
ゼムリャニーカ(ワイルドストロベリー)につづいて、10日から15日あとにビルベリー(チェルニーカ)が熟れます。
モスクワ地方では平年七月三日。
古くから「ビルベリーが熟れると、ライ麦も熟れる」といわれ、ライ麦の刈り取りの目安にされてきました。
黒くって、ちっちゃくて、甘くって、
子どもたちが好きなもの。(ビルベリーのなぞなぞ)
ビルベリーはワイルドストロベリーとともにロシアの人びとにとても親しまれているベリーです。たいていのひとが子供時代にこのベリーを食べて、口の中を紫色に染めた経験を持つそうです。シーズンは長く、初収穫から一月たっても摘むことができます。ビルベリーはからりと晴れた日に朝露が上がってから摘みます。ベリーは汁気が多くやわらかなので摘み取ったら、袋ではなく籠やバケツにつぶれないよう注意して入れるようにします。
ビルベリーは中部ロシアの針葉樹の森の下草として生育する高さ10センチから50センチまでの背の低い潅木です。行けども行けども針葉樹とビルベリーの茂みの連なる森はロシアのごくふつうの風景です。紅色の花は五月末チェリョームハ(エゾノウワズミザクラ)と同時に咲きます。花とともに秋の真っ赤な紅葉も美しい。
採ってきたベリーはそのまま生食するほか、ドライフルーツ、ヴァレーニエ、砂糖煮、キセーリ、果汁、シロップ、果実酒などに利用します。乾燥の仕方は屋外で陰干ししたあと、ペーチ(暖炉)や乾燥器で皮が破れないように注意して六〇度以下で低温乾燥します。
ワイルドストロベリーとビルベリーを食べる家は医者いらず
かつて民間療法で腎臓結石、ビタミン欠乏症、貧血、壊血病、痛風、リューマチ治療に広く用いられました。現在でも幼児の軽い下痢にチェルニーカのキセーリは家庭の常備薬です。
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キセーリの作り方
実1カップを裏ごしします。なべに2,5カップの熱湯、4分の3カップの砂糖を入れ、かきまぜて、煮立たせ、火をとめます。そこへ大さじ2の水で片栗粉をといて加え、さっと煮立て、裏ごししたピューレを加えてよくかき混ぜてできあがり。
実1カップを裏ごしします。なべに2,5カップの熱湯、4分の3カップの砂糖を入れ、かきまぜて、煮立たせ、火をとめます。そこへ大さじ2の水で片栗粉をといて加え、さっと煮立て、裏ごししたピューレを加えてよくかき混ぜてできあがり。
ビルベリーは最近日本でもよく知られていますね。青紫色素アントシアニンがブルーベリーよりも多く、目の疲れに効くサプリメントとしてさかんに宣伝されています。たしかにずっと以前からロシアの猟師たちはビルベリーの実を食べると目の疲れがとれ、遠目が効くとして好んで口にしました。また葉には血液中の糖の量を下げる効果があることが判明し、糖尿病の治療に用いられています。
ビルベリー
(別名 セイヨウスノキ)
学名Vaccinium myrtillus
英名Billberry