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「童子」主宰辻桃子の第十三句集です。津軽の居を移してから、都を離れた町に残る風土を句にし続けている作者は、あとがきでも、「失われてゆくものの面影を訪ねてひろい歩くことが、私の俳句なのかもしれない。時代の流れに忘れられてゆくものをこそ詠み留めておきたい」と書いています。馬っ子市(まっこいち)も、また津軽でも、消えかけているもののひとつなのです。
湯気立てるところに列や馬つ子市
小正月長老が幣届けに来
待春の掃けば逃げゆく綿埃
太刀魚に魚の市場の灯のうつる
ざんばらの風の牡丹となりにけり
はいてゆく下駄のつめたき螢の夜
冬ざれのさらさら量りさくら蝦
冬蠅の来れば叩きて鱈干せり
雪沓やずらり日曜学校に
俳句を作るというのはこういう場面に出会うために出かけることでもあるのだなと思う次第です。出不精だなんて言っておらず、外に出よう。そして私も、岩手ですごす時間を大事にしたいと、改めて思いました。