へぇー、戦前(戦時中?)は街中でも男性は戦闘帽を被っていたんだ…。定山渓鉄道はかわいい客車が走っていたんたなぁ…。雪まつりの初期は化粧雪なんていう発想はなかったんだな。戦前・戦後の札幌の世相の一端を映し出すフィルムを興味深く凝視した。
※ 戦前に狸小路で開業していた菱昌七さん経営の「ダイヤ洋品店」の外観です。
1月15日(日)、午前に西岡公園の「月例散歩」に参加した私は、その足で札幌市内を横断するような形で約40分かけて札幌市の北端に位置する「北海道博物館」に向かった。午後から開講される「北海道博物館ミュージアムカレッジ」に参加するためだった。
この日の講座のテーマは「映画上映会 あるカメラ愛好家が撮影した戦前・戦後の札幌」だった。
※ 講師&ナビゲートを担当した三浦泰之学芸員です。
講座の担当は北海道博物館の三浦泰之学芸員であったが、三浦氏によると戦前に狸小路で「ダイヤ洋品店」を営んでいた菱昌七(1898~1991)というかたが趣味として8mmフィルムで撮影し、家族で楽しんでいたそうだ。戦後になって趣味が高じて「ダイヤ写真商会」を開業し、仕事として、そして趣味として撮影にいそしんだそうだ。菱昌七が亡くなりその子孫が、昌七が遺したフィルムなど75件を2013年に北海道博物館に寄贈したという。その中に8mmフィルムが50本あったという。それを全て上映すると7時間30分以上にもなることから、今回はその中から10本を選定して上映したものを観た。
上映された10本のフィルムの題名は次のとおりである。
① 昭和10年 「冬の宣伝 狸小路聯合/夏の宣伝 狸小路聯合」
② 昭和戦前期 「狸小路4丁目 町内懇親会」 定山渓
③ 昭和戦前期 「公区運動会」
④ 1950(昭和25)年 「幌西小学校 春の運動会」 坂下グランド
⑤ 1950(昭和25)年 「札幌のメーデー、釈尊降誕花まつり、写真の日撮影大会」
⑥ 1952(昭和27)年 「さっぽろのおまつり」
⑦ 1953(昭和28)年 「第4回さっぽろ雪まつり」
⑧ 1957(昭和32)年 「第8回さっぽろ雪まつり」
⑨ 1955(昭和30)年 「師走から新春へ」
⑩ 1970年代頃 「札幌市内中心部、地下鉄南北線、真駒内屋外競技場」
写真とは違いムービーだから、さすがに戦前には高価な趣味だった思われる。それに手を出し、さらに戦後には仕事にまでしてしまうくらいだから、腕は確かで十分に観賞に耐えられる映像だった。フィルムをパソコンに落とし込んではいるが、講堂の大画面に映してもまったく遜色がないほどだった。
※ いつの時代か分かりませんが、8mm映写機の新聞広告(?)です。
この中で⑤、⑥、⑨、⑩がカラーフィルムで、他はモノクロだった。しかし、⑤のフィルムはフィルムが粗悪だったのか、あるいは劣化したのかカラーとは言い難くうっすらと青っぽいかな?という程度だったが、さすがに⑩の1970年代になると非常に鮮やかなカラー映像だった。
世相的に興味があったのは、昭和25年の幌西小学校の運動会の婦人たちの服装だった。ハレの日に着飾る服装が、和服と洋服が入り混じっていたところに時代を感じた。また戦前の「公区運動会」とは町内会の運動会ではないかと三浦氏から説明があったが、運動会を運営する男性が皆戦闘帽を被っていたのだが、詳しく年代が分かればより時代的背景を理解することができたのだが…。
※ 戦後になって菱昌七さんが経営していたダイヤ写真商会の広告ですね。
いずれにしてもどのフィルムもとても興味深く拝見することができた。会場の講堂は満席だったが、だれもが興味深かったとみえ皆が食い入るように画面を観ていたのが印象的だった。
他のフィルムも上映する機会があればぜひ観てみたいと思った。
昭和25年の運動会は、まさに田舎おじさんの子ども時代……ではないか、さすがに。なにしろ「戦闘帽」ですからね。
今、コメントを書いていて気づいたのですが、終戦から5年後で8ミリ撮影ができた、というのは相当に裕福な方だったのでしょうね。
アーカイブ的に、色々な人がアクセスして観ることができるようになるといいのですが。図書館にデータとして保存するとか。
なかなか興味深い上映会だったですね。
しろまめさんの理解でちょっと誤っているところがありますので、訂正しておきますね。戦闘帽を被っていたのは戦前の運動会ですね。さすがに昭和25年の映像からはそうした場面は見られませんでしたよ。さらに、昭和25年となると、残念ながら私はまだ学校に入学しておりませんね。ただ、年代はかなり近いので興味をもって見ておりました。
次に、この菱さんという方は終戦後どころか、戦前にも8mm映写機を操っていたというのですから、相当に裕福な方だったようですね。
以上、誤りを訂正した上で、しろまめさんの図書館などに所蔵して、誰もがアクセスできるようにするというアイデア良いですね。博物館は所蔵することが主たる目的ですから、そうしたことはあまり期待できないので、ぜひ図書館との連携を図るような取り組みをしてほしいものです。