その迫力には圧倒された。男女18人が心の底から叫び、舞う姿に会場を埋めた日本人の観衆は度肝を抜かれたのではないだろうか? 往復1時間半もかけて会場の北海道博物館へ駆け付けただが、駆け付けた甲斐があった迫力のパフォーマンスだった。
※ 今回の巡回展のポスターです。「TUKU IHO」とはマオリ語のようです。
北海道博物館では現在「マオリ文化企画展」が開催されている。その企画展に合わせてニュージーランド北島のロトルアにあるマオリ美術学校の14~18歳の男女が来札し、先住民族マオリの伝統舞踊「ハカ」を披露していると知って駆け付けた。
まずは特別展示室で開催されている「ニュージーランドマオリ工芸学校日本巡回展」を覗いてみた。会場にはマオリ族の伝統工芸を引き継いだ木彫や石彫の工芸品が数多く展示されていた。
※ 展示室に掲示されていた木彫の一つです。
※ こちらは同じく石彫が数点が展示されていました。
この展示を見たとき、私はニュージーランドを旅して、現地の博物館を訪れたことを思い出していた。まずは南島のダニーデンの博物館である。確か3階建てだと記憶しているが、その1階部分は全てマオリ族に関する展示だった。さらには博物館スタッフが着用しているユニフォームがマオリ文様を描いたものだったことが印象的だった。
※ 会場入り口ではマオリ族の若者が石彫の実演を行っていました。
北島のオークランドの博物館を訪れた時も同様だった。この時はマオリ族の方が往時の姿形で展示説明をしていたのが印象に残っている。というように、ニュージーランドでは先住民マオリに対する尊崇の念を、形をもって表していることを強く感じさせられた。
さて、お目当ての伝統舞踊「ハカ」である。会場は北海道博物館の記念ホールで行われた。私は彼らの踊りを間近で写真に撮りたいと思い最前列に位置した。
開始時間になると、突然大きな笛のような民族楽器が会場を圧するように鳴り渡った。それからは若さがはち切れんばかりのマオリの若者たちが大きな声で歌い踊りまくった。
※ 全体写真が撮れなかったため、二枚の写真は博物館のHPから拝借しました。
「ハカ」とは、もともとはマオリ族が戦いに挑む前に相手を威嚇することと、自らの士気を高めるために行われていたそうだ。だから私は「ハカ」とは男性のものだと思っていた。ところが時代が移って、今や男女を問わずコミュニティが一致団結するためのものと変化してきたということだ。
彼らの「ハカ」は私の目の前まできて歌い踊った。そのため、私は彼らの全体をカメラに収めることがとても難しかった。反対に彼らの迫力ある表情はとらえることができたと思っている。
※ パフォーマンスの最後には「瀬戸の花嫁」を大きな声で歌ってくれ、感激でした。
伝統舞踊「ハカ」を歌い踊る若者たちの表情からは、マオリ民族としての自信と誇りを強く感じせさせられた。