「かれん」が我が家に来てちょうど4か月。
1月のその日は雨がみぞれとなり
やがて雪へと変わった寒い日だった。
女の子をいただくと聞いていたので
名前は「かれん」と決めていた。
けれど、降りしきる雪を見ながら
「幸」という字を書いて
「ゆき」にしようかとふと思ったりもした。
車のスピーカーからはクラシックギターの
「ロミオとジュリエット」のテーマ曲。
ガットがすれる音が
期待と不安の入り混じった気持ちと
雪の間に間を満たしていく。
倉吉市に着くとかなり雪が積もっており
長靴を履いてくればよかったと後悔した。
膝下まである青い長靴を。
ブリーダーさんの家で「お好きなのをどうぞ」と言われ
3匹いた中でいちばん最後にやって来た
いちばん小さな仔が我が家の家族となった。
あの日からの4か月。
悩んだり、笑ったり、心配したり…
仔犬を飼うどこの家でもありふれた4か月。
でも、きっとそれぞれの家族のかけがえのない4か月。
ローダンセマム〈キク科〉 海岸で貝を取る「かれん」と来たばかりの頃
copyright Maoko Nakamura