Music from Gen-dai

お気楽色の僕らのBlue

嗜好品

2010-09-30 09:49:58 | 日記
タバコ増税による駆け込み需要がニュースで多く取り上げられているが

タバコを吸わない僕としては今ひとつピンと来ないのが本音の所。


昨日昼間のコンビニに久々に行った所、実際に何カートンもストック用に

買い込むサラリーマンの生の姿を目の当たりにした。


人それぞれが好みによって味わい楽しむのが「嗜好品」

あり得ないことではあるが、これがCDやレコードの増税であれば

きっと僕も同じように駆け込み需要することだろう。

そう思うと本当にご愁傷様である。



Geoff Muldaur & the Nite Litesの「I Ain't Drunk」(1980)

01.Boogie Chillen' (Lead Vo.:Geoff)
02.That's How I Feel About You
03.Nobody Knows (Lead Vo.:Geoff)
04.I Ain't Drunk
05.Natural Ball
06.Down For The Count
07.Meanest Woman Blues (Lead Vo.:Geoff)
08.As Long As I'm Moving
09.Caldonia
10.Sea Sea Rider (Lead Vo.:Geoff)


デュオ、バンド、ソロと様々な形態で音楽を聞かせてくれるGeoffが

テキサス州オースティンのバンドthe Nite Litesと共演した作品。


Geoffの数ある作品群の中では余り大きく取り上げられることの無い

地味な存在の作品ではあるが、その評価に全く反して

非常にノリの利いたジャンプナンバーを聞かせてくれる。


Geoffのリードボーカルが4曲と少ないことが、その低めの評価の原因かも知れないが

トータルとしての出来から考えても、正当に評価されていい作品である。


イントロのギターの疾走感に引っ張られ

その他の楽器も負けじと駆け巡る「Boogie Chillen' 」

いつも以上にGeoffの声の伸びも感じられるオープニングにふさわしい一曲。


スローかつシンプルなサウンドの上に表現力豊かな歌が重なり

間奏のトランペットもなめらかに流れる「Nobody Knows」


ブローするハープがより一層ブルージーさを加える

ブルースナンバー「Meanest Woman Blues」


アカペラ部分と演奏部分を見事に使い分けた絶妙のアレンジが

素晴らしい「Sea Sea Rider」

様々な音楽形態を経験した彼だからこそなせる見事な仕事っぷりである。



お酒を全く飲まない僕は、当然「お酒に酔わさせる」ことはないが

Geoffの奏でる音楽は、いつでも僕をほどよく「酔わせてくれる」

僕にとっての「嗜好品」には是非とも増税はご勘弁願いたい。
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パブリックイメージ

2010-09-29 00:11:41 | 日記
良くも悪くも成功したものにつきまとうのが「パブリックイメージ」


ある一面のみが広く世間一般に認知されてしまうと

その一面のみを大半の人々が求めるようになってしまう。


例えばコンサートの流れの中で、アーティストの意思とは裏腹に

観客が求めるから演奏せざるを得ない曲がある。

アルバムの統一感を無視して、商業的にボーナストラックとして

追加される曲もある。


そんな「パブリックイメージ」を逆手に取って商業的にうまくやれる人々もいるが

そこに逆らって試行錯誤する様の方を僕は評価したい。


Maria Muldaurの「Open Your Eyes」(1979)

01. Fall In Love Again
02. Finally Made Love To A Man
03. Birds Fly South (When Winter Comes)
04. Heart Of Fire  
05. Lover Man (Oh Where Can You Be)
06. Open Your Eyes
07. (No More) Dancin' In The Street
08. Elona
09. Clean Up Woman
10. Love Is Everything  


オールドタイムレディの称号でノスタルジックな音楽を奏でて来た彼女が

音楽的な変遷の過渡期に発表した1979年作品。

70年代の終わりと言う背景もあり

洗練されたサウンドと、それまでのオールドタイミーなサウンドを掛け合わせた

マリアならではAOR色濃いソウル作品となっている。


幕開けとなるソウルフルな「Fall In Love Again」は

マリアの歌声にこれまでになくひと際のパワーが感じられる。


一転しておだやかな「Finally Made Love To A Man」

いつもの艶のある歌声に、こちらもいつものペースを取り戻すのである。


スティーヴィー・ワンダーのハーモニカと

丸みあるサウンドが印象的な「Birds Fly South (When Winter Comes) 」

名曲「Midnight At The Oasis」の風情を感じさせる本作屈指のナンバー。


アルバムタイトルにもなった「Open Your Eyes」はドゥービー・ブラザースのカバー。

シンセサイザーの音色が絶妙な、洗練されたサウンドを象徴する一曲。

やや押さえ気味の歌唱での豊かな表現力には感心させられる。


マイアミソウルを代表するベティ・ライトのカバー「Clean Up Woman」

軽快なサウンドにマリアの歌声がうまくハマっている。

間奏で聞かれるサックスソロも非常に軽やかで気持ちがいい。


ゴスペル調のコーラスとピアノに乗って丁寧に歌われる「Love Is Everything」

洗練されたソウル風味の本作を締めくくるにふさわしいナンバー。




商業的には十分な成功にいたらなかった本作であるが

「パブリックイメージ」を心得つつも、新たな局面を切り開いた

サウンドには文字通り「目を見張る」素晴らしさがある。
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衣替え

2010-09-26 23:50:42 | 日記
さすがにもう暑くなりそうな感じもないので夏物を片付け「衣替え」


秋口に活躍してくれるロングスリーブのシャツ。

若い頃は固苦しく感じられたが、年をとるにつれシャツを選択する率が高くなった。


毎日仕事でON用のシャツは着ている訳だが

マドラス、タータン等のチェックのシャツ、プルオーバーのシャツ

ダンガリーシャツなどOFFにのみ着られるシャツも沢山ある。


Guy Clarkの「Old No.1」(1975)

1. Rita Ballou
2. L.A. Freeway
3. She Ain't Goin' Nowhere
4. Nickel for the Fiddler
5. That Old Time Feeling
6. Texas, 1947
7. Desperados Waiting for a Train
8. Like a Coat from the Cold
9. Instant Coffee Blues
10. Let Him Roll


ジャケット写真のデニムの「ウエスタンシャツ」が象徴しているように

テキサスの芳醇な香りを届けてくれるGuy Clarkのデビューアルバム。


当時30歳半ばでのデビュー作品ということもあり

エイジングされた「ウエスタンシャツ」のごとく

経年の程よい色落ちや皺が刻まれたような渋さが際立つ作品である。


線路の上をゆっくりと走り始める列車の車窓からの風景に

この上なくマッチする冒頭の「Rita Ballou」


Jerry Jeff Walker によるカバーでも有名な「L.A. Freeway」

数々のアーティストから取り上げられることからも

彼の作る曲の秀逸さが伺い知れる。


心のひだに深く浸透する「She Ain't Goin' Nowhere」「That Old Time Feeling」

「Desperados Waiting for a Train」のツボをついたメロディ。

渋さの極みと言える彼の歌声に、女性コーラスの歌声がやさしく柔らかさを添える。


クールさを醸し出すバックサウンドから

後に加わる高揚感がたまらなくいかしている「Texas, 1947」


エンディングは再びシンプルなギターサウンドの戻ってのトーキングスタイル。

広大なアメリカ大陸をゆったりと駆け抜ける列車のように

彼の曲もまた僕らの心の中を駆け抜けるのである。



「衣替え」をして、真っ先に袖を通したのはデニムの「ウエスタンシャツ」

秋風とアメリカの音楽にこれほどマッチするシャツは他にない。
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二本

2010-09-25 00:32:06 | 日記
バンドにおける「二本」のギター。


バッキングへの信頼があってこそ

伸び伸びとギターソロやオブリガードを弾くことが出来る。

反対にギターソロやオブリガードをいかすためには

目立たずとも土台のしっかりしたバッキングをこなすことが大事。


なかなかこのバランスがうまくいかないのは

二人以上のギタリストがいるバンドを経験した方なら

きっと分かってもらえることだろう。

こんな時に「自分が二人いたら」

自分だからこそ分かる、押し引きのちょうど良い加減。

「地味な仕事を堅実にこなす自分」

「のびのびと前に出て行ける自分」


ただどんなにあがいても現実「自分は一人」


Alex McMurrayの「Banjaxed」(2005)

01. High Summer
02. Wedding Day
03. Joliet
04. The Man Who Couldn't Whistle
05. Council Bluffs
06. Effortless Binge
07. Our Kind Of Rain
08. 1914
09. Upon The Soggy Bottom
10. It's Not The Years, It's The Miles
11. Lazy Eye
12. The Day After Mardi Gras Day
13. The Old Bar
14. Barry's Fashion Lighters
15. Ballad Of An Old Dog


ニューオーリンズのロックバンド「Royal Fingerbowl」「Tin Men」でも

中心人物として活躍したAlexの2005年発表のソロアルバム。


叙情的なソングライティングとしわがれた声が

本格的に秋到来のこの季節にとても心地よい。

ロック、ブルース、ジャズ、ファンクといった要素を消化した末の

フォークと言える本作のサウンドには

何年間も熟成された旨味が溶け込んでいる。


ギタリストとして参加している親友ジェフ・トレフィンガーの自宅で録音されたという本作。

「Effortless Binge」のアコースティックな肌触り

「It's Not The Years, It's The Miles」の乾いたトランペット、ピアノを配したジャジーな味付け。

「Lazy Eye」のいきそうでいかない軽妙なブギ。

「Barry's Fashion Lighters」の洒落たラウンジスタイル。


バンド時代とのサウンドの一番の違いはギター。

アレックスとジェフの「二本」のギター。

どちらが大きく主張することなく適材適所の役割をこなし

アレックスの歌声がバンド時代よりも耳に良く馴染む。



このつかず離れずの「二本」のバランスが

現在活動休止中のバンドの再始動の最大のキーポイントであることは間違いない。
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心の旅

2010-09-22 10:26:31 | 日記
あと一週間ほどで今年度の「上半期」が終わる。


半期を振り返ると、僕自身は対して身の回りに変化はないが

僕の周りの人々には、変化が起こった「上半期」であった。


新しい環境に飛び込んで行った彼らの奮闘ぶりを見て

感じさせられることが山ほどある。



Guthrie Thomasの「Guthrie Thomas」(1975)

01. Rollin’ Home
02. Looking For You
03. Traveling Man
04. Right By My Side
05. Tonight
06. Too Young Too Sing The Blues
07. Emily
08. Dear Ginny, Dear Ginny
09. In A Young Girl’s Mind
10. Ole Sawdust



ノーマン・シーフ撮影によるジャケット写真が印象的な彼の1stアルバム。

SSWの名作として紹介されることの多い本作であるが

ジム・ケルトナーのドラムがサウンド面での大きな役割を担っており

スワンプ色も至る所に見え隠れするアクの強い一枚となっている。


大地を踏みしめる足取りのようなドラムのリズムに乗っかり

ゆったりと歩を進める「Rollin’ Home」

アコーディオンとコーラスがやさしくメロディを引き立てる「Looking For You」


ローリングするピアノ、うねるスライドギター、どっしりとリズムを刻むドラムが

冒頭の2曲のSSWらしい展開に慣れた耳に喝を入れる「Traveling Man」

彼の歌声もヤサグレ、スワンプ色濃い会心の仕上がりである。


転がり続ける旅の夜

空に光る星のすがたが浮かんでくるような

ロマンチシズム溢れる「Tonight」


フィンガー・ピッキングのアコギに乗って

彼の人間味ある歌声を堪能出来る「Emily」「In A Young Girl’s Mind」

内面を吐露したようなその歌声に心を動かされないものはいない。


そして厚みのあるコーラスと力強いギターのストロークが

新たな旅の始まりを予感させてくれるラストナンバー「Ole Sawdust」



同じ日本、同じ地球にいて

同じ月や星を違う所で見ている同士たち。

彼らの奮闘ぶりに負けないように

僕自身は場所は変わらずとも「心の旅」を続けて行かなければならない。
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