Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(202)

2016-11-11 00:10:00 | コラム
批評家の淀川先生が、生涯を通じて「認めなかった」映画監督が、オリバー・ストーンと原一男だった(と、いわれている)。

原一男はアクション・ドキュメンタリー監督を自称する異色の作家だが、対象とする人物への愛情が感じられない、眼差しが冷た過ぎるから、先生は「はっきり」嫌いといっていた。

オリバー・ストーンについては、社会性の高い題材を扱っていながら、「商売っ気」が目立ち過ぎるから気に入らなかったようである。

そんな先生が唯一褒めたストーンの監督作品が、95年の『ニクソン』だった。

たしかに味わい深い佳品だと思う。
派手な演出はほとんどなく、この映画のなかのニクソン(アンソニー・ホプキンス)は、「俺はケネディより仕事している。なのになぜ、みんなは認めてくれないんだ。人気が出ないんだ」と、終始いじけているのだった。

なんか、可愛いなって思った。

人気がほしい。
支持がほしい。

それを、実感したい。

それが実感出来る最大の機会こそ、選挙というものなんだろう。


オスカーだって、はっきりいって選挙だからね。

その年の「最優秀」の作品や人物を表彰するものではない、
もちろん優秀であることを前提としたノミネーションではあるものの、究極的にいえば人気投票なのだ。

だからサリー・フィールドが「みんな、あたしのことが好きなのね!」と絶叫したのは、呆気にとられる面はあるが、かなり真理をついていた。



投票前には、「あからさま、ではない」選挙活動だって繰り広げられるわけだし。


ひとに愛されている、それを実感したいという感覚―それはもちろん自分だって抱いているわけで、いまはそういう気持ちもなくなってきたが、ガキのころは「人気者になりたいな~」なんて分不相応なことを思っていた。

それで、学級委員に立候補したのである。

正確にいうと、こんな流れだった・・・。


多くの子が「人気者になりたい」と思ういっぽうで、面倒な仕事はやりたくないとも思っている。
だから学級委員なんか、誰もやりたがらない。

その日、クラスメイトの渡辺くんが挙手し100%のジョークで「牧野くんがいいと思います」と提案する。

すかさず挙手する自分。

みなが「渡辺くんがいいと思います」の台詞を予想していたのだと思う、

しかし自分は「僕で、いいです」と返したのだった。

クラスメイトたちは、どよめいた。

ほかに候補が出なかったものだから、「牧野くんで、よいか悪いか」の投票がおこなわれることになった。

信任投票、ってこと。

そんなもん、挙手で済むと思ったが、「もしも…」のことを考えての担任の配慮だったかもしれない。
挙手ゼロであったとしたら、さすがの自分? も傷ついたかもしれないし。。。

結果は、90%くらいの信任を集めて当選。
めでたく? 学級委員になった。

「×」を入れた10%が気になってしょうがなかったし、こんな流れでは人気もクソもないが、じゃあうれしくなかったのかと問われれば、けっこううれしかった笑


なんだろう、「人気の実感」以外に、児童会長や鼓笛隊の指揮者などをこなしていた「出来のいい姉」に対するコンプレックスが強く、自分も、なんらかの肩書きがほしかったのかもしれない。


おわり。


※ニクソンを扱った映画では、これも面白かった




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明日のコラムは・・・

『逆転の快楽』
コメント (3)
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