Music from Gen-dai

お気楽色の僕らのBlue

二枚目

2009-12-17 00:02:36 | 日記
「二枚目=セカンドアルバム」には意外といい作品が多い。



「1枚目」で思うような理想の形を描けずに

次の理想の形を求めるべく製作される「二枚目」

「1枚目」で理想の形を手に入れ

肩の力の抜けたリラックス感で製作される「二枚目」

大体はこの2パターンに大別される。



どちらもいいのだが、僕の好みとしては後者の方である。

後者の方が、アーティスト自身の個性、好み、わがままが

色濃くあらわれていることが多い。その割りにサウンドは

すっきりとバランスの取れた演奏やアレンジにまとまっているのである。



そんな「二枚目」の中で好きな一枚をげるとするなら

Hirth Martinezの「Big Bright Street」(1977年作品)



The Bandのロビーロバートソンのプロデュースで有名な

ファーストアルバム「Hirth from Earth」は言わずと知れた名盤。

「1作目」でロビーとの共同作業で名盤を完成させた2年後に、今度は

ジョン・サイモンをプロデューサーに迎えて製作されたのがこの作品である。

モノクロ仕立てのような優しい魅力の「Hirth from Earth」に対して

本作では、Jazzやニューオーリンズ、サンバ、ラテン、フォークなどを

贅沢に盛り込んだ、おだやかな陽だまりのような明るさが満ち溢れている。



当時ロビー・ロバートソンが「Last Waltz」の製作のため多忙で

ジョン・サイモンがプロデュースを引き受けることになったそうだ。

バックミュージシャンもドラムにSteve Gadd、Jim Keltner

アコーディオンにGarth Hudson

ピアノ、オルガンにだみ声の兄貴分Mac RebennackすなわちDr.Johnが参加。

それを迎え撃つハースは、まったく自分にペースを崩さない好演ぶり。

圧巻は5曲目「The Mothman Samba」

サンバのリズムに乗っかったハースが「Big Bright Street」闊歩する様子が

目に浮かんでくる。




ヒゲ面の決して男前とはお世辞にも言えない彼だが

このセカンドアルバムを聞いてしまうと

「二枚目」の称号を与えたくなってしまう。
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背中合わせ

2009-12-16 00:26:12 | 日記
「pleasure(喜び)」と「pain(痛み)」は背中合わせ。


今まで出来なかった新しいことが出来るようになると

それと同時に思い通りに行かないことにも出くわす。


一つ成長して壁を乗り越えるということは

同時に次の壁にぶつかることでもあるのだ。



「痛み」なくして「喜び」はないし

「喜び」があるから「痛み」も我慢できるのである。


Dr.Hookの「Pleasure and Pain」(1978年作品)


カントリーテイストとディスコティックサウンドの融合した1枚


軽快なオープニングナンバー「Sharing the Night Together」

センチメンタルな「I Don't Want to Be Alone Tonight」

ダンサブルな「When You're In Love With A Beautiful Woman」

メロディアスなバラード「I Gave Her Comfort」

ファンキーなラストナンバー「You Make My Pants Want to Get Up and Dance」





人生と言う長い「障害物レース」は

まさに「pleasure(喜び)」と「pain(痛み)」の繰り返し。

その数の大小は各人によって異なるが

諦めない人ほど「痛み」をより大きな「喜び」に変えられるのである。
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再生

2009-12-15 00:07:25 | 日記
街は師走。


最近は郊外型のショッピングモールが発達したせいもあり

なかなか商店街に繰り出すことは少なくなった。

買いそびれていたCDがネットを探しても見当たらないので

昔良く通った商店街のレコード屋へと久々に出掛けた。



時間がないことと、便利さゆえに最近では

ネットでの検索、CD購入と言うのがまず最初になってしまい

お店に出向くのはネットで入手出来ない際の最後の頼みの綱となってしまっている。



先日商店街の再開発で、なじみのセレクトショップが閉店との話を書いたが

レコード屋へ向かう道中の商店街はシャッターの降りた貸店舗のオンパレード。

かつて僕らが子供の頃わくわくしながら歩いたその通りは

人こそいるものの明らかに活気がなく、「眠り」についているような感じがした。




Malcolm Holcombeの「Another Wisdom」(2003作品)




アメリカのブルーリッヂマウンテンをホームグラウンドに活躍する彼が

Country,Rock,Folk,Blues...の要素を「Wisdom(知恵)」により

新しい形でのアメリカーナサウンドにまとめあげた会心の一枚。


タイトルナンバー「Another Wisdom」で力強い8ビートと声に引っ張られたあと

「Sleepy Town」のアコギと彼の優しい声がすべてを包み込む。

時に「力強く」、時に「やさしく」

アコースティックギターの調べと彼のしわがれた憂いのある声が

語りかけるのである。




「眠り」にも「寝心地のよいもの」と「寝心地の悪いもの」がある。




「Sleepy Town(眠っている街)」も

「Another Wisdom(もう一つの知恵)」があれば

きっともう一度再生することは出来るだろう。
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シンコペーション

2009-12-14 00:01:53 | 日記
年末に向け忙しくなるので、久々に髪を切りに行った。


最近ではなかなか休みの日に一人になる時間がないのだが

髪を切っている間は一人になれる貴重な時間でもある。


昔から色気づくのが早かったせいか「散髪屋」や「美容室」に行く

のがとても好きだった。


小・中学校の頃は当然近所の「散髪屋」

わざと混んでいる時を見計らって行き、ジャンプ、サンデー、マガジン、チャンピオン

と言った週間マンガを片っ端から読みあさっていた。

それでも髪を切るときになるとあれやこれやと注文をつけて

翌日には学校に誇らしげな顔をして登校したものである。


高校、大学になると「美容室」へ。

最初の頃は「散髪屋」との違いにいろいろと戸惑いながらも

待ち時間にファッション雑誌や情報誌などを分かった風に読み

お店でかかる洒落た音楽に時折耳を傾け

出されるコーヒーを苦いなとおもいつつも飲み干し

精一杯背伸びして落ち着いた様子を装っていた。



Van Morrisonの「Moondance」(1970年作品)

タイトルチューン「Moondance」を含む前半3曲の流れは文句の付けようもない。

「And It Stoned Me」の土臭さで心をつかまれ

「 Moondance」の軽やかなスウィング感で大人のRockの世界へと引きづりこまれる。

シンコペーションの波に身を委ねながら

「 Crazy Love」の甘くせつない世界へと自然に流されて行く。

幾つ歳を重ねても、この三曲を聴くと「大人の香り」を感じずにはいられない。



たしかこのアルバムを初めて耳にしたのはどこかの「美容室」であった。

今ではもっぱら世間話と近況報告の場所なのだが

昔とは違い、妙に落ち着いた気持ちで「安らげる自分」と

昔と同様に、新しい髪型に「胸を膨らませる自分」がいる。





あの時の「Moondance」の「シンコペーション」の波はいまだに続いている。

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Good Design

2009-12-13 00:05:53 | 日記
物を購入する時の視点は人それぞれに違う。


「機能性」と「デザイン」

この二点が合致しているのが勿論理想ではあるが

なかなかそう上手いこといかないのが世の常である。


「機能性」を重視すれば、デザインはゴテゴテしてしまうし

「デザイン」を重視すれば、やはり省かれる部分が多くなる。

どちらを選択するかはそれぞれの価値観に最終は委ねられる。



大抵の場合僕は「デザイン」優先でものを選んでしまう。

僕が思う「デザイン」のいいものとは「余計なことをしていない」こと。

余計なことをしなければ、自ずと機能は絞り込まれる。

少々使いづらくても最小限の機能があれば何とかなるし

何より持っていて「気分がいい」



Jeb roy nicholsの「Just what time it is」(2000作品)



まずジャケットの「デザイン」に目がとまって思わず手にした作品である。

ソウル、レゲエ、カントリーミュージック、そしてパンクと言ったの彼の様々な音楽のバックボーンを

混ぜ合わせ、一つの確立した「デザイン」に落とし込んだマスターピースである。



新世代のソングライターとして何本かの指に入るメロディーセンス

少し鼻にかかったおだやかな声
 
緻密に計算されつつも、あくまで自然に耳になじむサウンド




アルバムオープニングナンバーのタイトルにもあるように

「Heaven Right Here」天国はまさにここにある。




そんな彼に遅ればせながら「Good Design」賞を贈りたい。
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