日曜日、横浜へ小劇団の公演を観にいった。
シーズン3というから、3回目の公演なのかもしれない。
それにしては、随分とお稽古をしたのだろう。とてもよくまとまっている。
ストーリーを簡単に。
場所はビスケット工場。たくさんのダンボールと天上から下がる鎖。
どこか分からないところから、材料とつくるもの(ビスケット)のミッションが電報で届く。
なぜ電報? いまだったらメールでも・・と思ったけれど、それはそれで意味があった。
人々はそれぞれが鎖に絡まれている。
新人は一重、長くいる人や他人のことがどうでもいい人たちは、何重にも鎖につながれている。
一人知恵遅れの少女がいる。
彼女は言われるとおりに素直に仕事をし、素直に行動する。
「白痴だから」という科白があった。
編集という仕事柄、差別用語だと思いビクッとする。
でも演劇の世界では違う。
それもこの舞台の中では意味がある言葉だった。
(どうも仕事柄、言葉に神経質になりすぎている)
そして工場ではネズミが何匹も死んだ。
原因は?
工場の衛生状態?使用している粉?
まだ正常の意識をもっている新人が、警察と保健所に届けた。
でも何も起こるはずもなく、電報をとどけにくる女は子供にビスケットを食べさせたいという。
人々はなにがあっても、そばで人が死んでいようと感情を持たない。
この死んだ人間も、実は工場の不正らしきものに耐えられずヤメタのだが、工場の外の世界のほうが、よほど厳しかった。
鎖が感情の一つ一つを、正しい心のかけらをがんじがらめにしているのだろうか。
そして最後は、正義感あふれる新人の自殺で終わる。
世の中、正義だけでは生きられない。
ただしいことは何もない。
自分が強くなければ生き抜けない。
以前、知人がやっている芝居を見たことがある。
ハムレットだった。もちろん新解釈の。
言葉を気にする私。
オフェーリアが訛るのが気になって仕方なかった。
今回も、何度も何度も練習を重ねたのだろうけれど、やはり声の強弱が気になる人がいた。
それにしても、たぶん、最初はバラバラだったのだろうけれど、良くまとまった舞台だった。
形は違うが、私もバラバラのものをひとつの本に仕上げる仕事をしているから、演出者の苦労が偲ばれる。
たまには、こういう元気で一途な人たちの舞台もいいものだ。
元気をありがとう!