報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

そろそろこの辺で終わりかな?

2013-07-12 00:14:29 | 日記
 前回の続き……。

[12:00.闇の森“中央の村” 安倍春明]

 確かにルーシーは私の読み通り、魔王軍を率いて自ら助けに来てくれたようだ。どうしてそう思うのかと言うと、彼女の鶴の一声でなければ動かない物が来たからだ。それは村の上空を悠然と飛んでいた。
「ひ、飛空艇!?」
 王立飛空艇団。私も1度、乗ったことがある。あの時はただの“空飛ぶ船”程度であったが、ルーシーお気に入りの1号艦は、その両舷に8つずつの大砲が搭載されていた。
「おおっ!陛下が御自ら救助に来てくださったぞ!」
「バンザーイ!バンザーイ!」
 歓喜に包まれる党員達。だが、私は肝心なことに気付いた。
「で、どうやって、飛空艇に我々の存在を伝えるんだ!?」
「あっ……!」
 因みに飛空艇の存在を知らない村人達は、弓矢で抵抗を試みていた。
「無駄なことはよせ!」
 エルフ語であったが、恐らくサイラスはそう言ったのだろう。渋々、矢を番えるのをやめる村人達の姿が確認できた。
「私の分析では、矢を一本放つのがよろしいかと思いますね」
「それもなぁ、ちょっと……」
 何かいいアイディアは無いか周りを見渡してみると、下草刈りの帰りと思われる少年の姿が目に留まった。自然をこよなく愛するエルフ族が草刈りとは矛盾しているように見えるが、彼らは草よりも森の木を大事にするようだ。つまり、木の成長の為に草を刈るのはしょうがないということらしい。
「……これだ!」
 私は1つの案が浮かんだ。

[12:15.闇の森“中央の村”上空 ルーシー]

 春明達の消息が経ってから3日以上が過ぎ、私は捜索隊を出す事にした。最初は森を焼き払ってやろうかと思った。もし仮にエルフ族が春明達に危害を加えていたら、そうするつもりだ。彼らは受けた恩と仇は必ず返すのが信条だと聞いている。それを信じて視察団の派遣を許可したのだが、どうやら甘かったらしい。
 取りあえず、この森で生まれ育ったエルフが私の元にいるので、彼女を連れてここまでやってきた。しかし、図体のデカい船の為に小回りが利かず、また下方視野など無いに等しいのが悩ましかった。
「もう少し、高度を落として!」
 私は艦長のオーゼルグに言った。
「無理です、陛下!これ以上下げると、失速します!」
「艦長、あれをご覧くだせぇ!」
 魔族の兵士が何か指差す。
「あれは、煙?」
「バカな。闇の森のエルフどもは、火を一切使わないと聞く。自然発火の火事か!?」
「……違う。春明よ!あの煙の近くまで行って!!」
「りょ、了解!」

[12:30.闇の森“中央の村”集会広場 安倍春明]

 私の案。それは狼煙だ。刈り取った草は堆肥にするそうだが、それを分けてもらい、坂本のマッチで着火した。私が火を使うことに抗議してきた村人がいたが、サイラスやレニフィールがなだめてくれた。2人も理解したのだろう。このままでは、村全体……いや、森全体が火に包まれることを。狼煙程度の火で済むのなら安いもんだと……。
「ルーシー、気づいてくれ~……」
 私は半ば懇願する思いであった。
「あっ!あれ見て!」
 レナが飛空艇を指差した。かなり低空とはいえ、それでも地上から100mは離れている。そこから飛び降りて来る人物がいた。
「やっと、見つけたわよ!愚かな人間ども!」
 悠然と地上に降り立つ。自ら陣頭指揮を執る為なのか、いつものドレスではなく、パンツ姿の魔王軍の黒い軍服にヴァンパイア一族が空を飛ぶ為の黒マントを羽織っていた。そして、右手には“魔王の杖”。
「へ、陛下!」
「陛下御自ら救出に来て下さるとは……」
「この大感動は、しばらくの間冷めやらぬことでありましょう」
 党員達は皆、跪いた。
「新しいメイヤー(首長)は誰?」
「私です。ルーシー陛下」
 レニフィールが前に進み出た。
「OK.この愚か者共を引き取りに来たんだけど、何か条件は?」
 レニフィールは、
「特にありません」
 と、言い掛けたが、
「ちょっと待った!条件ならある!……もとい、あります!」
 私はレニフィールの言葉を遮った。
「アンタには聞いてないって」
 ルーシーは変な顔をした。
「お願いします!」
 するとサイラスも、私の考えに気づいたようだ。
「陛下にしかできないことなんです。お願いがあります」
「???」
 ルーシーは首を傾げた。

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1 コメント

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つぶやき (ユタ)
2013-07-12 20:40:38
東京駅なう。只今、北へ向かう新幹線は秋田新幹線遅延が波及し、20~30分遅れで運転中。
何て日だ!!
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