fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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俳句の盗作について……『俳句ステップ!』にまつわる話

2020年09月14日 | 日記
 おかげさまで「俳句ステップ!」に嬉しい感想をたくさんいただいています。ありがとうございました。
 おおぎやなぎさんじゃなきゃ書けない話。こういう本は、これまでなかった。などもあり、私が長く俳句をやってたことをご存じの方は、そこをとくに言ってくださいます。
 それは、あると思うのです。
 そのひとつが「盗作」問題です。

 この作品では、悪意のない「盗作」が描かれています。
 これも、実は長く俳句をやっていると、案外ありがちなんです。
 
 今人気のテレビ番組でもありましたね。有名人が出した俳句が、その後、新聞の俳句欄に以前発表されていた俳句とそっくりだったと指摘されました。SNSだと結構過激に「盗作」と責められてしまいます。
 また私がやっている会の方も、あるとき「○○賞を受賞しました」と報告してくださったので、みんなで「おめでとう!」とお祝いしたところ、後日その方から電話があり、「実はあの俳句、辻桃子先生のによく似たものがあることがわかったんです。自分はそれを真似たつもりじゃなかったんですが、どうしましょう」と告白されました。私自身も先生の俳句はほぼ読んでいるのですが、全部は覚えていず、確かめたところ、確かに季語が違うだけで、他は同じ。困って先生に電話をし、受賞は本人から取り下げてもらいました。
 本人は大変ショックだったようです。でも、先生の句を読んで「いいな」と思って、あとは忘れてしまっていた。それが、自分で俳句を作っていたときに、自分の句のように出てきてしまった。そんな感じなのです。
 その方には、辛いでしょうが、他から指摘される前に自分で取り下げれば大丈夫。あとは時間がいやしてくれます。と申し上げました。

 また私が句会をやっているかわせみ句会でもありました。
 すごくいい句だなと思い、特選で選んだのですが、後日有名な俳句にかなり似ていることに気づきました。これは、ご本人にだけ、伝え(もちろん、その方は元の句をご存じなかった)「これだけ、有名な俳句に似たのを知らずに作れるということは、○○さんの力があるということです」と申し上げました。

 私の場合、ずっと前、「種蒔くやたちまち土に見失ふ」という句を句会に出したら、先生に中村丁女に「大根蒔く土の黒さにはや見えね」という句があって、それを思い出すと指摘されました。これなど、 似てはいるけど違うととらえてもいい範疇かなとも思うのですが、そう指摘されたからには、捨てました。(こういう話題のためだけにとってある?)
 俳句はとにかくたくさん作る、捨てる、そして残す。なので、それでいいのです。
 
 そこまでいかなくても、誰かが作ったような俳句を作るって、あるあるです。
 「これ、有名な俳句にあるよ」と言われたら、自分のはいさぎよく捨てればいいだけなのです。
 
 

  


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