田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

札幌市の学芸員のお話を聴く

2023-02-04 19:43:09 | 講演・講義・フォーラム等

 札幌市博物館活動センターの二人の学芸員のお話を聴いた。二人のお話は「希少植物」と「古代生物」のお話だったが、二つのお話ともに興味のあるお話だった。

        

 「札幌市博物館活動センター」「すべては、つながっている」と題して、「チ・カ・ホ(札幌駅前通地下歩行空間 北3条広場)において、2月4日・5日の二日間にわたって市民向けのPRイベントを開催している。

 イベントの大きな目玉は、体長14mもの小金湯産のクジラ化石のレプリカの展示だった。併せてイベントでは各種の展示とワークショップ、トークイベントなどが行われているが、私は二人の学芸員のお話を聴くために本日2月4日にチ・カ・ホに向かった。

   

  ※ 会場にドーンと展示されていた体長14mの小金湯で発掘されたクジラのレプリカ化石です。  

 初めは植物分類学が専門の山崎真美学芸員による「札幌の希少な植物~現状調査の結果から~」と題する講義だった。札幌市では関係機関が連携して2016~2021年にかけて札幌市内の希少植物の調査を実施したそうだ。その調査の結果、実に123種もの希少植物がレッドリストに載せられたという。この日に紹介された希少植物は、スズラン(一般に見られるドイツスズランではない)、ジンヨウキスミレ、エゾルリムラサキ、キタダケデンダ、イトキンポウゲ、ホテイアツモリソウ、ハイマツボッス、フォーリーガヤ、オオフガクスズムシ、ハイドジョウツナギ、コウセイニグチソウ、等々、初めて聞く名前ばかりだった。

   

   ※ 希少植物について説明いただいた山崎真美学芸員です。

 その中で私が興味を覚えたのはホテイアツモリソウだった。ホテイアツモリソウは、野生ランの仲間であるアツモリソウの変種だという。アツモリソウの変種といえば私が礼文島で見ることができたレブンアツモリソウもやはりその仲間である。実は、礼文島で花の色が白いレブンアツモリソウを見た後に、「花の色が赤いレブンアツモリソウがある」と同じ旅をする人から聞いて、私も目撃することができたのでブログに「赤いレブンアツモリソウを見た!」とアップしたところ、野生植物に詳しかった故坂口一弘氏から「それはホテイアツモリソウではないか」との指摘を受けたことを想い出していた。その時、坂口氏は「ホテイアツモリソウが見られるのは礼文島とキリギシ山だけだ」とおっしゃっていたのだが、それが札幌でも発見されたとは非常に貴重な発見だと言えそうだ。

   

   ※ 私が礼文島で目撃した貴重なホテイアツモリソウです。

   

   ※ こちらも礼文島で見たレブンアツモリソウです。         

 それにしても札幌に123種ものレッドリストに載る希少植物が生育しているということはちょっとした驚きである。それだけ札幌の自然が多様であり、豊かだと言えそうである。

 続く講義は古脊椎動物学が専門の古沢仁学芸員「すべてはつながっている カイギュウとクジラの進化論」と題して話された。札幌では2002年に体長7mのジュゴンの仲間であるサッポロカイギュウが、そして2017年には小金湯で体長14mものクジラの化石が発見されている。両者ともに生育していたのは約820万年前と考えられているそうだから人類が生まれるはるか前、その頃は札幌の地が豊かな海であったことが窺われる話である。

   

   ※ カイギュウとクジラについて説明いただいた古沢仁学芸員です。

 さてカイギュウとクジラの両者は片やジュゴンの仲間、片や鯨類とまったく別な生き物であるが、似ている点と違っている点があるという。似ている点としては、①体形がサツマイモ型である。②後足が退化して消えている。③前足はひれ状のものが付いている。④シッポがひれ状である。というような点が似ているのは両者ともに海中で生活していくうえで進化したせいだと古沢学芸員は説明された。一方、異なる点はカイギュウが小さな頭、大きく太い骨の持ち主なのに対して、クジラの方は大きな頭、小さく細い骨の持ち主だということだ。これは摂取する食物のせいだと指摘した。古沢学芸員は、種類の違う生物でも生活環境が似ていれば、身体の形が似てくるというように、生物たちはどこかで繋がりを持ちながら進化したり、分化したりしているということを伝えたかったのだと理解した。 

   

   ※ 頭が小さいカイギュウと大きなクジラの骨格です。(体長が同じくらいになっていますが実際は違います)

   

   ※ サッポロカイギュウの方は今回は頭部と一部腹部の標本が展示されまました。

 ふだんはあまり関心を抱かない分野のお話であったが、今回のようにお話を伺うことによって、自分の関心の分野が広がっていくことを感ずることができる。                



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