Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(187)

2016-11-06 00:10:00 | コラム
めし「あ」→「あ」い(愛)

モーツァルト「―ドイツ的美徳に溢れています」
サリエリ「ドイツ的美徳とは? わたしは外国人なので…」
ヨーゼフ2世「モーツァルト、教えてやれ。ドイツ的美徳とは、なんぞや?」
モーツァルト「愛、です」
サリエリ「愛? 我々イタリア人は、愛を知らないからね」

モーツァルト「そうです、イタリアのオペラは男女が騒々しくわめき散らす下品なものですから」

映画『アマデウス』(84)より

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愛、がいっぱい。

太陽なんかより、愛のほうがいっぱいで、困る。

いっぱい過ぎて、お腹いっぱい。

『愛をください』なんて歌まであるが、乱立どころの話じゃない、愛が無数にある。

タイトルの話ね。

映画にかぎったことではないが、たぶん『愛と青春の旅立ち』(82)が大ヒットして以降、その亜流も含めて『愛〇〇』のタイトルが増え、昔ほどではないにしろ、それは21世紀でもつづいている。

この手のタイトルだけで、観る気がしないという向きも居るだろう。

そのなかには間違いなく傑作もあるわけで、そんな邦題にした配給会社の罪は重い。

ただこれは外国映画だけの話ではなく、この時代にあって、敢えて「愛」を冠する日本映画も存在するところが面白いっちゃあ面白い。


好き嫌いを抜きにして、自分がいちばん「すげぇな」と思った「愛つき」映画は、『愛と死をみつめて』(64)である。



ミコとマコの純愛―いやそんなことはどうでもよくって、この大風呂敷的なタイトルに参った。

『愛と青春の旅立ち』の約20年前の作品だから、タイトルの流行というのともちがう、完全オリジナルの発想なんだもの、もちろんその前に同名の原作があるわけだが、映画にすると、そのすごさが際立つように思った。


そんな自分の感性が選出する、観ておくべき傑作「愛つき」映画の5選は以下のとおり。


※制作順

『愛の狩人』(71)

簡単にいえば、男ふたりの性遍歴を描いている。

そういう意味で、ぴったりのタイトルなんだ。

『愛のコリーダ』(76)

コリーダはスペイン語で闘牛。

愛は戦いであることを宣言している物語なので、これ以外のタイトルなんか浮かばない。

『さらば、わが愛/覇王別姫』(93…トップ画像)

ぎりぎりの線をいっていて、ダサいといえばダサいのだが、的外れではないし、この場合は副題も利いていてセーフ。

チェン・カイコーは、この映画を超える作品を撮っていない。
それは不幸かもしれないが、自分は、あんまりそういう風には思わないのだよね。

これだけの傑作を残したのだから、100本連続で駄作を撮っても、その名は汚れない気がする。

『愛を乞うひと』(98)




そのもの、ずばり。だから。

『愛のむきだし』(2009)

近年で最も暴力的、挑発的なタイトルだと思う。

しびれる。


あすのしりとりは・・・
あ「い」→「い」じめ。

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(188)』
コメント (2)
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