彼は高らかに笑った。
13年かかって
ここにたどり着いたのだ。
山の中ほどに広がる深いこの森に…。
彼は寝転がって空を仰いだ。
木立はまだ夏の夢を見ていた。
ほんのわずかの
せっかちなものたちが
遠くに見える秋に向かって
黄色い声をあげて叫んでいた。
彼は白い花の首飾りと
ハート型の紋章のある王冠を授かった。
鳥たちは
静かにかしずいて祝福をした。
虫たちは
木の葉の上で踊った。
太陽と風と雲は
あらん限りの賛辞を述べた。
みなに祝福されて、
彼は笑った。
王のように高らかに…。
そばにいるものすべてを
魅了する美しい笑顔で…。
彼はまさに森の王だった。
ロケット(ルッコラ)の花
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