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北大講座「ウィズコロナの時代をどう生きるか」第2回

2021-06-11 17:24:21 | 大学公開講座

 第2回目の講座は「地球温暖化」に関する講義だった。二酸化炭素の排出量の増大により地球が温暖化していることはもはや紛れもない事実であることを、科学的に裏付ける証拠を次々と提示された講義であった。

 北大の全学企画である公開講座「ウィズコロナの時代をどう生きるか 備えるの第2回講座が昨日6月10日(木)にオンラインで配信された。

       

第2回講座は「地球温暖化って本当?どんなことが起こるの?」と題して、北大低温科学研究所の大島慶一郎教授が講義を担当された。大島教授は若いころ(1990年代)には南極地域観測隊員として昭和基地に越冬されたり、南極海、北極海など極域での観測に数多く従事したり、近年は南極海航海観測などに参加されるなど、現場を重視した研究を続けられてきた方のようである。

 講義ではまず、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表したこの100年間における地球の平均気温の変化を示した。それによると全地球の平均気温の上昇が0.75℃であるのに対して、日本では1.2℃、札幌では2.3℃も上昇したそうだ。このことは、全地球の中で北半球、特にその高緯度地域での気温上昇が激しいという結果を示している。

 続いて、地球の気温が上昇するメカニズムとして、従来は太陽エネルギーを地球が受け、それを適度に反射することによって適正な気温を保っていたものが、大気中に二酸化炭素(温室効果ガス)が滞留したことによって太陽エネルギーの反射を抑えるために太陽エネルギーが大気中に蓄積し引き起こされる現象が気温上昇のメカニズムであることを説明された。

   

   ※ この図は大島教授が提示されたものではありません。同じような趣旨のものを探して貼り付けました。

 ここで大島氏は重要な資料を示された。それは1971年以降、地球が蓄えた熱エネルギーは1年あたり7×10²¹Jということだ。Jの単位が何なのか不明だが、そのエネルギーを換算すると100万KW原子力発電所一基の年間発電量の20万倍以上というのだから、そのエネルギーがおそろしく巨大であることは想像できる。

 その熱エネルギーのおよそ90%は海が吸収しているそうだ。つまり、「地球温暖化」とは「海洋温暖化」のことだと大島氏は強調された。

 その海洋温暖化の象徴が2019年10月の台風19号「スーパー台風」だという。甚大な被害を及ぼした19号台風は、10月になっても海面水温が異常に高かったことが原因だと指摘した。現在も、日本周辺の海面水温は世界平均の2倍以上の速さで上昇しているということで、今後の台風にも十分注意することが必要のようだ。

 さて、こうした「海洋温暖化」は、当然のように南極、北極の氷床や氷塊にも大きな影響を与えていて、極地の万年氷の溶解が続いているという。

 このように大島氏は「地球温暖化」について観測した事実だけを私たちに提示してくれ、そのことの評価はあまり口になされなかった。そのことは受講者一人一人が考えろ、ということなのかもしれない。ただ大島氏は次のような印象的な言葉を発した。「今や科学者の99%は地球が温暖化していることに疑念を挟まない。未だに地球温暖化に懐疑的な見方をする人はほとんどが科学者ではない」と…。

            

             ※ 講義を担当された大島慶一郎教授。

 講義はこの後、地球上の氷が溶解することによって海水の比重が変化し、そのことが海流にも変化を及ぼしていると指摘した。大島氏は地球温暖化、あるいは海洋温暖化による将来予測についてはほとんど触れられなかったが、それは氏の専門外ということなのだろう。

 講義の最後に、大島氏は面白い事実を提示された。それは地球温暖化とコロナ禍の関りについてである。過去60年、地球上の二酸化炭素の排出量は年々増え続けてきていたのだが、2020年はコロナ禍にあって経済活動が大幅に制限されたことによって二酸化炭素の排出利用が前年より6%減少したという調査結果を提示された。このことが地球温暖化にストップをかけるヒントの一つになるのではないか?と投げかけられて講義は終了した。

 非常に明快な説明であったし、私にとっても関心の高い領域だったこともあり楽しい講義だった。



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