下川町長・谷一之氏は意気軒高だった。それも無理はない。未来志向の街づくりの実践が次々と国から認められ、今や全国注目の自治体のようなのだ。どのような街づくりを実践されているのか、その実状を聴いた。
※ 下川町の「環境モデル都市」の概念図です。
7月6日(金)夕刻、赤れんが「ガイアナイト」が開催され、そのイベントに参加したことは拙ブログでも先にレポした。そのガイアナイトの冒頭の催しとして「環境フォーラム」が行われ、講師として谷下川町長が登壇したのである。
谷町長は「SDGs未来都市2030へのアプローチ~低炭素社会の構築に向けて~」と題して、およそ75分にわたって下川町の実践を語った。
「下川町は元気が良い」という話は、門外漢である私の耳にも早くから届いていた。木材の町・下川町の特徴を生かして、循環型社会の実現を目指していると、以前の講演会で聞いたことがあった。
レポを書き進めるにあたって、そのタイトルにある「SDGs」について、まず触れねばならない。SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称で「持続可能な開発目標」と訳されるそうだ。
SDGsは、2016~2030年までの15年間に達成するために掲げた17の目標と169の具体的なターゲットを設けたものを国連加盟の193ヵ国で採択したものだそうだ。
その第1回「ジャパンSDGsアワード」総理大臣賞を、平成29年度に下川町が受賞したということだ。
総理大臣賞ということは最高賞である。つまり、下川町は全国あまたある自治体の中から、持続可能な社会(地域)づくりの実践が最も優れているというお墨付きをいただいたということなのだ。
※ 講演をされた谷一之下川町長です。
下川町の受賞歴はそれだけに止まらない。それを列挙すると…、
◇平成20年度 「環境モデル都市」に認定
◇平成22年度 「過疎地域自立活性化優良事例表彰」総務大臣賞受賞
◇平成23年度 「環境未来都市」および「総合特区」に認定
◇平成25年度 「バイオマス産業都市」に選定
といった具合である。
こんなに受賞したり、認定・選定されたりした自治体が全国の他の自治体にあるだろうか?
下川町の循環型社会の実現の中核をなすのが、町有林の循環型経営にあると町長は強調された。下川町では1953(昭和28)年以来、国有林や私有林を次々と取得し、現在の町有林面積は4,205ヘクタールに及ぶという。町有林の循環型経営を目ざした当初は1,500ヘクタール余りだったというから、ずいぶん広大な面積を有することになったようである。
町ではこの町有林を伐採と植栽を計画的に実施することによって永続的に町有林から利益と雇用を確保する経営を実践しているということのようだ。