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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

次世代半導体とほっかいどうの未来(後編)

2024-02-14 19:15:57 | 講演・講義・フォーラム等
 半導体は “産業の米” と称されているが、具体的に我々の生活にどれほど深く関わっているのか?そして半導体はどこへ向かっているのか?そしてそして(株)Rapidusの未来は?お聞きした内容を素人目線で綴ってみた…。
 
※ 千歳市に建設中のRapidusの半導体製造工場の完成予想図です。
 
北大の葛西教授から面白い例えを伺った。
 日本の食糧自給率が非常に低いということは周知の事実であるが、その自給率は38%だという。ところが現在の日本の半導体の自給率はなんと食料自給率さえも下回る27%だそうだ。かつての科学立国日本はどこへやらという現状で、今や世界の半導体王国は米国、台湾、韓国などがその覇を競っている現状だという。(その原因はいろいろと言われているが、それを探るのが本稿の目的ではない)
 
※ 現在の最先端半導体を製造している割合は圧倒的に台湾の製造工場ということです。

 さて、私たちが身近に感じることができる半導体は、今や国民のほとんどすべてが所有するスマートフォンの中にふんだんに取り入れられているという。具体的には①ディスプレイ、②赤外線カメラ、フロントカメラ、③リアカメラ、④マイクプロセッサ、⑤サブマイク、⑥アンテナ、⑦距離センサー、⑧メモリー、⑨各種無線通信回路、⑩電力制御回路、⑪インターフェース、といった具合でスマホ自体が半導体の塊といえる。
 

 ちなみに、もし今半導体というものがこの世から無くなったとしたら、どのような世界が現出するかというと…、

  
  ※ 半導体がいかに私たちの生活と密接に結びついているかを示す図です。

 ①電気が止まる。
 ②スマホが使えない。
 ③ネットが繋がらない。
 ④お金がおろせない。
 ⑤支払いができない。
 ⑥水道が止まる。
 ⑦トイが使えない。
 ⑧車が動かない。
 ⑨列車・飛行機が止まる。
などといった状況となり私たちの生活も社会も成り立たない、ということが指摘されたが、なんだか大震災直後の被災地域のようである。

  
  ※ 講演をする葛西北大教授です。

 その半導体が今ますます小型化を競っているという。その小型化というのはnm(ナノメーター)の世界の話である。nmというと、10億分の1mの世界の話(調べてみると1nmは0.000001mだそうだ)で、我々素人には想像もつかない世界の話である。
 ちなみに(株)Rapidusが目指す2nmの半導体が実現するとなると、消費電力は今の1/1,000となり、現在毎日充電しているスマホは3年に1度充電すればよいようになるだろうと葛西氏は述べられた。またノートパソコンなど現在電源なしで10時間稼働が可能だが、それが1年間充電することなく稼働が可能になるという。
 葛西氏は「半導体とは、私たちの生活を陰で支える大切な現代の魔法」と表現した。その現代の魔法をさらに進化させる “産業の米” を創り出そうとしているのが千歳市に進出を決め、現在準備を進める(株)Rapidusである。それはまた低迷する北海道経済を底上げする起爆剤になると期待されている。準備は着々と進行しているようである。
 少しオーバーに云えば、北海道内だけではなく日本全体の期待を担った一大プロジェクトといえる取り組みである。
 私はこれで2度ほど(株)Rapidus社長の小池氏のお話をビデオメッセージで拝聴した。小池社長は経営者であるとともに、優秀な科学者でもあるという。つまり半導体製造に関しては全てに精通している方である。その小池氏のお話を一度目に伺ったときには、自信満々に大きな野望と夢を語っているように拝聴した。ところが今回は、大意は変わらないものの、その表情にはやや緊張感のようなものも窺い知ることができた。あるいは描いているプロジェクトがいよいよ動き出したことで解決すべき課題が現実化してきた証なのかな?とも私には映った。
 世界中の先端企業がしのぎを削る新技術の開発は、私など想像もできない苛烈な競争の世界なのだと思われる。かつて科学立国を謳歌した日本が、その名声を取り戻すべく国家としての一大プロジェクトが小池社長のリーダーシップのもと、北海道において花開くことを願いたい思いでいっぱいである。 


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