私の名前は私立探偵、愛原学。
東京都内で小さな探偵事務所を経営している。
今回は大きな仕事が舞い込んできた。
クライアントは、さる有名な財閥の御曹司。
そこの総帥たる名誉会長が大往生し、莫大な遺産が遺族らに渡るということは既にマスコミやインターネットで世間に知れ渡っていた。
そして、中にはそんな遺産を狙う不届き者もいるのもまた事実である。
そのクライアントの予想は見事に当たり、遺族達に本当の遺産相続者を名乗る者から脅迫状が届いた為、裏でその犯人を見つけて欲しいというものであった。
もし解決してくれれば、私の個人資産はあっという間に跳ね上がるであろう、と。
場所は栃木県は那須にある高級別荘地。
うむうむ。
まるで、かの金田一探偵を彷彿とさせる展開ではないか。
そして案の定、まるで小説のように、『人誅見舞人』を名乗る犯人の犯行声明通りに、次々と遺族達が殺されていった。
だが、私はついに真犯人を突き止めることに成功したのだ!
私は早速、皆を洋館風の別荘の大食堂に集めた。
「謎が全て解けました。真犯人『人誅見舞人』は、この中にいることが判明しました」
驚愕の顔を浮かべる遺族やその関係者達。
「まず、一連の犯行についての背景ですが、【以下略】。そういったことから、これは単なる遺産目的の犯行では無かったのです。そして、いかにも遺産に目が眩んでいる遺族としてこの中に紛れ込んでいる、全くの別人。それが、真犯人です」
「だ、誰なんだ、それは!?」
「勿体ぶらずに、早く言いたまえ!」
「ぼ、ぼぼ、ボクは犯人じゃないぞ!こ、ここだって……お、伯父さんに無理やり連れて来られたんだ……」
「橋本……いや、姜!オマエだろ!?これだから朝鮮人をうちの屋敷で働かせるのは嫌だって言ったんだ!ったく!通名なんぞ使いおってからに!生粋の日本人の橋本さんに謝れ!」
「またヘイトですか!いい加減にしてください!」
「ヘイトじゃない!事実だ!そうだろ!?愛原さん!」
「ええ。ですので、更にもっと事実を話してもらえませんか?……厳田虎雄さん」
「な、なにっ!?今、何と言った!?」
「真犯人『人誅見舞人』は、あなただと言ったんですよ。厳田さん?」
「何だと!?この私のどこが犯人だというのだ!?」
「まず、第一の犯行のトリックですが、【以下略】。続いての事件については、【以下略】。更に【以下略】。というわけで、犯人はあなたしかいないんですよ。どうですか?」
「ふ……ふふふふふふ……ふはははははははは!そこまでバレては仕方が無いな!」
真犯人は頭に被っていたマスクを取った。
だが、その下はまるで“名探偵コナン”や“金田一少年の事件簿”みたいな、暴かれる前の真犯人のように真っ黒だ。
ところが、だ。
一同全員がマスクを取って、同じような姿になったではないか!
「この事件の犯人は最初からいなかったのだよ、愛原君?」
「言うなれば、全員が真犯人ニダ!」
「こ、ここ、この事件自体が……た、探偵さんを誘き出す為の……わ、罠だったんだな……」
「キミは我々『真犯人団』の手に掛かって、あえない最期を遂げるのだ」
壁に追い詰められた私!
そ、そんな!私以外、全員真犯人だなんて、バカな!?
「せっかくこの小説、連載開始が内定したのにねぇ……」
「我々の手によって、打ち切りだお♪」
「謝罪と賠償を求めるニダ!そしたら、許してやるニダ!」
わーっ!誰か!助けてくれーッ!!
[6月14日午後のまだ明るい時間帯 天候:晴 東京メトロ新木場駅]
「うう……ん……。真犯人に殺されるなんて……ムニャムニャ……。うう……来週から『スーパー人間革命』が始まるだと……!」
「お客さん!終点ですよ!起きてください!お客さん!」
〔新木場、新木場。終点です。JR線、りんかい線はお乗り換えです。1番線の電車は、回送電車です。……〕
東京都内で小さな探偵事務所を経営している。
今回は大きな仕事が舞い込んできた。
クライアントは、さる有名な財閥の御曹司。
そこの総帥たる名誉会長が大往生し、莫大な遺産が遺族らに渡るということは既にマスコミやインターネットで世間に知れ渡っていた。
そして、中にはそんな遺産を狙う不届き者もいるのもまた事実である。
そのクライアントの予想は見事に当たり、遺族達に本当の遺産相続者を名乗る者から脅迫状が届いた為、裏でその犯人を見つけて欲しいというものであった。
もし解決してくれれば、私の個人資産はあっという間に跳ね上がるであろう、と。
場所は栃木県は那須にある高級別荘地。
うむうむ。
まるで、かの金田一探偵を彷彿とさせる展開ではないか。
そして案の定、まるで小説のように、『人誅見舞人』を名乗る犯人の犯行声明通りに、次々と遺族達が殺されていった。
だが、私はついに真犯人を突き止めることに成功したのだ!
私は早速、皆を洋館風の別荘の大食堂に集めた。
「謎が全て解けました。真犯人『人誅見舞人』は、この中にいることが判明しました」
驚愕の顔を浮かべる遺族やその関係者達。
「まず、一連の犯行についての背景ですが、【以下略】。そういったことから、これは単なる遺産目的の犯行では無かったのです。そして、いかにも遺産に目が眩んでいる遺族としてこの中に紛れ込んでいる、全くの別人。それが、真犯人です」
「だ、誰なんだ、それは!?」
「勿体ぶらずに、早く言いたまえ!」
「ぼ、ぼぼ、ボクは犯人じゃないぞ!こ、ここだって……お、伯父さんに無理やり連れて来られたんだ……」
「橋本……いや、姜!オマエだろ!?これだから朝鮮人をうちの屋敷で働かせるのは嫌だって言ったんだ!ったく!通名なんぞ使いおってからに!生粋の日本人の橋本さんに謝れ!」
「またヘイトですか!いい加減にしてください!」
「ヘイトじゃない!事実だ!そうだろ!?愛原さん!」
「ええ。ですので、更にもっと事実を話してもらえませんか?……厳田虎雄さん」
「な、なにっ!?今、何と言った!?」
「真犯人『人誅見舞人』は、あなただと言ったんですよ。厳田さん?」
「何だと!?この私のどこが犯人だというのだ!?」
「まず、第一の犯行のトリックですが、【以下略】。続いての事件については、【以下略】。更に【以下略】。というわけで、犯人はあなたしかいないんですよ。どうですか?」
「ふ……ふふふふふふ……ふはははははははは!そこまでバレては仕方が無いな!」
真犯人は頭に被っていたマスクを取った。
だが、その下はまるで“名探偵コナン”や“金田一少年の事件簿”みたいな、暴かれる前の真犯人のように真っ黒だ。
ところが、だ。
一同全員がマスクを取って、同じような姿になったではないか!
「この事件の犯人は最初からいなかったのだよ、愛原君?」
「言うなれば、全員が真犯人ニダ!」
「こ、ここ、この事件自体が……た、探偵さんを誘き出す為の……わ、罠だったんだな……」
「キミは我々『真犯人団』の手に掛かって、あえない最期を遂げるのだ」
壁に追い詰められた私!
そ、そんな!私以外、全員真犯人だなんて、バカな!?
「せっかくこの小説、連載開始が内定したのにねぇ……」
「我々の手によって、打ち切りだお♪」
「謝罪と賠償を求めるニダ!そしたら、許してやるニダ!」
わーっ!誰か!助けてくれーッ!!
[6月14日午後のまだ明るい時間帯 天候:晴 東京メトロ新木場駅]
「うう……ん……。真犯人に殺されるなんて……ムニャムニャ……。うう……来週から『スーパー人間革命』が始まるだと……!」
「お客さん!終点ですよ!起きてください!お客さん!」
〔新木場、新木場。終点です。JR線、りんかい線はお乗り換えです。1番線の電車は、回送電車です。……〕