masumiノート

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正義と努力と(その2)

2014年11月12日 | ガソリンスタンド2

今の3者店の高値販売やこのブログで書いていることが、元売と同じ“自分たちの利益を守るために秩序を盾にする行為”と同じに見られないだろうかー


海賊と呼ばれた男の解説(堺屋太一氏)で、“3つの「正義」の絡み合い”とありました。
●国際石油資本の唱える世界の秩序
●通産官僚やそれに融合する他の石油各社の主張する業界秩序
●主人公国岡鐡造ら国岡商会が掲げる、努力した者が報われる自由競争的発想


消費者には安値が絶対正義です。
護送船団方式には問題や弊害も多かったかも知れません。
でも、
現代の3者店は系列という立場に胡坐をかいているわけでも、業界の秩序を盾にしているわけでもないのです。
ましてや好きで高値販売をしているわけではない。

3者店は、元売りや2者店とは一線を画する存在です。


>努力した者が報われる

15年程前、ネットの掲示板で「赤信号皆で渡れば怖くない(系列店でも業転玉を取ろう)」と呼び掛けのような書き込みが始まりました。
(当店では電話1本で仕入れることが出来た業転玉でしたが)
「業転玉を仕入れない経営者は無能だ」「経営者として失格だ」などと掲示板に書かれました。


それから数年を経て市民権を得た業転玉は「仕入れの努力」と表現されるようになりました。

フルからセルフに店舗形態を変えた経営者は「採算の合わない客を切る努力」と表現されます。

販社や量販店は「収益を油外で上げる努力」をされています。


「何の努力もせずに文句ばかりの販売店は元売から見放されて当然だ」というような、当ブログへの批判的なコメントもありました。


石油組合の会長が「我々には業転以外に生き残る術はないのか」と公の場で発言し、業界紙でも「業転は命綱」と書かれるような業界環境の中で、
業転玉を仕入れずに経営を続けている3者店が、何の努力もしないで規制緩和後の18年間を生き残っていられるでしょうか。



大阪の販売店主さんは「報われないから」と今年廃業を決められました。
努力していなければそんな言葉は出て来ないでしょう。


以下は業界の掲示板に投稿されていたものです。
http://ss.1616bbs.com/bbs/ss_topic_pr_1930.html

[2029] RE:本家の書き込みをネタに本音トーク NO5 Name:大瀑   NEW!  Date:2014/11/10(月) 20:15
 

俺も納得いかない。

 所長さんも怒っている。

 歴史の中で誰がこの流通を作ってきた柱なのか。
 日本津々浦々の系列の方々たちが卸元を信じ協力してきた
 お陰ではないのか。

 俺は給料はタダ同然で365日営業している同業者を
何人も知っている。

そういう現実を知っているのに元売りの人間は偉そうに
「食わ(商売)せてやっているのだ」という態度を崩そうとはしない。

 特にJXの社員はその傾向が強すぎる。

 一回、支店長会議でも出てみたいものである。
 社長がどのような系列処遇を指示しているのか
本音を聞きたいと思う。

 平均年収が1000万円を超えることは悪いことではない
 が、余りにも販売してくれている系列をないがしろに
 しているのではありませんか。





PS
当店が業転玉を仕入れない理由
「化管法の絡みで元売に都度証明書を発行して貰わなければならない取引先がある」というのもありますが、
それより以前から(オイルショックを経験している)こうちゃんが言ってきたことは、
「万が一、又オイルショックのような事が起きれば先ず業者間転売ルートが止まる。系列であっても供給が絞られる。その時元売は前年度何%という形で玉(油)を絞ってくるだろう。だから、うちの店のお客さんのためにも系列100%でやっていかなあかんのや」


最近勢いのある 安値を謳い文句にしているPB店の中には「売り切れ」になったりする店もあるようですが、地域への燃料供給を使命感を持ってやっている3者店には信じられないことです。
「油を切らすことはできない」
阪神淡路大震災のとき、元売のローリーからの供給が途絶えた当店は一晩中自店の配達用ローリーを走らせて玉(油)を確保しました。

東日本大震災で、「業転ローリーは走っているのに系列ローリーは来ない」という現実に直面した3者店の気持ちを想像するとやりきれません。


「元売のマークを掲げていながら業転玉を仕入れるなんて、そんなお客さんを騙すようなことはできない」と、系列仕入れを貫いている方もあります。
高値の系列仕入れを貫いたがために、(高値販売で)客離れを起こし、廃業に至ってしまった店もあります。
それらのお店は、業転玉より常に10円高い(特約店より数円高い)仕入れの3者店です。


3者店より数円安く仕入れが出来ている特約店
その特約店(2者店)クラスの人間が幹部を占める石油組合が、「系列でも業転を仕入れて良いようにしてくれ」と要望し、
公取委・エネ庁の見解(要望)を受けて、元売も系列店が業転玉を仕入れることを容認することになりました。
(現実には3者店の他社買いには特約店からの圧力があるようですが、)

そしてまた今度は
「利益が得られるようにしてくれ」と泣きついている。

あれ?おかしいな。
(主に)3者店に向かっては「自己責任」という言葉が使われてきたと思うのだけど?



・・・・・



全国のガソリンスタンド(SS)が1日4軒のペースで減少し、SS過疎地が年々増えていることを、皆様ご承知でしょうか。

このように始まる、参議院議員太田房江公式サイト「ふさえ姉さんの議員日記」の宮沢洋一経産大臣に要望書を提出(2014年10月24日)という記事ですが、

原因としては、長期間のデフレや、自動車の燃費向上等によってガソリン需要が減ったこと、消防法改正による地下タンク改修の義務づけ等によるコスト増など、ガソリンスタンドを巡る様々な環境変化があげられます。



どうして「仕切り格差」は書かれていないのでしょうか。

太田房江議員の記事だけではありません。他のニュースサイトのガソリンスタンド関連記事を見てもそうです。
「仕切り格差」というワードはどこにも使われていません。


・・・何故?

全石連会長が公の場で「現卸格差は中小SS生存不能」とハッキリ口にしているというのに!

ガソリンスタンドが倒産、廃業、減少する原因、理由は、仕入れ値の大きな格差です。
発見店値付けカードもです。一方的に決められた“数円”の給油代行手数料など、
適正利益を得ることが出来ないからです。


消費者の知らないところで、真面目な同業者が疲弊の末に姿を消していく。
(真面目な業者と組合的な業者は違います)

悔しくてなりません。





又、太田房江議員は
私は、以前から、全国のガソリンスタンドを廃業から救うための方策の一つとして「官公需の活用」を提案し、機会あるごとに発言してまいりました。
災害協定を結んでいる石油組合やそれに加入する中小石油販売業者が、災害時のみならず、平時においても安定した経営環境を維持するためには、官公需の受注機会の確保・増大が必要、と訴えてきたのです。
と書いておられます。

それは間違いではないと思いますが、
それによって廃業を免れる業者は限られると思います。

自治体によって官公需の供給態勢も様々です。
「入札」で業者を決めるところもあれば、「話し合いで単価を決めて、組合員の店を利用して貰う」というところもあります。

東日本大震災の際、「入札」でそれまで供給していた広域業者が連絡が取れなくなるなど役に立たず、組合を通じて地元業者に供給を頼ったという経緯から「官公需の活用」と訴えておられるのでしょうが、

官公需を請け負う(請け負える)業者はそれで助かるかも知れませんが・・・・


>「話し合いで単価を決めて、組合員の店を利用」
当市はこれです。(警察はまた別のようです)
単価を決める話し合いでは、安値店の看板価格を引き合いに出されて単価が決まるそうです。
業転玉を仕入れていない当店の仕入値では、そのような決められ方をした単価での供給は割に合わないときもあります。
官公需の受注は「ありがた迷惑」なのです。

また、(役得と理解しているので文句を言うつもりはありませんが、)“大口”は独占状態です。

太田房江議員の言う「官公需」も、特約店クラスには回っても、弱小3者店にまでは回らないんじゃないか、と思うのです。



それにー

仕切り格差など業界の歪みを知らない市民や県民はどう思うでしょう。

「税金を使うのだから安値店を選べ」と思うのではないでしょうか。





正義と努力と(その1)

2014年11月12日 | 本・映画

海賊と呼ばれた男

海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

若き日の国岡鐡造が目指した、中間搾取のない商い「大地域小売業」



そういえば出光のガソリンスタンドを経営していた友美さんも書いていたなぁ・・・
「昔は元売りから直接仕入れていた」って。
いつから特約店制度が導入されたんだろう?

大きくなりすぎて「中間」がないと管理し切れなくなったんだろうけど・・・


昔、業界紙にそういう記事がありましたよね?
元売はもう、販売店(3者店)の相手はしない、
3者店如き小さきものの相手は特約店(2者店)に任せる、
その特約店の相手をするのも面倒だから特約店も集約させて数を減らす計画だ、みたいな・・・



それはそうと、海賊と呼ばれた国岡鐡造は大した人物ですね。

これは小説だから脚色もあるんだろうけど、それでも、
一販売店から元売になったということだけで、とてつもなく凄い人物だったんだろうと思う。
主人公だけでなく、周りの人間もみんな凄い。

でも(^^;;;
海軍燃料タンク底の残油を浚う作業とか、2年の工程が必要な工事を10カ月で完成させるとか・・・
現代ならブラック扱いされるかも?   (・・・それに...(汗) “袖の下”とか使っちゃってるしー

読みながらこの記事↓を思い出しました(^^;
ディズニーランド「ブラック労働」をごまかすための“洗脳”人材教育

でもまぁ当人たちは酔いしれるほどの満足感を得て幸福だったんでしょう。
働いて、一番幸福になるのは、「誰かの役に立てた」と実感できたときですからね。


ガソリンスタンド業界と無縁の消費者でいた頃なら「消費者に安値で提供するために頑張った国岡鐡造は凄い、元売や官僚は自分たちの身を守ることばかりでけしからん」、という感想で終わるのでしょうが・・・

今の私は、この本を読まれた方に誤解されないかと心配です。


つづく