詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
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言の葉つづり 小篇(14)

2017-03-11 | 言の葉つづり 小篇
17-48)
夕陽が美しい理由を
いつも忘れてしまう
遠い誰かの悲しみだったり
笑い声だったり
怒鳴り声だったり
猫の鳴き声
クラクション
鳥の囀り

川の濁流

さよならと
太陽が今日の思い出の絵を
描いていくから


17-49)
もし私が花に覆れていたなら
貴方は私を愛し続けたのですね

イザナギが見てしまった
女神の素顔
黄泉の国に
蠢めく命がほの見え
暗がりに眠る命の灯り
エロスはここに始まるのです
葡萄や桃を投げ
女神を美しい花に
変化させる術を手に入れたい


17-50)
緑と砂の文化は
対局だと言われるけれど
緑の草木と砂の相性がよいのも
本当のこと
水の惑星に生まれてくるためには
小石の間をかけのぼり
きっと誰かに会えると
夢を持ち続けることだった
夢は砂と緑と水を結びつける


17-51)
柔らかくなったり
尖ったり
ふうふう言いながら
歩いて行くのがいいのです
そのうち誰かが
ふうふう追いついてきて
貴方も同じねと
楽しくなるのです
心は不思議な器です
風を盛り
漂う春花のような香りを
貴方に届けに行こうかと
思っていたのです


17-52)
目の前に現れ
時々空の色にかき消され
青の群れが集まりゆく先へ
螺旋階段をのぼる
タバコ屋の角という
今では死語に近い街角を折れ
釣り橋を渡っておいで
猫のようにしなやかに通り給え
風に揺れ散った花びら
今日はこの花の道を歩けと言われ


17-53)
まだ零時前
秒針はいつから音を無くしたのか
夜の街には
ガラスの靴が落ちている
永遠は
暮れていくインディゴの空に
雲と一緒に流れている
今は
琥珀色の液体に姿を変え
コップに注がれる


17-54)
みずすましが
水面を行ったり来たり
泳いでいる
空の音を聞いている
宇宙の秘密を知らせる暗号のように
音が踊りながら降りてくる
みずすましの横に
降りてくる
水中に眠る花へ
みずすましは
まるい波を広げては
泳いでいる


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