Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(85)

2014-08-17 06:35:51 | コラム
むらきとな「み」→「み」げるふぇらー(ミゲル・フェラー)

自分の高校時代を支えたと表現しても、決して大袈裟にはならない米製のドラマ『ツイン・ピークス』(90~91)のブルーレイ10枚組ボックスを購入した。

ビデオテープが擦り切れるほど観た。
(実際、擦り切れた!)

DVDのボックスも買った。

んで、今回のブルーレイも迷うことなく予約していた。

すべてのエピソードを30回以上観たドラマなんて、これ以外にない。
さらにいえば、あと20回は観たいと思わせるドラマなんて、これ以外にない。

そのくらい『ツイン・ピークス』が好きだ。

多くの識者が言及しているとおり、このシリーズが米製のドラマをネクストレベルへと引き上げた。
『24』シリーズ(2001~)も『Lの世界』(2004~2009)も、『ツイン・ピークス』の影響を「かなり」受けているといっていい。

そんなわけで、いまブルーレイを流しながらこれを書いている。

女子高生ローラ・パーマーが殺されたことから起こる、架空の町ツイン・ピークスのアレヤコレヤを描いた物語。

平和でのどかなはずの町にも、暗い一面はあった。
暴力、不倫、クスリ、売春―登場人物のひとりはいう、「どうやら現代に捕まったようだな」。

際限なく登場人物が増えていき、彼ら彼女らを演じる俳優たちは「ほぼ全員」が好演している。

このドラマから脚光を浴びてスターになった俳優も多く、とくにリンチ好みの美女たち―シェリリン・フェン、シェリル・リー、ララ・フリン・ボイル、メッチェン・アミック、ヘザー・グラハム―は一時的に売れっ子となったが、そう、それはあくまでも一時的であり、彼女ら全員がいま現在「ほとんど名前を聞かなくなった」のが寂しい。


このドラマの一大特徴は、登場人物のほとんどが変人であるということ。
小人や片腕の男といった見た目だけの話ではない、

丸太を抱えるおばさん、
音のしないカーテンレールにこだわる眼帯のおばさん、
ヒロインの父親は一夜にして白髪となり、
警察官のなかには死体を見ただけで泣き出すものまで居る。

そもそも主人公が、夢のお告げを捜査に利用する人格破綻者? なのだった。

唯一マトモと思われるキャラクターが、主人公クーパーの同僚、アルバート・ローゼンフィールド。
演じるのが本日の主役、ミゲル・フェラーである。


※このシーンに感動したファンは多いだろう。

「なぁ保安官、たしかに俺はシニカルだ。しかし暴力には断固として戦う。俺はガンジーとキング牧師を尊敬している。俺の思考思想の、根幹にあるものはなんだと思う? 愛だよ。 保安官、愛してるぜ」





父親は、俳優のホセ・フェラー。
『シラノ・ド・ベルジュラック』(50)でオスカー主演賞を受賞した名優。

母親は、歌手のローズマリー・クルーニー。
クルーニーの名でピンとくるひとも居るだろう、彼女の弟ニック・クルーニーの子どもがジョージ・クルーニーであり、
つまりジョージはミゲルの従兄である。

ミゲル本人はクセのあるキャラクターを演じることが多く、『ロボコップ』(87)でも『ザ・デプス』(89)でも悪役だった。
たとえれば危険だと思われる地球外生命体を金目的のために「どうにかしよう」とするキャラクターを演じることが得意で、ドラマで起こるトラブルの引き金を「引く」ようなヤツ。

現実世界であれば、けっして仲良くなってはならない。
しかし、そういうキャラクターがドラマを面白くするのも事実。

『ツイン・ピークス』でも「前半は」そういう厄介者のような扱いを受けている。
いつ、どのタイミングで「引き金を引くのか」と思って観ていると、ドラマが進んでいくにつれ「いちばんマトモで、いちばんいいヤツ」であることが分かってくる。


第一印象は最悪、でも次第に・・・。
自分が「その真逆」だからであろうか、こういうキャラクターを羨ましく思う。

ニコニコしているから、(ひとによっては)ヘラヘラしているから―というのもあって、自分でいうのもアレだが、自分、第一印象は「すこぶる」いいんですわ。

そこから化けの皮が剥がれていくっていうね。

自分は皮を被っているつもりはないんだけど。
・・・って、包茎の話かい!?

ちがうよ!!


・・・・・。

まぁともかく、ミゲルは素敵な俳優だ。
映画には「ちょこちょこ」としか出ないけれど、たとえば『トラフィック』(2000)なんかでも、弁が立つ証人としてインパクトのある演技を披露している。

こういう俳優が「異常に多い」ところが、ハリウッド映画の強みなのだろう。


あすのしりとりは・・・
みげるふぇ「らー」→「らー」めん。

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明日のコラムは・・・

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コメント (1)
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