Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(204)

2016-11-25 00:10:00 | コラム
大晦日を舞台とした映画といえば・・・

たとえば、キャスリーン・ビグローが手がけた『ストレンジ・デイズ』(95)。

ジュリエット・ルイスがまだ元気なころ? に出た映画のひとつで、カオス過ぎてきちんとしていない物語はともかく、彼女の脚を拝むだけでも価値があるかと。

『200本のたばこ』(98)は、大晦日に集う若い男女の群像劇。

『フォレスト・ガンプ』(94)では、ベトナムで下半身を失ったボスと新年を祝うガンプが描かれる。

QTタランティーノ組がみんな元気だったころ? に制作されたオムニバスが『フォー・ルームス』(95)。

大晦日のホテルを舞台としているが、ここでもやっぱりQTのパートが最も出来がいい。

日本映画からは、『歓喜の歌』(2007)を。

地域の合唱団を主人公にした、いかにも日本産の人情モノ。


さて、92年の大晦日について。

前章で記したとおり、自分は映画の専門学校に通う新聞奨学生だった。

驚いたが、いまの子に「奨学生」といっても、なかなか通じない。

奨学金として学費や家賃を出してもらう制度があり、朝夕刊と集金業務をおこなうことによって、それの返済に充てると。

たしかに頑丈なチャリで新聞配達する、見た目的に分かり易い苦学生? って居なくなったものね。

自分はデリヘルを頻繁に利用していたことがあり、その多くが女子大生だった。

手っ取り早く学費を稼ぐには、新聞配達より風俗なんだろうな、、、と思ったり。

それに新聞そのものを取らなくなった世帯が多いから、奨学生の絶対数も激減状態にあることは想像に難くない。

※これじゃあ、古過ぎるか



ともかく、それをやりつつ映画を学んでいたわけですよ。


元旦の新聞といえば、分厚いことで有名。

いや本紙そのものはいつもどおりなのだが、別紙が3~4部、そこにチラシも組み込まれるわけで、そこらへんの週刊誌より分厚くなったりする。

ポストによっては入らないところもあり、通常の配達の1.5倍くらいの時間を要するのがふつう。

というわけで、いつもより「さらに」早起きしなければならない。

というか。
もう、寝なくていいんじゃないかと。

配達さえ終われば2日は休刊日だし、ゆっくり眠ることが出来るから。

そう思い、奨学生仲間と「大晦日、23時」に新聞専売所で待ち合わせ。

専業さんは2階の寮で酒盛りしているはずだし、じゃあこっちも、、、ということで呑み始めた。

18歳なんだけどね、まぁ勘弁してください。


でも、ぜんぜん酔わなかった。
酔えなかった。

元旦早々、働くことがイヤだ―そういう気持ちはゼロ、むしろワクワクしていた。

2年目の元旦配達は、億劫でしかなかったが。

なんというのだろう、未経験のことに触れる喜び? ちょいと大袈裟かもしれないが、そんな高揚感に包まれ、早く新聞来ないかな、、、とかなんとか。

まだ新年も迎えていないのに。


23時45分ころ―。

イケてない、まだ東京に染まり切れていない18歳の新聞奨学生4人は、作業台の上に腰かけながら「緑のたぬき」を喰らう。

馬鹿話をしていて、ふと気づいたら年が変わっていた。

まだ「ハッピーニューイヤー♪」といい合うことさえ恥ずかしがるような、そんなダサさ全開の学生たち。

その2時間後―。
大量の新聞を載せたトラックが到着、チラシを組み込んで、日の出前に調布駅周辺を目指しチャリを漕ぎ始めたのだった。


配達前まで、家でゆっくりしていればよかったのにね。

きっと、みんな寂しかったのだと思う。


おわり。


※作品の雰囲気と、かなーりちがう予告編だな~




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明日のコラムは・・・

『刃―やいば―』
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初体験 リッジモント・ハイ(203)

2016-11-24 00:10:00 | コラム
今年の大晦日の予定は、もう決まっている。

去年と同様、さいたまスーパーアリーナで過ごす。

今年と去年だけじゃない、ここ10年くらいは、きまってそうだ。

でも仕事だよ。
ただ仕事とはいえ、好きなものに触れながら年越しが出来るなんて最高じゃないか。

だって、ギャラまでもらえるんだぜ。

つまりは、格闘技だ。


大晦日―。
1年で最も印象に残る日だと思う。

そう元旦よりも、自分の誕生日よりも。

個人的に大晦日以上に印象に残る日といえば、かーちゃんが死んだ日くらいしかない。


ガキのころの、大晦日の思い出・・・。

庶民的な、ありふれた大晦日だったと思う。

晩飯はなんだったかまでは思い出せない、眠い目をこすりながら『紅白歌合戦』を観て、でもそれが終わって『ゆく年くる年』の退屈さに耐えられず、23時50分ごろ寝てしまい、起きたら翌年になっていた―小学生のころは、たぶんそんな感じである。

民放がなにを放送していたかも知らず、友達と出歩くこともしなかった。

ふつうの、ごくふつうの過ごしかた。


21歳の大晦日が、たぶん最も幸福だったんじゃないかな。

大好きな女子―べつに付き合っていたわけじゃなかった―と渋谷パンテオンで、年越しオールナイト上映を観て過ごす。

大川興業によるカウントダウンがおこなわれ、「おまえら映画オタクども!」と罵られたが、なんかすげーうれしかった。

上映作品は・・・

『未来は今』
『スペシャリスト』
『ナチュラル・ボーン・キラーズ』

・・・だったかと。

春に公開される94年度制作映画を、いち早く鑑賞出来るスペシャルな企画だった。


『未来は今』は、フラフープ誕生秘話(じつはホラ)を描いた、コーエン兄弟の傑作コメディ。



パンテオンの粋な計らいで、入場者プレゼントとしてフラフープが配られた。

うれしいが、でかい!

これ持って渋谷から多摩市まで電車で帰ったんだぜ! なんか新興宗教みたいだったな。


20代の後半からは、ずっと働いていたような気がする。

そうして30代に入ると、常にさいたまスーパーアリーナに居た。

ゆっくりしたいと思わないんだよね、大晦日だからといって。
それは元旦でも黄金週間でも盆休みでも同様で、なーーんもない、ふつうの平日に休みもらったほうがうれしいっていうか。

だからこの先もずっと、大晦日は働いて過ごすことだろう。


そんなわけで今回の初体験は、「上京後の、はじめての大晦日」でいってみたい。

18歳、92年の大晦日である。


この年、どんなことがあったかというと・・・

・岩崎恭子ちゃん、金メダル
・尾崎豊の死去
・松井くんの5打席連続敬遠
・ビル・クリントン大統領、誕生


あー、そうだそうだ、そんな感じ。

最も印象に残るのは尾崎の死で、それはたぶん、歌を知っていたというよりも、自分のアイドルだった斉藤由貴ちゃんとのスキャンダルがあったから、、、なのだろうなと。

まだネット文化が到来する前のこと。

このころ自分は新聞奨学生をやっており、専売所でチラシを組んでいたら、少し酔っているであろう女子大生が駆け込んできて、「あの、尾崎豊って死んだんですか」と尋ねられたのを覚えている。

尾崎の死を伝えるスポーツ紙を渡すと、それを見た途端、彼女たちは号泣した―。

そんな年の大晦日は・・・。


つづく。





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『初体験 リッジモント・ハイ(204)』
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演技派って、おかしいぜ。

2016-11-23 00:10:00 | コラム
【2016総括シリーズ その八】

本年度の総括、第8弾は映画俳優の10傑。


美人女優に個性派俳優、異色とか演技派とか。

何度か書いてきたことだが、個性派はともかく、演技派っていうのはちょっとどうかなと思う。

「熱演型」を指しているであろうことは分かるのだが、ふつうの俳優が「演技出来ない、ことを前提としている」ようにも思えることばなのでね。

カメレオン型とか、激情系とか、いい替えが可能なはず、、、なんだけど!!


(1)柳楽優弥

ほとんどの子役出身が通る挫折をきちんと経て、いま、不思議な魅力を放つ俳優に変身。



(2)『シン・ゴジラ』全キャスト

みんな楽しそうに、かつ(もちろんだが)真剣に演じているので。

(3)レイチェル・マクアダムス

デ・パルマの映画に出ているころから気になってはいたが、今年、来日インタビュー出来たのでね、大好きになった。



(4)広瀬すず

フレッシュな魅力という点では『ちはやふる』、女優としての可能性を感じさせたのは『怒り』。

(5)竹原ピストル

ミュージシャンから俳優へ。
ピエール瀧みたいな存在になっていくのかな。




(6)レオナルド・ディカプリオ

オスカーおめでとう、これからのほうが気になるが。

(7)ジェニファー・ジェイソン・リー

80年代から活躍、それこそ「ジッとしていれば」そこそこ美人で通る顔立ちだが、監督の要求に対してなんでも応えちゃうところが素敵。

(8)二階堂ふみ

同世代のものたちと演技合戦を繰り広げる『何者』を観ると、彼女が頭ひとつ抜きんでていることが誰の目にも明らか。

でも今年のいちばんは、『蜜のあわれ』だろう。



(9)ルーニー・マーラ

『キャロル』の、クラシカルな美。

(10)小松菜奈

去年から大活躍。

いわゆるファニーフェイスだと思うのだが、ビッチ系も演じられるところが魅力だと思う。

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『初体験 リッジモント・ハイ(203)』
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アカルイハダカ、でありたい。

2016-11-22 00:10:00 | コラム
【2016総括シリーズ その七】

本年度の総括、第7弾は「芸能」。

とくに上半期、「なにも起きない週があってもいいんじゃない?」と突っ込みたくなるくらい、いろんなことがあったけれども、あまりにもいろんなことがあり過ぎて、ことばは悪いが「小物」のニュースは、どんどん忘れていってしまう状況に。

そんな怒涛の1年を、映画小僧であり格闘技マニアでもありAV狂でもある自分が回顧すると、こんな感じになる。


(1)ANRI(旧・坂口杏里)、AVデビュー

セクシー女優という総称は好かんな。



知り合いのAVの子も、それがイヤで、太字で「AV女優」と表記している。

ともあれ、後戻り出来ないんだから精進してほしい。
精進するかぎり、自分は応援しますよ。

やや暗さが漂う表情とハダカをしているので、開き直って明るくやってほしいが。

(2)清原和博、覚醒剤所持容疑で逮捕

若いころは、桑田のほうが問題児っぽかったのにね・・・と、友人と冗談をいい合った。

(3)ベッキーのアレヤコレヤソレヤドレヤ

スキャンダル前は好きでも嫌いでもなかった。

が、杏里ちゃん同様、もっといえば、矢口まりっぺとかもそうで、なにか起こした途端にエッチに見えてきて、逆に好きになるっていうね笑

(4)有吉弘行・夏目三久の交際報道と、その後の「なにもない」感じ

両者とも好きなので、ほんとうに結婚するのであれば、芸能人の結婚で一喜一憂することのない自分が、珍しく歓喜するのになぁ、、、と。

(5)SMAP解散報道

ほんとうのところは分からないが、香取くんが元気ないことだけは分かる。

(6)たんぽぽ川村エミコと「TENGA社」社長の交際

さっき芸能人の結婚に一喜一憂しない、、、と書いたばかりだが、このカップルは応援したいし、結婚までいってほしい。



(7)元AV女優、紅音ほたるの急死

32歳だよ、まったく・・・。

お世話になりました、いろいろありがとう。

(8)小林麻央の乳がん公表

こんな自分でも、なんとかならんのかって思うわけですよ。

お姉ちゃんの体調も心配だが。

(9)BABYMETALのニューアルバム、米ビルボート39位にランクイン

このなかで、いちばんホッとするニュース。

たいしたもんですよ。




(10)高畑裕太の逮捕、示談、釈放

示談への流れがおかしいとか、結局はめられたとか、いろいろ噂されているけれども、とりあえず、おかーさんが可哀想だ。

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『演技派って、おかしいぜ。』
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シネマしりとり「薀蓄篇」(190)

2016-11-21 00:10:00 | コラム
めいくあっぷあーてぃす「と」→「と」うきょう(東京)

『東京オリンピック』(65)に『東京流れ者』(66)、『東京市街戦』(67)、
『東京裁判』(83)や『東京上空いらっしゃいませ』(90)、
2000年代も『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2007)とか『東京少女』(2008)とか、

頭に「東京」と冠する映画は「ひじょうに」多い。

そりゃそうか、日本の首都なんだから。
(でも米映画の場合、『ワシントン〇〇』より『ニューヨーク〇〇』のほうが多いのだけれども)


首都より国かな、、、と思って、
頭に「日本」と冠する映画と「東京」と冠する映画を数えてみたら、それほどの差異はなかった。

なんとなくだが、ことばの響きが関係しているのかな・・・と思ったり。

「日本」より「東京」のほうが、タイトルとしてはスッと入ってくるというか。

それに「日本」と冠すると仰々しいというか、ちょっと大風呂敷過ぎるというか。
『日本のいちばん長い日』(67)とか、漢字ではないものの『にっぽん昆虫記』(63)とか、実際にそういう作品? であればいいけれど。

「東京」と冠した場合、「いま」を描いている感じがするのだよね「日本」とちがって。


自分の青春期は昭和→平成の時代であり、東京に対する強烈で大きな憧憬を抱く最後の世代であると自覚している。

長渕の歌も刺さったし、中島みゆきの歌を聞いて「東京に行けば、なんとかなるんだ…」と思っていた。

実際になんとかなっている?? ので、嘘はなかったのだが、自分より下の世代は、そんなこと、ぜんぜん思っていないだろう。

それは映画にも明らかで、地方都市を舞台とした作品が増えたのは、つまりはそういうことなんじゃないか。

アンチャンネーチャンは、夢を抱いて東京に出てくるとはかぎらないっていうね。
東京に出てきたところで、なんとかならないことも多いっていうね。

情報が明かされ過ぎる世の中になったから、幻想は通じないってことかもしれない。


けれども。
同窓会に参加すると、地元に残る子から「東京はどんな?」と必ず聞かれる。

「まぁそれなりに楽しいよ」
「それなりに?」
「うん」
「そんなことないでしょう」

けっこう、しつこい笑

そのしつこさから、やっぱり思うのだ、あぁ自分の世代「くらい、まで」は東京に対する特別な思いがあるんだろうなって。

そんな「東京」を冠した映画で、自分の3傑を選出するとこうなる。


小津の代表作『東京物語』(53)、





塚本晋也の最高傑作であると思っている『東京FIST』(95…トップ画像)、


市川準が(たぶん)小津を目指したであろう『東京兄妹』(95)。




どれも、それぞれ、ちがう意味で味わい深い映画。

そしてそれぞれの作家が、各々の視点で「いま」を切り取っているのだと思う。


ただ繰り返すが、東京への憧憬・幻想がなくなりつつある現代なので、これからは地方を冠したタイトルの映画が増えていくかもしれない。

『函館3部作』は、その「はしり」のような気がするし、『横浜○〇』とか『神戸○○』とか、どんどん出てくるだろうね。


次回のしりとりは・・・
とうきょ「う」→「う」たうたい。

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明日のコラムは・・・

『アカルイハダカ、でありたい。』
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