き、二つ目の鳥居をくぐるとようやく境内に達する。
境内に入りしばらく進むと、三つ目の鳥居があり、その先の「楼門」が迎えてくれる。この楼門は総檜造りの重層の門で風格を感じさせてくれる門だった。

※ 香椎宮の境内の入口に立つ二つ目の鳥居です。

※ 続いて、楼門の前に立つ三つ目の鳥居です。

※ 風格を感じさせる「楼門」ですが、光線の関係で裏側から撮りました。
楼門から中に進むとご神木としての「綾杉」の大木が立っていた。この綾杉は神功皇后が西暦200年に植えられたと伝えられるが、以来何度かの焼失に遭いながらもそこから新しい芽が出て現在のような大木に成長したと伝えられている。U字に大きく曲がった枝が歴史を感じさせてくれる。

※ 由緒ある神木「綾杉」です。右側の枝がU字に伸びているのが分かりますか?
階段を登り「神門」をくぐると、そこに香椎宮の「拝殿」が現れた。目にも鮮やかな朱色が印象的である。この「香椎宮」では、参拝客が拝礼する「拝殿」と、祭儀を行う「幣殿」が分かれているのが一つの特徴ということだ。そしてさらにその奥に「本殿」が配されている。

※ 手前が「拝殿」、奥が「幣殿」になります。
この「本殿」は日本で唯一の建築様式「香椎造り」という様式で建てられているそうだが(もちろん国の重要文化財の指定を受けている)、一般参拝客がその全容を写真の収めることが難しいのが残念である。

※ 何とか「本殿」をカメラに収めようと努力した結果がこの2枚の写真です。

「香椎宮」はまた、境内にたくさんの末社を抱えているのも特徴の一つだ。「荒尾神社」、「竹内神社」、「稲荷神社」、「鶏石神社」、「早辻神社」、等々である。(写真は撮ってきたが写真が多すぎてしまうので掲載は見送りたい)

※ 境内に入ったところにある菖蒲池の中島に造営された「弁財天」の杜です。
雰囲気のある参道、壮麗な社殿、歴史を感じさせる神木、そして何より参拝客がそれほど多くなく、静かな雰囲気の中で境内を散策できたことで三つのお宮参りの中では最も私の印象に残る神社となった。
放生会 喧騒の中の筥崎宮
福岡のお宮巡り第2弾として「筥崎宮(はこざきぐう)」を訪れた。筥崎宮は博多駅から南におよそ3キロ離れたところに位置していた。私は何も知らずに訪れたのだが、年間の中でも最大の祭「放生会(ほうじょうや)」が行われていて、祭りを楽しむ多くの人で賑わっていた。
9月16日(月)、私は計画していたとおり「筥崎宮」を訪れた。
筥崎宮までは博多からJRで隣駅の吉塚駅まで移動し、散策を開始した。散策全体のレポは置いておいて、まずは「筥崎宮」についてレポートする。

※ 国道に面し、参道の始まりに位置する筥崎宮の大鳥居です。
筥崎宮の参道に着いたとき、ただならぬざわめきに「なんだろう?」と思った。
参道の両側にはびっしりと肩を接するように露店が並んでいる。およそ600m強ある参道だけでは収まりきらず、枝道のように横にまで広がりを見せていた。資料によると例年700店以上の露店が並び、その数は日本の祭でも最大らしい。
時刻は朝9時を過ぎたばかりだったが、すでに開店しているところ、開店準備をしているところとさまざまだった。
祭りを楽しむ人たちもそれなりに往来を行き来していたが、むしろ開店の準備に奔走する人たちが走り回り騒然とした様子だった。
※ 露店街はまだ準備中の店が多く人々の往来はまだ少なく閑散としていましたが…。

※ 一之鳥居です。この先が筥崎宮の境内です。このあたりにくると参拝客が目立ちます。
「何か祭なのか?」と誰かに尋ねようと思いながら参道を進むと、境内に入ったところに「放生会大祭」という書き物が小さく張り出されて「あゝ、やはりそうだったのか…」と納得した。
境内に入ると、そこはすでに人々が満ちていた。たくさんの人が本殿に向かいお参りをしている。私もそれに倣いお参りをしたのだが、どうも落ち着かない思いで本殿前を後にした。
境内には亀山上皇の木像を奉安する「亀山上皇尊像奉安殿」がある。そこの像に拝礼し筥崎宮見物を終わりとした。
もう少しゆっくり、例えば「筥崎宮神苑花庭園」や近くの「恵光院」などを見てみたいと思ったが喧騒の中から離れたいとの思いに駆られ筥崎宮を後にした。

※ 正面に見えるのは本殿前に建つ「楼門」です。

※ この「楼門」は国指定の重要文化財だそうです。何と私は本殿を撮影すのを失念していました!

※ 亀山上皇の木像を奉安する「亀山上皇尊像奉安殿」です。ガラス張りのため内部の撮影が難しかったです。
ところでこの「筥崎宮」の近くには福岡県庁や九州大学などがあり、そこも散策コースとなっていた。
福岡県庁は県立公園である「東公園」に接してあったが、その東公園には「筥崎宮」の境内に奉安されている亀山上皇の大きな銅像が公園の小高い丘の上に立っていた。
亀山上皇のことを調べても特に福岡のことには触れられていない。何故福岡なのだろうと思い、さらに調べてみると、その昔13世紀後半のこと我が国に蒙古が襲来した際に亀山上皇が「わが身をもって国難に代わらん」と伊勢神宮などに敵国降伏を祈願したという故事を記念し、元寇にゆかりのある福岡に建立されたということである。

※ この写真は福岡県庁舎を裏側(公園側)から撮ったものです。

※ 私の撮った亀山上皇像は完全な逆光でした。

※ そこでウェブ上から銅像の写真を拝借しました。
そして九州大学であるが、私がその横を通ったのは「病院キャンパス」と「箱崎キャンパス」である。他にもキャンパスが市内には散在しているようであるが、主なる機能は「箱崎キャンバス」に集中しているようだ。
私は「箱崎キャンバス」内を少し散策してみようと思った。その時、気になる掲示板が目に入った。「関係者以外の立ち入りはご遠慮ください」とあった。「あれっ?」と思った。同じ国立大学である北海道大学にこのよう掲示はあったろうかと…。北大構内は絶えず観光客がキャンパス内を闊歩しているのに比べると、なんと閉鎖的なんだろうと思った。
掲示が気にはなったが、気にせずに(?)私は構内に入った。三連休ということもあってか、学生や関係者の姿は全くといって良いほど見えなかった。まさか休日は学生の出入りまで制限しているわけではないだろうが、どうしたことだろう?

※ 九州大学の本部が入る箱崎キャンバスの正門です。

※ さすが九州の大学構内です。南国の雰囲気が漂っています。
その閉鎖性を感じた私はそそくさとキャンバスを後にした。
九州大学(九大)の閉鎖的な雰囲気に対して、北大は市民に対して広く開放していることを道民として誇らしくさえ思った。ただ、こうしたおおらかさも何か事故が生起した時にはすぐさま措置が講じられてしまうことも覚悟しなくてはいけない。
願わくば北大を訪れる市民が常識的なマナーを守って、北大の財産を、環境を享受させていただきたいものである。
なんだか、今日の投稿は「筥崎宮」の感想ではなく、九大のことから大学の在り方みたいな感想になってしまったなぁ…。私が九大に感じたことが思い違いであってほしいと願いつつ本日の投稿としたい。
華麗! 太宰府天満宮
ある意味で私は今回の旅のハイライトを一番先にもってきたとも云える。全国1万2000にのぼる天満宮の総本社と云われる太宰府天満宮は華麗な姿を私の前に見せてくれた。
9月12日(木)正午過ぎ、福岡空港に降り立った私はその足ですぐさま「大宰府天満宮」に向かうことにしていた。
西鉄福岡(天神)駅で「大宰府散策きっぷ(1,000円)」という往復切符+茶店の抹茶セットのチケットを購入し大宰府に向かった。

※ 西日本鉄道「太宰府駅」の駅前の様子です。
西鉄福岡駅から約45分かけて大宰府駅に降り立ち、少し行くとそこはもう太宰府天満宮の参道だった。参道の両側は茶店や土産物屋がびっしりと立ち並んでいて、ちょうど東京・葛飾柴又の帝釈天の参道のようで観光客で賑わっていた。
土産物に興味のない私だったが、この後再び参道を戻る予定がなかったこともあり、本殿を参る前に参道上にある茶店「かさの家」に入り抹茶セットをいただくことにした。抹茶セットは名物梅ヶ枝餅と抹茶のセットだった。梅ヶ枝餅が思いのほか美味しかったので追加注文して食した。店の前には梅ヶ枝餅を買い求める善男善女(?)が行列を作って買い求めていたところを見ると「かさの家」の梅ヶ枝餅は評判なのかもしれない。

※ 参道の両側にはびっしりといろいろな店が立ち並んでいました。

※ 「梅ヶ枝餅」を購入しようと「かさの家」前に行列する人たちです。

※ 私が味わった梅ヶ枝餅と抹茶のセットです。
かさの家を出てしばらく行くといよいよ境内である。
心字池に架かる太鼓橋を渡ると「楼門」が迎えてくれる。檜皮葺きで朱塗りの美しい門だった。
そしてその奥にはやはり朱塗りが目立つ堂々たる構えの本殿が待ち構えていた。
本殿での拝礼を済ましたときにちょうど神前結婚式を挙げた直後の式列が本殿に向かところだった。運よくその人たちをカメラに収めることができた。

※ 楼門の前に配された心字池に架かる「太鼓橋」です。

※ 本殿の前に建つ「楼門」です。

※ ポスターなどでもお馴染みの太宰府天満宮の「本殿」です。

※ ちょうど神前結婚式を終えた式列に出合うことができました。
その後、本殿の裏手に回って境内を一周する散策ルートを巡った。太宰府天満宮の名物の一つ約6000本といわれる梅の木が植えられている中を歩いた。さらに坂を登っていくと「天開稲荷社」が坂の上に立っていた。ここまで来ると、参道や本殿前ではたくさんの観光客で賑わっていたのがうそのように行き交った人は僅かに3人ほどだった。

※ 本殿の裏手広がる梅林です。

※ 稲荷神社お馴染みの朱塗りの鳥居が林立していました。
さらに人気のない道を往くと、やがて敷地を接するようにして建つ「九州国立博物館」の入口に至る。博物館は国立博物館らしく堂々たる豪華な建物だった。調べてみると2005年建立ということだから新しい施設である。
せっかくの機会だったので常設展を見物した。やはり国立ということだからなのだろうか、展示はきわめて学術的な感じがした。九州がきわめて早くから人類の文化が発祥していたこと、またアジア諸国との交流が早くから行われていたことから、遺跡からの発掘物、諸外国との交流による交易品などの陳列が多かった。
面白いと感じたことがあった。それは石器時代の矢じりの展示の中で、九州地方と北の地方の矢じりを対比するためにだと思われるが、北海道遠軽町(白滝)から発掘された黒曜石製の矢じりが展示されていたのが興味深かった。

※ 鏡の壁面をもった堂々たる造りの「九州国立博物館」の外観です。
その後、やはり太宰府天満宮と敷地を接するようにして建つ「光明禅寺」の枯山水の庭を見物して大宰府散策を終えた。

※ 非常に手入れの行き届いた枯山水の庭でした。
太宰府天満宮は「学問の神」としてつとに有名である。ところが、私にとっては私も私の子どもも今や受験も学業成就祈願も無縁である。
しかし、せっかくの機会である。お御籤くらいは引いて帰ろうと思った。道真公の和歌が詠まれているという。私の引いたお御籤には 「心だにまことの 道にかなひならば いのらずとても 神や守らむ」とあった。さすがに道真公良いこと言うなぁ…。神頼みなどと言って努力を怠るよりは、まことの道を歩み努力さえしていれば神様は守ってくれる、ということなのだろうか?そう私は解釈したのだが…。
拝金主義、功利主義、etc…、が横行する現代に生きる人々に(もちろん私自身も)古人の教えを今一度噛みしめてみたい気もした大宰府天満宮だった。
午後5時前、無事に家に帰り着き、安着祝いのビールがとても旨かったです。
身体には疲れが残っていますが、充実した6日間でした。
帰りの飛行機は窓際を選びました。
日本列島は東北北部の一部を除き、地上がくっきりと見えるフライト日和でした。ずっと眼下を眺めながらのフライトでしたが、確か信濃川ではないかと思うのですが、川は濁り、河口の日本海も広く土色に変色していたところに今回の台風の凄まじさを見た思いがしました。
あまりにもたくさんのところを散策し、多くの体験をしたことで、今はいろんな思い出が錯綜しています。
明日からそれらを少しずつ紐解いて、今回の体験を振り返ってみたいと思っています。
ともかく今は計画していたことをほぼ完遂して帰ってきたことに満足しています。
これで今回の「福岡の旅」は一応の大団円としたいと思います。
香椎宮の見学を終え、福岡空港での搭乗手続きを終え、搭乗を待っています。
今朝、地下鉄、電車を乗り継ぎ30分近くかかって香椎宮に行ってきました。ちょっと遠かったですが十分行ったかいがありました。今回の旅で訪れた三宮な中では最も格式のある神社らしい雰囲気を醸し出していました。参道の楠木の並木が素晴らしく、その上静謐で厳かで…。
これで私の今回の福岡の旅も終わりました。後は無事に我が家に辿り着くだけです。
ところで私は旅の記念品やお土産などはいっさい買わない主義です。それが「 俺流旅の流儀だ」などとうそぶいています。今回も俺流を貫こうと思っていたのですが、旅を発案してくれた妻に何らかの謝意を示さなくてはと思い直し空港へ来てからほんの些細なもの購入してしまいました。
次の、そして「福岡の旅」最後の投稿は我が家からのパソコンからの投稿になりそうです。
福岡の旅最後の朝が明けました。
今日も福岡は晴れています。昨夕妻から「あなたはついていますね。台風というと、九州はいつも通り道になるのに今回は他の地方にそれているんですからね」と電話がありました。
考えてみると、記憶にある限り旅行中に雨に見舞われたことがほとんどありません。もしかしたら私は「晴れ男」かも? なあ~んて言っていると、そのうちしっぺ返しに遭うかもしれないですね。
さて今日は計画していた「香椎宮」を午前中に訪れ、午後の便で帰札予定です。
最後の旅を楽しみたいと思います。
さすがに今日は疲れ果てヘロヘロになってホテルに帰り着きました。
大濠公園の後、ヤフオクドームに向かいました。当初の予定にはなかったのですが、近くに唐人町寺町というお寺が集中している街もあったので行ってみることにしました。
ヤフオクドームは近くまで行きましたが、当日券売り場の表示が見えたところで足を止めました。傍まで行って思わず衝動買いをしてしまい、その後の予定が狂うことを恐れたのです。
その後、都心に移り博多山笠の追い山のコースを辿ってみました。これが大変でした。コース沿道にたくさん存在する寺社をひとつひとつチェックしながら進みましたから、距離も時間も倍近くかかってしまいました。
疲労が貯まり足は棒のような状態になりました。楽しい出会いもいろいろありました。
今の疲労度では屋台街に繰り出す元気も残っていません。
ひと眠りして、その元気が出てきたときに考えたいと思っています。
大濠公園を巡った後、元祖長浜ラーメンというところで昼食としました。いま長浜ラーメンは全国的に有名になり、いろいろなところで「長浜ラーメン」を名乗るところが出てきて騒動が起こっているようです。私が行ったところは「元祖」を名乗っているので間違いないものと思っています。
さて、大濠公園ですが想像していた以上に素晴らしい公園でした。特に 福岡城跡の規模は相当なものでした。また反対に福岡国際マラソンのスタート&ゴールとなっている平和台陸上競技場はかなり施設が古くなっており意外な気がしました。
連日の散策(ウォーク)でかなり疲れも感じますが、これからヤフオクドームと博多山笠コースを巡ります。
今日も元気に福岡の街を歩いています。天候は晴天、台風の影響を受けることなく幸運です。
今朝はまず都心から少し離れた「筥崎宮」界隈を1時間ほど歩いて現在「筥崎宮」境内で一休みしています。
筥崎宮はちょうど「放生会大祭」の期間中とあって参道には私がこれまでみたことのないくらいの膨大な数の出店が出ていて驚くというか、呆れています。
あともう少しこの界隈を散策した後、大濠公園、博多山笠のコースなどを散策する予定です。
余裕があったら、現在日ハムが戦っているヤフオクドームも外から見てみようかなと思っています。
福岡に着いたのは午後2時過ぎでした。それからの市内散策ですから福岡の中心街を少々回った程度でした。その第一印象ですが、やはり歴史のある街とあって新しさと古さが混然一体となっているといった印象です。明日さらに散策を続けることでまた印象が変わるかもしれません。
今日は昨日、一昨日より気温は低いようでしたが散策しているとやはり汗をかきます。
今夜はこの旅で唯一息子と食事ができることになりました。博多名物といえば、ラーメン、もつ鍋、水炊き、だそうです。ラーメンは別として息子に「もつ鍋と水炊きではどちらが良いか」聞いたところ、もつ鍋のリクエストだったので、これからもつ鍋で一献傾けます。彼は明日も試合なので、適度に切り上げます。

