fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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大久保りん句集『薔薇一輪』(2)

2022年03月14日 | あいさつ
           

落葉踏む彼の日と同じ音たてて
 嬰(こ)に見せる絵本の中も雪がふる
 その中の後家の雛も納めけり
 九月かなちやらんぽらんと雲流れ
 老人にあきあきしたる枯蟷螂
 人の世もとどのつまりは牡丹散る
 賜りし余生に飽きて水中花
 春待つや何年経つても老人で
 春立つやなにくそと押す車椅子
 寝疲れといふ疲れありスィートピー
 一年もいや一日も夢や冬
 薄氷に閉ざされし泡ゆき場なし
 一片の塵もまじえず桜散る
 これからが本番といふ暑さかな       大久保りん


 この方のこれらの俳句が、教科書に載ったり、有名な句として後世に伝わるかと言えば、そんなことはないかもしれません。俳句をやるのはなんのため? この疑問は、句会のたびに、「楽しいから」「でも選んでもらえたら、やはり嬉しい」という思いとともに、抱いています。
 私の句など、死んだとき、誰が読んでくれるものか・・?
 それでも、まだまだ止めずに作っていきましょう。。

 指導者として、他の方の句を選んだり、直したりするときも、実はこんなに厳しくせず、もっとただ楽しんでもらえるようにしようかなとも思うのです。でも・・・。自分の句が選ばれるかどうか? 褒められるかどうか? のところにいては、ダメです。この方のこの句と出会えてよかった! そうなっていただきたいと思うのです。
 りんさんの句と出会えてよかった。りんさん、ありがとうございました。