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にっぽん男優列伝(240)寺島進

2014-08-22 07:24:20 | コラム
63年11月12日生まれ・現在50歳。
東京出身。

週刊寺島進


北野武の映画は海外では「キタノブルー」と評され、その独特な映像感覚が一大特徴とされていますが、
日本の映画ファンがこの映画作家を論じる際、いちばん最初に言及するのは「顔(俳優)選びのセンス」です。

人気や実力、実績ではなく、顔から放たれる雰囲気だけでキャスティング「しているように見える」―そこが、大島渚に俳優として見出されたビートたけしらしさ、、、であると。

逆にいえば・・・だから『BROTHER』(2001)で渡哲也が登場したとき、強烈な違和感が生まれたのですね。

北野映画に渡さんは似合わない―これ、多くの映画ファンの総意でした。

白竜に大杉漣、真木蔵人や渡辺哲、そして寺島進(てらじま・すすむ)。
こういうひとたちこそ、北野映画の住人であると。

ただ、はっきりいってしまえば・・・これほどの「よい顔」を揃えられる映画監督なのに、女優さん選びは成功しているように思えません。
石田ゆり子のキャスティングは新鮮でしたが、大島弘子(=91、『あの夏、いちばん静かな海。』)にしろ国舞亜矢(=93、『ソナチネ』)にしろ、パッとしませんでしたものねぇ。


さて寺島さんについて。
「しま」ではなく「じま」と読みます。

現在は売れっ子ですが、北野組の常連になるまでは地味な端役ばかりが続いた―という点では、大杉漣と同じです。
だから、初めて(演技を)褒めてくれたという松田優作と、陽のあたる場所に導いてくれた北野武への感謝は一生モノのようです。




<経歴>

10代のころに俳優を志し、高校卒業後に三船芸術学院に入学。演技の基礎や殺陣を学ぶ。

映画俳優デビュー作は、優作が監督した『ア・ホーマンス』(86)。
この年にテレビのバラエティ番組『風雲!たけし城』(TBS)で攻撃軍として参加しており、武との縁はデビュー時から始まっていたのですね。

ただしばらくは無名の時代がつづき、主な収入源は飲食店でのアルバイトだったそうです。

ツラがツラだからか、役が回ってきてもチンピラみたいなキャラクターばかり。
『SO WHAT』(88)や『愛しのハーフ・ムーン』(87)では、そんな「若き」寺島ヤクザな演技を拝むことが出来ます。

89年、北野武の監督デビュー作『その男、凶暴につき』に「名前のあるキャラクター」(織田ススム役)で出演。

このツラから放たれる雰囲気が気に入ったのでしょう、武は『あの夏、いちばん静かな海。』でも寺島さんを起用し、つづく『ソナチネ』では主人公の弟分を演じさせました。
このころですね、映画ファンが「いいなぁ、このひとのツラ」と感じたのは。

同じように感じていたのは映画ファンだけではありません、低予算で戦っていたインディーズの野心的な映画監督の目にも留まり、90年代後半より徐々にオファーが増えていきました。

『マークスの山』(95)、『おかえり』(96)、
『キッズ・リターン』(96)、『勝手にしやがれ!! 英雄計画』(96)、『ポストマン・ブルース』(97)、『HANA-BI』(98)、『アンラッキー・モンキー』(98)、
『鮫肌男と桃尻女』(99)、『ワンダフルライフ』(99)、『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(99)、『御法度』(99)。

2000年代に入り、その人気はインディーズや映画だけに留まらず、ビッグバジェットの映画やテレビドラマにも出演、無名時代が嘘であるかのような売れっ子となりました。

00年…『MONDAY』『HYSTERIC』『天国までの百マイル』

01年…『DISTANCE』『空の穴』『みすゞ』
腹切りシーンがギャグにしか見えなかった『BROTHER』
磔シーンがほんとうに痛そうだった『殺し屋1』

02年…『修羅の群れ』『害虫』『DRIVE』
03年…『13階段』『六月の蛇』『カクト』『蛇イチゴ』『美しい夏キリシマ』
04年…『花と蛇』『CASSHERN』『茶の味』『誰も知らない』『血と骨』
05年…『北の零年』『真夜中の弥次さん喜多さん』『姑獲鳥の夏』『TAKESHIS’』『疾走』
『交渉人 真下正義』では、寺島さんが演じるキャラクターがウケて単体のドラマも制作される

06年…『THE 有頂天ホテル』『小さき勇者たち ガメラ』『花よりもなほ』『UDON』『フラガール』
07年…『長州ファイブ』『パッチギ! LOVE&PEACE』『監督・ばんざい!』
08年…『ぐるりのこと。』『ザ・マジックアワー』『歩いても 歩いても』
09年…『火天の城』『空気人形』『曲がれ!スプーン』

10年…『誘拐ラプソディー』『座頭市 THE LAST』『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』
11年…『アンフェア the answer』『スマグラー ―おまえの未来を運べ―』
12年…『ヘルタースケルター』『カミハテ商店』『おだやかな日常』
13年…『人類資金』『清須会議』
14年…『捨てがたき人々』

そして最新作が、声優として参加した『思い出のマーニー』。

最近は安定感が抜群で、ちょっと面白味に欠けるかな・・・と思っていたところ、9月公開の『イン・ザ・ヒーロー』という戦隊モノで「女性戦士ピンク」を演じるというニュースが。

これは面白そうですね!!笑

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明日のコラムは・・・

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コメント (1)
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