Music from Gen-dai

お気楽色の僕らのBlue

ピアノ

2010-04-28 00:23:52 | 日記
幼い頃はいろいろと習い事をしていた。

いや正しく言えばさせられたいたのである。


その中でも今となってきちんとやっておけばと良かった思うのが「ピアノ」


あやふやな記憶ではあるが、小学生の高学年になった頃やめてしまった。

とにかく当時はピアノなんぞは男のするものだと思えなかったし

公園で野球をしている友人らを横目に

ピアノの練習に行かねばならないことが苦痛でならなかった。


「遊び」と「習い事」の間の葛藤は、この年頃の男の子であれば

避けられないことである。


音楽にのめり込むようになった頃には「ピアノ」という

鍵盤楽器を男が自由に操れることの格好よさに気づくことになるのだが

時すでに遅しで、あっという間に我が身からその経験は薄れてしまっていた

のであった。


Frank Weberの「Frank Weber」(1980)


1.TAKE IT TO THE LIMIT
2.THE OLD MAN
3.YOU CAN COME HOME TO ME
4.BETWEEN N.Y. AND L.A.
5.WHO WROTE THE ANSWERS
6.REFLECTIONS OF MYSELF
7.JUST LIKE EVERYONE ELSE
8.ONLY FOR TONIGHT
9.BETWEEN N.Y. AND L.A.
(Reprise-Instrumental)



ニューヨークの本拠地に活躍したピアノ系のシンガーソングライターである彼の

2ndアルバム。


アルバムの邦題が「ニューヨークのストレンジャー」ということからも分かる通り

ビリージョエルの後を継ぐ存在として注目されていた彼。


本作発表の後は結局のところ表街道を歩くことはなかったのだが

大仁田厚似の風貌のアルバムジャケットからは想像しがたい

都会的な洗練されたジャジーなサウンドのおかげで

AORの名盤としての呼び声の高い一枚に数えられることとなる。


オープニングを飾るEaglesの「Take It To The Limit」

スローな原曲とは対極的な16ビートのナンバーに仕上げつつも

最後には原曲のテンポに戻す心憎い演出に一気に引き込まれてしまう。


とどめはアルバムのハイライトとも言える

4曲目の「BETWEEN N.Y. AND L.A.」

文字通り「ニューヨークの洗練さ」と「ロサンゼルスの爽やかさ」を

兼ね備えた最高の一曲である。

ニューヨークとロサンゼルスを見事に繋ぎ合わせるのは

彼自身が演奏する「ピアノ」の調べ。



現在ギタリストの僕であるが

このアルバムを聴く度に

あの時やめてしまった「ピアノ」のことを後悔してしまうのである。
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ありがとう

2010-04-26 00:03:12 | 日記
今日は久々のバンド練習。


今更ながら、今の僕の状況で月に2回とは言え

好きな音楽を演奏する時間を持てていることは本当に幸せなことである。


それもこれも、僕の本当に好きなものを尊重してくれる妻と息子のおかげである。


大分こなれて来た僕らの演奏であるが

きっと近い将来に実現するであろうLiveの日には

二人に「ありがとう」の感謝の念をこめて

楽しんで演奏する姿を見せたいと思う。


小坂忠&Soul Connectionの「Soul Party 2009」(DVD)


1. ありがとう
2. everyday angel
3. Hard to say、偶然と必然の間
4. はぐれ雲
5. Right Boots
6. ふうらい坊
7. ほうろう
8. シェルター
9. ラストピース
10. Runway
11. Don’t you worry babe
12. 機関車
13. ゆうがたラブ
14. ふたりの理由、その後


アルバム『Connected』発表後、アルバム制作メンバーを率いてのツアー

Billboard Liveを収録したDVD作品。

佐橋佳幸(g)、小原礼(b)、Dr.kyOn(key)、高橋幸宏(ds)
山本拓夫(sax)、西村浩二(tp)、藤井真由美(cho)、鈴木桃子(cho)

という鉄壁のバック陣の演奏に支えられての

忠さんの歌声は非常に伸びやかであり

かつ自身の築き上げた音楽人生を本当に心から

楽しんでいることがが何よりその佇まいから伝わって来る。


冒頭の幸宏氏(忠さん曰くは幸ちゃん)とのトークの後に

二人で歌われる「ありがとう」


忠さんご自身で弾かれるギターの音、歌声、幸宏氏のハーモニー

すべてが一体となって鳥肌物の幕開けである。

(ボーナス映像での細野氏も参加した三人の演奏ヴァージョンもこれまた鳥肌ものである。)


最新作「Connected」からの楽曲も素晴らしいが

やはり日本音楽史上の不屈の名盤「ほうろう」からのナンバー

「ふうらい坊」
「ほうろう」
「機関車」
「ゆうがたラブ」

今の巷にあふれる中途半端R&Bもどきの歌を一蹴してしまうような無敵のパワー。

今の日本でこれだけの音を出せる若手が果たしているであろうか。


60歳をこえての円熟の境地。



見終わったあとに僕の口から出た言葉は

勿論「ありがとう」だけである。
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田舎

2010-04-25 00:03:36 | 日記
田舎で育った人間は二つの相反する感覚を持ち合わせている。


一つは都会の洗練されたものに対するあこがれ

もう一つは田舎のゆるやかな時の流れへの執着心


20代の頃は僕も多分に漏れず「都会へのあこがれ」が強かったわけであるが

歳を重ねて行くごとに「ゆるやかな時の流れ」を選択する自分がいることに気がついた。


そんな過程でフィットする音楽も明らかに変わって来た訳で

20代の頃には理解出来なかった「カントリーミュージック」が

いつの間にやら僕の身体に染み付いて離れない。



The Gourdsの「Bolsa de Agua」(2000)

1. El Paso
2. Jesus Christ (With Signs Following)
3. Big Santiago Bust
4. Receipts and Fevers
5. Pickles
6. O Rings
7. Bugs
8. Waterbag
9. Hallelujah Shine
10. Layin Around the House
11. Meat off the Bone
12. Flamenco Cabaret
13. Turn My Head Around
14. Tearbox
15. High Highs and Low Lows



Austinを基点にルーツに根ざしたサウンドを自由きままに演奏する彼らが

2000年に発表した4thアルバム。


僕が彼らのアルバムに目をとめたのは

たしかタワーレコードの視聴コーナーの

「現代のThe Band」という文字を見つけたことからであった。


The Bandがシーンから身を退いたのちに、数多くのフォロワーが登場した訳だが

大抵のバンドが消化不良に終わっているケースが多い。

そんなこともあり、あまり期待せずに聴いたのであるが

のっけからの「いなたい」サウンドにすかっりやられて

気がつけばそれからしばらくの間毎日聴く愛聴盤となってしまった。


つまり2000年代におけるThe Bandサウンドのあるべき形を

完璧な形で継承しながらも、紛れもない自分たちの音を完成させた

名作なのである。


CDには1曲目「El Paso」のクリップが映像として収録されているが

本当にその辺にいるような人の良さそうなおじさん達が

一つも飾ることのなく、ただただ演奏を楽しんでいる。



「快速韋駄天ランナー」の気分で最先端の流行を追うことよりも

やわらかい日だまりの「田舎の小道」を、自分の歩調で無理なく歩いているような

そんな気持ち良さを感じながら日々を、音楽を楽しんで行きたいと思う。
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浪漫

2010-04-23 00:40:38 | 日記
先日隣人の大先輩と懐かしのアニメソングの話で盛り上がった。


結論として僕らが幼少期の、とりわけエンディングテーマには秀逸なものが

多いということでまとまった。


そんな中でもその場にいたみんなが絶賛したのが

宇宙戦艦ヤマトの「真っ赤なスカーフ」(作詞:阿久悠)


今更ながら歌詞を改めてこの歳になって読んでみると非常に奥深い。

「あの娘がふっていた真っ赤なスカーフ」

「だれのためでもいいじゃないか みんなその気でいればいい」


男はみんな、何かしらそんな「浪曼」につき動かされているのかもしれない。



Rickie Lee Jonesの「Rickie Lee Jones(浪曼)」(1979)


1.Chuck E's In Love
2.On Saturday Afternoons In 1963
3.Night Train
4.Young Blood
5.Easy Money
6.The Last Chance Texaco
7.Danny's All-Star Joint
8.Coolsville
9.Weasel And The White Boys Cool
10.Company
11.After Hours



プロデューサーにレニー・ワロンカー、ラス・タイトルマンを起用し

1979年に発表された彼女のデビューアルバム。


スティーブ・ガッド、ランディ・ニューマン、ニック・デカロ

ニール・ラーセン、バジー・フェイトンなどの

錚々たるミュージシャン達が顔を並べた作品ということもあり

単なるポップスの枠のみにとどまることなく

ジャズやフュージョン的要素も合わさった大人の音楽=AORに仕上げられている。


そして何よりこの作品を特別なものにしているのは

唯一無二な彼女の声。

ジャケット写真での物憂気な佇まいから想像出来る

当時25歳の彼女が描く等身大の恋の歌が冒頭から流れてくる。

ヒットナンバー「恋するチャック」のゆるやかなリズムのイントロの後に

そのアンニュイかつチャーミングな声がのっかり

さらに奥行きと深みの伴った音楽となって世に鳴り響いたのである。

結果として本作は79年を代表するヒット・アルバムとなり

グラミー賞の最優秀新人賞を獲得することとなる。




気まぐれの様であっても、優しさや繊細さを持ち合わせる彼女の姿こそ

世の男が求める「浪曼」の形なのであろう。
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既成概念

2010-04-21 00:40:01 | 日記
最近お絵描きが大好きな息子から

リクエストを受けていろいろと絵を描くことが多い。


リクエストの絵が出来上がった直後は満足気に喜んでいるが

次の瞬間には、その喜びがペイントに変わり

いつのまにか僕の力作は塗りつぶされてしまう。


色の「既成概念」を卓越した感性で

あっという間に息子のアート作品が出来上がる。

助手である僕はただ傍らで見守るのみなのだ。


塗りつぶし終わると、またお気に入りの下絵が欲しいとねだられる。

どうやらそんなエンドレスなやりとりが楽しいらしく

毎朝のように「描いては、塗りつぶす」という二人の時間を

楽しくも大変に過ごしている。




Eric Burdon & Warの「The Black-Man's Burdon」(1971)

ディスク:1
1. Paint It Black Medley: Black on Black in Black/Paint It Black/Laurel
2. Spirit
3. Beautiful New Born Child
4. Nights in White Satin, Pt. 1
5. Bird & the Squirrel
6. Nuts, Seeds and Life
7. Nights in White Satin, Pt. 2
ディスク:2
1. Sun/Moon
2. Pretty Colors
3. Gun
4. Jimbo
5. Bare Back Ride
6. Home Cookin'
7. They Can't Take Away Our Music



Animals解散後にバックをつとめてくれるバンドを探していたEricが

ナイトクラブで演奏していたファンク・バンドをスカウトして

結成されたのがEric Burdon & War



Ericが在籍した約1年の間に発表されたのは2作品であるが

アルバムタイトルやジャケットのごとく

リズムや歌のすべてに「黒さ 」が充満した1971年作品が本作である。


アルバムの冒頭、Animals時代にもカバーしていた「Paint It Black」を

ラテンアレンジにてメドレー形式で聴かせてくれる。

高速パーカッションにあおられるように

全ての楽器が血がたぎるような演奏を繰り広げ

さらにEricの情念に溢れた「黒い」叫びが合わさり

極上のラテングルーヴに包まれる。


ストーンズの「Paint It Black」という完成形に慣れ親しんだ

我々の耳の「既成概念」を

一瞬のうちに「黒く」ぬりつぶされてしまう衝撃の作品。




僕の頭の中にある古びた「既成概念」も

今後息子の成長のごとに塗りつぶされていくことだろう。
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