報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「最後の推薦状」

2022-08-23 16:18:25 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[7月17日21:00.天候:晴 アルカディアシティ6番街 『マッサージの吉田屋』店内]

 マリアは作務衣のような部屋着に着替えた。

 吉田:「んっふふふふ……。リッチなお客には、相応しいおもてなしを」

 吉田、カーテンを閉めて施術台を個室化した。
 マリアが受けるのは、ハンドマッサージである。
 施術前のヒアリングで、足よりも手の方が疲れていることが分かった。
 これは魔法使いでは、よくあることなのだという。

 吉田:「まずは、皮を痛めないようにクリームを……指の一本一本に、ねっとりと……丁寧に塗り込んで行くからね?」
 マリア:「うぅ……」(←この時点で既に気持ちいい)
 吉田:「それじゃあ、指先から行くよ?」
 マリア:「Right...」

 因みにマリア、ハンドマッサージを受けるのは初めてである。
 尚、リクライニングチェアに座っている。

 吉田:「ほぉら、力を抜いて。悪いようにはしないからさ」
 マリア:「(まるで師匠にマッサージされているかのようだ……)あぁ……!」

 吉田自身がアラフォーなのと、背格好や猫を被った性格が似ているからだろう。
 弟子として、体の使用期限が迫っている師匠のマッサージをしたことはあるが、されるのは初めてだった。

 吉田:「おや?痛かったかい?」
 マリア:「いえ……」
 吉田:「んふふふ……。次は、指の付け根を揉んで行くよ。凝り固まった老廃物を、どんどんと流して行くからね?……あなたは手を使うことが多いようだから、老廃物が溜まりに溜まってるわね」
 マリア:「人形作りが趣味なもので。あぅぅ……」
 吉田:「声出してもいいんだよ?我慢は体に毒だからね?」
 マリア:「でも、隣の部屋には勇太が……」
 吉田:「いいのいいの。気にしなくて。……最後に、掌のツボを優しく押していくよ?こんな風に……」
 マリア:「ううッ……!」
 吉田:「おや、どうしたんだい?声が漏れてるね?……ここが気持ちいいのかい?……ここはどうだい?……それとも、ここかい?」
 マリア:「あッ……!ああッ……!!」

 で、隣の部屋……。

 勇太:「な、何かマリアの絶叫というか、嬌声というか、そういうのが聞こえる」
 アヤ:「キョーセー?」

 尚、こちらの方は順調に施術が進んでいた。
 勇太をロリコン呼ばわりしたマリアだったが、特に勇太はアヤに欲情することもなく、まるで娘に肩たたきでもされる父親のような感じで接していた。

 アヤ:「それじゃ次は足ツボ。お客さんも、夜はよくお酒を飲まれるようだから、そんな人の為のツボを調べました」
 勇太:「な、何かスイマセン……」
 アヤ:「こちらに、右足を置いてください」

 アヤ、フットレストを勇太の前に置く。
 尚、勇太もマリアと同様、リクライニングチェアに座って、最初にハンドマッサージを受けていた。

 アヤ:「それでは手と同様、皮を痛めないようにクリームを塗らせて頂きます。……それでは、始めます」
 勇太:「木の棒でグリグリするタイプか。本格的だねぇ……」
 アヤ:「ここ、ここです。分かりますか?ここが、肝臓に効くツボです。右足にしかありません」
 勇太:「そうなんだ。でも、全然痛くないね?ということは、僕の肝臓、とても健康的ってことでいいのかな?」
 アヤ:「あのね、本当に健康的だと、『痛気持ちいい』んだって。痛いだけだったり、逆に全然痛く無くてもダメなんだって」
 勇太:「そ、そうなの?じゃあ、僕の肝臓は……」

 マリアに付き合って、アルコール度数の高いワインやウィスキーにも手を出したからだろうか。

 アヤ:「お察しください」
 勇太:「だよねぇ……」

 その時、また隣の部屋からマリアの嬌声が聞こえてくる。

 勇太:「凄いな、マリア……。(Hの時でも、あんなに声は出さないのに……)」
 アヤ:「うちのママ、結構激しくグリグリやるからね」
 勇太:「そうなんだ」

 その為、ソフトタッチが良いとする客は、別にロリっ気など無くても、アヤを指名することがあるのだとか。

 マリア:「もうダメ~~~~!!
 吉田:「ここは我慢なさい。ここが1番、体に効くんだから」

 勇太:「な、何をしてるんだろう?何をしてるんだろう?」(;゚∀゚)=3ハァハァ
 アヤ:「これかな?」

 アヤ、棒で勇太の足の親指辺りをグリグリとやる。
 眼などに効く部分だそうで、眼が疲れたりすると、かなり痛いらしい。

 勇太:「ぎゃおっ!?」
 アヤ:「ほら?w」
 勇太:「な、なるほど。そういうことか」

 足ツボの次は……。

 アヤ:「次は太ももの内側でーす」
 勇太:「わっ!?ちょちょちょ、女の子が大人の男の変な所を触るんじゃありません!」
 アヤ:「? あのね、ここはリンパが流れているところで、強く刺激してあげると、老廃物が一気に流れて健康的になれるんだよ」
 勇太:「そ、そうだったのか」
 アヤ:「多分、隣でも……」

 隣からマリアの笑い声が聞こえて来た。
 恐らくマリアにとって、太ももの内側から足の付け根に掛けては、くすぐったい所なのだろう。

 勇太:(今度、Hの時に舐めてあげよう……)

 くすぐったい所というのは、性感帯でもあるとのことで……。

[同日22:00.天候:晴 同店内]

 施術室から出て来るマリア。

 吉田:「気に入ったら、また来てちょうだい」
 マリア:「Right...」

 そして、勇太の方も……。

 アヤ:「またのご利用、お待ちしてまーす!」
 勇太:「あ、ありがとう……」
 吉田:「さて、三星亭の女将さんから話は聞いてるよ。あなた達の誠意、しかと見せてもらったからね。頼みってヤツを聞こうじゃないか」
 勇太:「あ、はい。実は……」

 勇太は事情を話し、後援会幹部である吉田の推薦状が欲しいと言った。

 吉田:「そういうことだったのね」

 因みにマリアは、あまりにも気持ち良くて腰が抜けてしまい、待合所の椅子に座り込んでしまった。

 アヤ:「はい、どうぞ。白湯です。これを飲めば、流した老廃物が外に排出されます」
 マリア:「Thanks...」
 吉田:「分かった。そういうことなら、すぐに書いてやろうじゃないか」
 勇太:「本当ですか!?」
 吉田:「ああ。今、書いてくるから、そこで白湯でも飲んでなさい」
 アヤ:「はい、白湯」
 勇太:「ど、どうも……」

 こうして勇太達は、見事に推薦状を3つ手に入れることができたのである。

 勇太:「“がんばれゴエモン”とかでも、通行手形を3枚くらい揃えないと関所が通れないとかあったけど、実際はこんな苦労だとは……」
 マリア:「随分、手間が掛かったねぇ……」

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3 コメント

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Unknown (んっ?)
2022-08-23 18:34:45
最近,ムラムラする事,もとい,もやもやする事があって
是非,ノベリストたる百三さんの感想をお聴きしたい。

其れは「全然○○○」と云う場合に○○○の部分は
肯定文か否定文かという事なのです。

調べてみると,元々は何方の使用法も正解だったものが
戦後教育の中で否定文のみが可で
肯定文は誤用とされた様です。
最近,テレビのコメントやCM等で肯定文が使用され
耳にする度イライラしますが,百三さんは如何ですか?
返信する
んっ?さんへ (雲羽百三)
2022-08-23 19:37:53
 こんばんは。

 元の運用に戻ったというのであれば、それは構わないと思います。
 確かに私も、小学校では、「全然○○○(否定文)」という感じで教わったので、「全然○○○(肯定文)」に違和感が全く無いかというと、ウソにはなります。
 ただ、今はそんなに違和感は無いですね。
 その運用に慣れたというのが正しいと思いますが……。

 かつては正しかったのに、一時期誤読され、また元に戻ったという言葉は他にもあるんですよ。
 その最たる物は、東京の「山手線」です。
 開通当初は「やまのてせん」、しかし戦後に、「やまてせん」と誤用され、また「やまのてせん」に戻って今に至るという感じです。
 「やまてせん」に慣れた世代(1945年~1970年までの山手線ユーザー)の人達は、もしかしたら、今の「やまのてせん」に違和感があるかもしれません。
 そういうことです。
返信する
んっ?さんへ (雲羽百三)
2022-08-23 19:44:58
 https://www.youtube.com/watch?v=OC8kUS6amOI

 初代の「ヨドバシカメラの歌」です。
 1990年代始め頃まで歌われていたそうです。
 しっかり、「まあるい緑の『やまてせん』」と歌っていますね。
 今聴けば違和感マックスですが、当時はこの読み方も一般的だったのでしょう。
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