報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

今月の休日はあって無いようなもの

2013-07-24 20:18:32 | 日記
 “ボカロマスター”より。 前回とほぼ同じ時系列。登場人物の視点を変えた話にしただけで、随分と雰囲気が変わるのだという実験。

[02:00.タクシー車内→公道~研究所アプローチ坂 敷島孝夫]

 いやあ、飲んだ食った♪たらふくマンプクごちそーさんっと♪はっはっはー!いやいや、こんなに美味い飯と酒にありついたのは何年ぶりだろう。
 ボーカロイドプロデューサーに就任してまだ1年足らずだが、こんなにも早く結果が出てくれるとは思わなかった。有名劇団によるミュージカルの全国ツアーに参加し、大成功を収めたことで、ボーカロイド達の知名度も人気も急上昇のうなぎ上りだー!いやいやー、まるで夢みたいだ。
 おおっ!よく見ると今夜は満月。うん。このままタクシーで研究所のエントランスに着けるのも勿体無い。酔いを醒ますのを兼ねて、少し歩いてみるか。
「あっ、運転手さん、そこの坂の手前でいいです」
「よろしいですか?」
 私は研究所にアプローチする坂の下で、タクシーを降りた。
「ありがとうございましたー」
「どンも~」
 公道から研究所へ向かう坂道は私道である。どこかの研究機関の施設の払い下げだとか聞いたが、よくこんな物件見つけたもんだ、うちの所長は……。
 それで、だ。実際に坂道を歩いてみて、少し後悔する。こんな真夜中に研究所への一本道を歩く人も車もあるはずもなく、道は街灯1つ無い真っ暗なものだった。
 本来ここは車道で、徒歩でアクセスする場合は、裏手にあるバスの折り返し場の階段から行くのがセオリーである。その為、そちら側には不十分ながらも多少の明かりがある。
 それでも目が暗闇に慣れると、幸い満月の明かりのおかげで、道筋が見えるようになった。
 多少千鳥足気味で坂道を3分の1くらい進むと、坂の上の方から誰かがやってきた。両目らしき部分が、ボウッと鈍い緑色の光を放っている。やべェ、お化けが出たか?こんなことなら、日蓮正宗法華講員の折伏を断るんじゃなかったよ。
 しかしよく見ると違った。
「お帰りなさい、プロデューサー」
 にこやかな笑みを浮かべたレンだった。両目が光っているのは、暗視機能を使用しているからだろう。しかし、結構不気味である。
「あ、ああ。ただいま」
「だいぶ飲まれたようですね」
「ああ。おかげさまでな」
「良かったですよ。襲われなくて」
「ドクター・ウィリーも公演中襲ってくることは無かったもんなぁ……」
 しかし、レンが心配して迎えに来てくれるとは予想外だった。でもおかしいなぁ……確かこの時間、研究所はセキュリティが入ってて、緊急事態でもなければ、ボーカロイド達が勝手に外に出ることはできないはずだ……よなぁ……。
「『その調子では、襲われたらひとたまりもありませんね』」
 考えていると、レンが私の顔を覗き込んで、聞いたようなセリフを言って来た。確か、これは……。
 そうそう。ミュージカルもしくは原作小説で、レン演じるアレンがリリアンヌ王女に命令されて、レオンハルト親衛隊長を暗殺する時に言ったものだ。確か、あの時……も、レオンハルト親衛隊長は泥酔していた設定だ。……今の私のように。
「……アレンは剣を抜いていましたが、現実にそんなものはありませんからね」
 レンはポケットからナイフを取り出した。
 な、何をする気だ、こいつ!?私が呆気に取られていると、
「『そのままの意味ですよ。あなたにはここで死んでもらいます』プロデューサー」
 まずい!こいつ、本気だ!アレン……じゃなかった!レンは……あああっ!!

 私は満月を見上げる形で倒れた。力が出ない……痛みが……感じない……。その月を遮るように、レンが私の顔を見下ろす。
 レンには明確な殺意があった。とどめを刺す前に、いくつか質問してきたが、どれもが全く意味不明だった。ただ……何となく分かった……。レンは大きな誤解をしているし……快楽的に私を殺そうしているのでもない……。歪んだ……姉弟愛……。
「ロケット・アーム!」
 エミリーの声がして、レンが私の視界から消えた。どうやら……ミュージカルの親衛隊長と違い、私にはちゃんと助けに来てくれた者がいたらしい……。でも……そうか……これが……死ぬということ……。
「敷島・さん。……」
「俺……嫌われてたのかな……」
「ノー。恐らく・ウィルスです」
 エミリーが私の手当てをしてくれたが、助かるかどうか……。
「ミク……」
 最後に……いや、最期に帰りの新幹線で、久しぶりにミクの手作りクッキーを所望したことがあった。焼いて待っていて、くれたそうだが……ごめんな……。おれ……食えそうに……ない………。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 OKネタでは三人称になっていて、実はミクの視点で書いたものが通った。でも実際、ミクがクッキーを渡すのを楽しみしている時、外では上記のような惨劇が繰り広げられていたというもの。
 あとは敷島を刺し殺そうとしたレンの視点と、彼を唆して凶悪犯罪に走らせたMEIKOの視点……かなぁ?意表を突いてエミリーの視点……うーん……。

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2 コメント

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Unknown (ポテンヒット)
2013-07-24 22:29:42
俺の自己満チャリ技シリーズ!第10弾は「スタンディング・フリーズ」である……

チャリ技とは高速走行だけが芸ではない。低速走行の技もある。状況に応じては低速のほうが有効な場面も多々あるのだ。例えば商店街での「ババアの番手」などだが、そのへんの詳細はまたの機会にアポ無し自己満解説するとして、今回はスタンディングフリーズ。略してスタフリ。それは、俺のチャリ技における最低速の技である。秒速1輪くらいにまで速度を落とすのだ……

秒速1輪……これは殆どフリーズ状態の超低速である。フツ~のフォームではハンドルがブレ、バランスを崩してしまう。だから前かがみに立ち、体重で前輪やハンドルの暴れを抑えてしまうのだ。

スタフリは、主にT字路で効果を発揮する。狭い路地から広い通りへ出る場合、左右確認はもちろん必須だが、前輪の上に目が位置していればいち早く確認できる。首は振らない。ゴルゴ13のように眼球の動きだけで左右を見る。そのほうが早いし、首を振ったらバランスも崩れてしまうからだ。

完全に停止しないのもポイントだ。速度ゼロにしてしまうとダッシュがもたついてしまうが、秒速1輪でも動いていればダッシュに備える事ができる。クルマが来ないと瞬時に見切ったら、座る動作も利用してペダルを踏み、素早いダッシュで安全圏へと駆けてしまうのだw

問題はクリートである。外すか否か?これは迷うところだが、俺はたいてい左だけ外している。止まる・駆けるの両方に備えるわけだが、まぁどっち付かずではある。競輪で言えば、本命と穴の両方買いの乱れ打ちw

ちなみに、スタフリはクルマから見るとスッゲ~怪しく映るらしい。が、それはそれで良い。クルマに注意を促せれば、俺的には狙い的中w
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ポテンヒットさんへ (ユタ)
2013-07-25 14:33:10
 コメントありがとうございます。
 自己満だけとの御心配は要りません。ちゃんとした情報になっていますから、これからもどんどんお願い致します。
 もう既に、他のメンバーがネタにしてるとかしてないとか……何でもアリマセン!
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