石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(8月25日)

2020-08-25 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・サウジアラムコ、中国遼寧省の精製石化プロジェクト中止説を否定。一方でポートフォリオ見直し組織発足
(中東関連ニュース)
・米国務長官、中東歴訪でイスラエル首相と会談。UAEに続くアラブ国家を期待
・シリアのガスパイプライン爆発で一時大規模停電。IS残党の犯行と断定
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コロナ禍で大幅な減収・減益:五大国際石油企業2020年4-6月期決算速報 (10)

2020-08-25 | 海外・国内石油企業の業績
(付) 国際石油企業3社(Shell、BP及びTotal) のキャッシュフロー
1.まえがき
 キャッシュ・フロー(cash flow、現金流量)とは、現金の流れを意味し、主に、企業活動や財務活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。欧米では古くからキャッシュ・フロー会計にもとづくキャッシュ・フロー計算書(Cash flow statement, C/F)の作成が企業に義務付けられており、日本でも1999年度から上場企業は財務諸表の一つとしてキャッシュ・フロー計算書を作成することが法律上義務付けられている。

 キャッシュ・フローは(1)営業キャッシュ・フロー(日常的な、生産・営業活動によって稼得する現金と、それに要する現金コストの収支)、(2)投資キャッシュ・フロー(工場新設やビル建設・トラック購入などの設備投資・有価証券投資に要する現金支払いと資産売却による収入)及び(3)財務キャッシュ・フロー(財務活動による現金の収支)の3種類があり、これらの総合収支が会計期間内の現金収支であり、期首(前期末)の現金(及び現金相当物)の残高に期間内の収支を加えたものが当期末の現金(及び現金相当物)となる。

 因みに上記項目の英語はShellの決算書では以下のように表記されている。
営業キャッシュ・フロー: Cash flow from operating activities
投資キャッシュ・フロー: Cash flow from investing activities
財務キャッシュ・フロー: Cash flow from financing activities
期間内収支: Increase/(decrease) in cash and cash equivalents
期首残高: Cash and cash equivalents at beginning of period
期末残高: Cash and cash equivalents at end of period

 五大国際石油企業の第2四半期決算書では、Shell、BP及びTotalは4-6月の3か月間のキャッシュ・フローが明示されているが、Chevronは1-6月の半年間のフローが表示され、またExxonMobilは営業キャッシュ・フローのみの明記にとどまっている(なお毎年3月に公表される年間決算書では完全なキャッシュ・フロー・シートが公開されている)。

 従って本稿ではShell、BP及びTotal3社の2020年第2四半期キャッシュ・フローに加え、3社の2019年第2四半期から今期まで5期の四半期の営業・投資・財務及び期末残高の各キャッシュ・フローの推移を見ることとする。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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BPエネルギー統計2020年版解説シリーズ天然ガス篇 (18)

2020-08-24 | BP統計
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0511BpGas2020.pdf


BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2020」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。
 *BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

(中国が世界最大のガス輸入国に!)
(5) 2019年の天然ガス貿易(パイプライン + LNG合計)
(5-1)輸出 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G08.pdf 参照)
 2019年のパイプライン(以下P/L)とLNGを合わせた天然ガスの輸出(入)量は世界全体で1兆2,866億㎥であった。輸出量トップはロシアの2,566億㎥であり、内訳はP/Lによるものが2,172億㎥、LNGが394億㎥であった。世界の輸出全体に占める同国の割合は20%である。これに次ぐのがカタールの1,286億㎥であり、内訳はLNG輸出が1,071億㎥、P/LはUAE向けの215億㎥である。第3位は米国の1,229億㎥で、内訳はP/Lによるものが754億㎥、LNGが475億㎥であった。これら3カ国が天然ガスの三大輸出国であり、合計シェアは世界の40%に達する。その他の主な輸出国はノルウェー、オーストラリア、カナダ、アルジェリアなどである。

(5-2)輸入 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G07.pdf 参照)
 一方輸入国としては中国が1,325億㎥と最も多く、次いでドイツが1,096億㎥、日本が1,055億㎥である。輸入量が1千億㎥を超えるのはこの3か国だけであるが、3カ国の合計シェアは27%にとどまり、輸出量上位3か国のシェア(40%)に比べかなり小さい。輸出は少数の国に握られ、輸入は多くの国が群がっていることが読み取れる。

輸入国の順位では2017年まで日本が世界第1位であったが、2018年に中国がトップになっている。中国の輸入は今後も日本を上回るペースで増加すると考えられ、同国が世界一のガス輸入国に定着することは間違いないであろう。日本とドイツを比べると、日本は全量がLNG、ドイツは全量P/Lと特色が分かれている。第4位以下は米国(747億㎥)、イタリア(675億㎥)、フランス(601億㎥)、メキシコ(574億㎥)と続いている。なお既述のとおり米国は隣国のカナダあるいはメキシコとパイプラインによる相互貿易を行っていることもあり、世界3位の輸出国であると同時に世界第4位の輸入国でもある。

(天然ガス篇 貿易量完)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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石油と中東のニュース(8月23日)

2020-08-23 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・トルコ、黒海で大型ガス田発見
(中東関連ニュース)
・ポンペオ国務長官とクシュナー大統領顧問、それぞれイスラエル、UAEなど中東諸国来週歴訪
・UAE、イスラエルとの安全協定締結説を否定
・IAEA事務局長、イラン訪問へ
・リビア、暫定政府と国会が停戦発表。実効性に不安、ハフタル将軍の出方が鍵

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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(44)

2020-08-23 | その他
(英語版)
(アラビア語版)

第6章:現代イスラームテロの系譜

1.イスラームテロの萌芽
イスラームテロの問題に入る前にまずテロリズム(以下テロと略す)の定義について考えてみる。広辞苑によれば「テロリズム」とは「政治目的のために、暴力或いはその脅威に訴える傾向。また、その行為。暴力主義。」とある。テロの動機としては民族の対立、宗教の対立、イデオロギーの対立の三つに分けることができよう。これまで度々触れてきたように民族の対立は「血」の問題であり現代風に言えば「DNA」の対立ということになろう。そしてイデオロギーの対立は「智」の問題、宗教の対立は「心」の問題ということになる。

中東における民族の対立を起因とするテロとしてはクルド民族独立運動に絡むテロ活動があげられる。民族テロ事件は世界各地で絶えない。血=DNAが根本にあるだけに多分将来も無くならないであろう。しかし第二次大戦後に国際社会が国民国家を基本とするようになり、民族紛争は小規模で地域限定的なものになりつつある。

イデオロギーの対立を起因とするテロは戦後の米ソ冷戦構造のなか世界各地で頻発した。アルゼンチンに生まれたチェ・ゲバラがキューバでカストロ兄弟と共に行ったテロ活動は独裁政権に対する社会主義イデオロギーのテロであった。イデオロギーという思想のテロは智の産物であるだけに民族テロ或いは宗教テロに比べ、世界各地にの思わぬ場所に飛び火する性質がある。しかしこの種のテロは1990年のソ連の崩壊により、自由主義・資本主義が社会主義・共産主義を超克して以降、急速に下火になった。フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」はまさにそのことを言い当てている。

これら民族或いはイデオロギーによるテロに対して宗教に起因するテロは宗教そのものが民族の境界或いは国境を越えて浸透する特性を持っているため、民族テロよりは地域的な広がりを持つ。古く西欧の帝国主義、植民地主義の時代、キリスト教の宣教師はある意味侵略の先兵となって布教活動を行っている。宣教師たちに侵略者の意識は無かったであろうが、「神」或いは「キリスト」の名のもとに現地に根付いた宗教をキリスト教より劣ったものと扱った。それに対して地域古来の宗教が報復のテロで応じた例も少なくない。

宗教テロには対立する相手により三つの形態が考えられる。一つは異教徒との対立であり、二つ目は智のイデオロギーとの対立、そして三つめは同じ宗教の中の宗派対立によるものである。イスラームを一方の当事者として見ると、異教徒との対立は同じ一神教のユダヤ教、キリスト教との対立として現れる。一神教が神は唯一であるとする以上、論理的に言えばユダヤ教の「エホバ」とキリスト教の「ゴッド」、そしてイスラームの「アッラー」は同一の存在ということになる。実際イスラームではアッラーもゴッドもエホバも同じものとみなしている。しかしイスラームより古いユダヤ教及びキリスト教は旧約聖書と新約聖書としてお互いを認めるが、イスラームのアッラーは受け入れない。こうしてユダヤ教・キリスト教連合対イスラームという形で何世紀にもわたる宗教間対立を続けてきた。

20世紀になるとイスラームはイデオロギー(智)の挑戦を受ける。アッラーの絶対的存在を前提とするイスラームにとって共産主義無神論はまさに悪魔の教えでしかない。イスラームの無神論に対する拒否反応は自由主義・資本主義の洗礼を受けたキリスト教とは比べ物にならないほど大きい。共産主義が国家権力を握ったとき、イスラーム勢力はテロによって対抗する。アフガニスタン紛争がまさにそれであった。

そして共産主義が勢力を失ったとき新たに発生したのが宗派の対立であり、それによるテロであった。同じ宗教の間の宗派対立は「正統性」をめぐる対立である。イスラームのスンニ派とシーア派の分裂と対立は預言者ムハンマドが死んで間もない時期に発生した。スンニ派はイスラームの教えの正統性を、シーア派は預言者の血統の正統性を掲げて争った。但し両派がそれ以降も闘争を継続したわけではない。大きく見るとシーア派はペルシャ民族のイランに受け継がれ、スンニ派はアラブ民族に受け継がれた。

現代イスラームテロの萌芽はスンニ派過激派組織アル・カイダにある。アル・カイダはサウジアラビアの大富豪ビン・ラーデン一族のオサマが立ち上げたイスラーム原理主義(サラフィー主義)組織であり、当時のアフガニスタン共産主義政権に対して過激なテロ活動を繰り広げた。1989年のソ連撤退と共にアフガニスタンは地元生まれのタリバーンが政権を掌握し、外国勢力アル・カイダの指導者オサマ・ビン・ラーデンはアフガニスタンを去った。

オサマの目的は原理主義を他のイスラーム国家でも展開することであった。彼の目には西欧キリスト教国家の自由主義、民主主義によってイスラームの崇高な価値が蹂躙されていると映った。彼は中東・北アフリカのイスラーム諸国を駆け巡り、或いは当時普及し始めたインターネットを利用してムハンマド時代のサラフィー主義に戻れ、と大衆を扇動した。

アル・カイダは細胞分裂してイスラーム圏に広まり、各国にアル・カイダを名乗り、或いはその流れを汲むと自称する反政府テロ組織が次々と生まれた。ざっとその名をあげれば、「アラビア半島のアル・カイダ」、「イラクの聖戦アル・カイダ」、インドネシアの「ジャマ・イスラミア」、フィリピンの「アブ・サヤフ」など枚挙にいとまがない。さらには一匹狼的なテロリストが犯行声明でアル・カイダの同調者を名乗るなど「アル・カイダ」はまるでイスラームテロの有名ブランドの様相を呈し創設者のオサマ・ビン・ラーデンは一部民衆から英雄扱いを受けたのであった。

(続く)

荒葉 一也
E-mail: areha_kazuya@jcom.home.ne.jp

ホームページ:OCININITIATIVE 
(目次)
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コロナ禍で大幅な減収・減益:五大国際石油企業2020年4-6月期決算速報 (9)

2020-08-22 | 海外・国内石油企業の業績
(注)本レポートはマイ・ライブラリーで一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0512OilMajor2020-2ndQtr.pdf


2.2019年第2四半期以降の四半期別業績の推移(続き)
(6)原油・天然ガス生産量の推移
(6-1)原油生産量
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-68.pdf 参照)
 過去1年間の四半期ごとの原油生産量の推移を見るとExxonMobilが他社を引き離して5期連続でトップを守っている。ExxonMobilの生産量は5社の中でただ1社200万B/D台を維持しており、今年第2四半期の生産量は231万B/Dであった。ExxonMobilに次ぐ二番手グループはShellとChevronであり、両社の生産量は共に180~190万B/D台である。両社の生産量は今年第1四半期まで増加傾向にあったが、今期は前期より10万B/D以上減少している。Totalは2019年第3四半期172万B/Dをピークに減少を続け今期は過去1年間で最も少ない155万B/Dにとどまっている。BPは5社の中で原油生産量が最も少なく1年前は130B/DでトップExxonMobilの6割であったが、その後は持ち直しており、今期は他社が軒並み減産する中で唯一増産を達成している。

(6-2)天然ガス生産量(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-69.pdf 参照)
 天然ガスの生産量はShellとExxonMobilの上位2社とBP、Total、Chevronの下位3社の2グループに分かれている。Shellの過去1年間の生産量は101億立方フィート(’19 2nd Qtr)→98億立方フィート(3rd Qtr)→106億立方フィート(4th Qtr)→103億立方フィート(’20 1st Qtr)→90億立方フィート(2nd Qtr)であり、100億立方フィート前後を維持して5社のトップである。ExxonMobilもShellとほぼ同様の軌跡をたどっており、両社の差は10億立方フィート前後で推移している。他の3社は5期を通じて生産量に大きな変化は無いが、今期は3社とも前期を下回っている。

(6-3)原油・天然ガス合計生産量(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-65.pdf 参照)
 天然ガスを石油に換算した原油・天然ガスの合計生産量の推移を見ると、生産量が最も多いExxonMobilは石油換算で391万B/D (’19 2nd Qtr)→390万B/D(3rd Qtr)→402万B/D(4th Qtr)→405万B/D(’20 1st Qtr)→364万B/D(2nd Qtr)である。これに次ぐShellはExxonMobilよりも30万B/D前後少ない358万B/D (’19 2nd Qtr)→356万B/D(3rd Qtr)→376万B/D(4th Qtr)→372万B/D(’20 1st Qtr)→338万B/D(2nd Qtr)で推移している。

Chevron及びTotalの石油・天然ガス合計生産量は共に300万B/Dをわずかに上回る水準であったが、今期は両社とも300万B/Dを割っている。最も少ないBPの生産レベルは260万B/D前後でExxonMobil或はShellの7割程度である。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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今週の各社プレスリリースから(8/16-8/22)

2020-08-22 | 今週のエネルギー関連新聞発表
8/17 Total
BRAZIL: TOTAL LAUNCHES PHASE 3 ON THE GIANT MERO FIELD DEVELOPMENT

https://www.total.com/media/news/brazil-total-launches-phase-3-on-the-giant-mero-field-development


8/19 出光興産
BASF出光株式会社の合弁契約解消と石油化学製品1,4-ブタンジオール事業の撤退のお知らせ

https://www.idss.co.jp/news/2020/200819.html


8/19 OPEC
JMMC reiterates the importance of attaining full conformity for market stability

https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/6079.htm


8/21 経済産業省
梶山経済産業大臣は、アブドルアジーズ・サウジアラビア・エネルギー大臣との間で電話会議を行いました
https://www.meti.go.jp/press/2020/08/20200821004/20200821004.html
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石油と中東のニュース(8月21日)

2020-08-21 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナウィルス関連ニュース)
・ロシアのワクチン、サウジ、UAEなど世界5カ国で投与テスト

(石油関連ニュース)
・需要回復にリスク。原油価格下がる。Brent $45.09, WTI $42.62
・OPEC+石油大臣会合、TV会議方式で開催。減産達成率97%。 *
・米Chevron、イラクNassiriya油田開発に参入

*OPECプレスリリース参照。
https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/28.htm

(中東関連ニュース)
・UAE外相、イスラエル国交樹立で語る:大使館はテルアビブに、米国ステルス戦闘機購入の可能性
・イラク首相訪米、トランプ大統領と石油・米軍兵力等について協議

・サウジ国王、オマーン国王と電話会談
・クウェイト:次世代ファンドに歳入の10%を自動的に繰り入れ。 **
・Fitch Rating、オマーンの格付けをBBからBB-に格下げ。 ***
・エジプト初の原発、来年下期に建設開始
・UAE原発、外部送電網に接続開始

**「世界の政府系ファンド(SWF)」参照。
***参考「S&Pソブリン格付け(2020年7月現在)
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BPエネルギー統計2020年版解説シリーズ天然ガス篇 (17)

2020-08-21 | BP統計
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0511BpGas2020.pdf


BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2020」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、
消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。
 *BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

(4) パイプラインによる輸出入(2019年)
2019年のパイプラインによる天然ガスの国別輸出入量は概略以下のとおりである。なおパイプライン貿易では米国とカナダのように相互に輸出入を行っている国がある。例えば2019年に米国はカナダから733億㎥の天然ガスを輸入する一方、カナダとメキシコへ合わせて754億㎥を輸出している。国境をまたぐ多数の天然ガスパイプラインがあるためである。またオランダのようにかつてヨーロッパ一円に天然ガスを輸出していたが、現在ではむしろパイプライン網の中継点としてロシアから輸入した天然ガスを周辺国に再輸出しているケースもある。

(世界のパイプライン貿易の3割近くを握るロシア!)
(4-1)国別輸出量
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G05.pdf 参照)
 パイプラインによる天然ガス輸出が最も多い国はロシアでありその輸出量は2,172億㎥、世界の総輸出量の27%を占めている。ロシアの輸出先はほとんどがヨーロッパ向けである。第2位のノルウェーの輸出量は1,091億㎥(シェア14%)であり、年間輸出量が1千億㎥を超えているのはこの2カ国だけである。両国に次いで輸出量が多いのは3位米国(754億㎥)、4位カナダ(732億㎥)、5位オランダ(382億㎥)、6位トルクメニスタン(316億㎥)、7位カザフスタン(275億㎥)であり、冒頭に述べたように米国とカナダは相互に輸出入を行っている。これら上位7カ国による輸出量は全世界の7割を超えている。

世界第8位、第9位のパイプラインによる輸出国はアルジェリア(267億㎥)及びカタール(215億㎥)であるが、アルジェリアは地中海の海底パイプラインにより西ヨーロッパ諸国に輸出している。カタールはLNGの輸出で世界1位であるが(前項参照)、ドルフィン・パイプラインと呼ばれるパイプラインにより、天然ガス資源の乏しいUAEに発電及び海水淡水化用の燃料として輸出している。

(パイプラインによる天然ガス輸入量トップはドイツ!)
(4-2)国別輸入量
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G06.pdf 参照)
 2019年にパイプラインによる天然ガスの輸入量が最も多かったのはドイツで1,096億㎥であった。これに次ぐのが米国(733億㎥)、イタリア(541億㎥)、メキシコ(508億㎥)、中国(477億㎥)、オランダ(400億㎥)である。ドイツの主たる輸入先はロシア及びノルウェーであり、イタリアはロシア、アルジェリア等から輸入している。英国はかつて天然ガスの輸出国であったが最近では純輸入国に転落しており、パイプラインのほかカタールからのLNG輸入にも踏み切っている。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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コロナ禍で大幅な減収・減益:五大国際石油企業2020年4-6月期決算速報 (8)

2020-08-20 | 海外・国内石油企業の業績
(注)本レポートはマイ・ライブラリーで一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0512OilMajor2020-2ndQtr.pdf


2.2019年第2四半期以降の四半期別業績の推移(続き)
(4)部門別利益の推移
(4-1)上流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-66.pdf 参照)
 前年の2019年第2四半期の上流部門の利益はChevron、BP及びExxonMobilが33~35億ドルで並び、Totalが20億ドル、Shellは5社の中で最も少ない14億ドルであった。第3四半期も引き続き全社がプラスであった。第4四半期は大きく変動し、Chevronが67億ドルという巨額の赤字を計上し一気に最下位に転落した。一方ExxonMobilの利益は61億ドルに急伸し5社の中で上流部門の利益トップに立った。2020年第1四半期はChevronの利益が急回復しトップに返り咲き、ExxonMobilは利益が一桁台の5億ドルに減少し、BP及びTotalを下回った。今期は上流部門の利益が急減、5社すべてがマイナスとなった。中でもBPは▲85億ドルの大幅な赤字となり、Shell及びChevronも▲60億ドル台のマイナスを計上、Shellの上流部門は3期連続でマイナスになっている。

(4-2)下流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-67.pdf 参照)
 2019年第2四半期の各社下流部門の業績は全社黒字であったが黒字幅は小さく、BP、Shellが13億ドル、Total、Chevronが7億ドル、ExxonMobilは4億ドルにとどまった。第3四半期、第4四半期も各社とも下流部門は黒字を維持した。しかし今年第1四半期は各社で明暗が分かれShellが22億ドルの利益を計上した一方、ExxonMobilは6億ドルの赤字であった。続く今年第2四半期は、BP、ExxonMobil及びTotal3社が前期を上回る利益を計上する一方、ShellとChevron2社は前者が▲30億ドル、後者が▲10億ドルの大きな損失を出している。

(5)設備投資の推移 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)
 5社の四半期ベースの設備投資額はExxonMobilが毎期最も多くの投資を行っている。同社の各期の投資額は81億ドル(’19 2nd Qtr)→77億ドル(’19 3rd Qtr)→85億ドル(’19 4th Qtr)→71億ドル(’20 1st Qtr) →53億ドル(2nd Qtr)であった。

同社に次ぐ投資を行っているのはShellであり、その金額は52億ドル(’19 2nd Qtr)→60億ドル(’19 3rd Qtr)→67億ドル(’19 4th Qtr)→43億ドル(’20 1st Qtr) →34億ドル(2nd Qtr)と推移している。Chevronの投資額はShellとほぼ同じ水準を維持している。Totalは昨年第3四半期こそExxonMobilに次ぐ67億ドルの投資を行っているが、その他の四半期はBPとほぼ同じ、最も少ないレベルの30~40億ドル台である。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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