報恩坊の怪しい偽作家!

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当作品三大悪女&“ユタと愉快な仲間たち” ショート・ショート

2014-04-22 10:14:27 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
 当作品三大悪女について考えてみた。

 1、栗原江蓮(川井ひとみ):

 30余年前、百合関係だったグループの仲間である東郷幸子が彼氏を作ったため、嫉妬して後輩らに命じてリンチ。
 目つきが気に食わないという理由でとどめを刺し、学校の敷地内に死体を遺棄する。
 栗原江蓮として転生の後は深く懺悔しているものの、取りあえず傷害致死と死体遺棄ってことで悪女認定。

 2、シンディ:

 マッドサイエンティスト、ウィリアム・フォレスト(通称、ドクター・ウィリー)に製作された女性型アンドロイド(ガイノイド)。
 製作者の命令のままにテロ活動や殺戮行為を繰り返し、感情レイヤー(ロボットに喜怒哀楽の感情を持たせる装置)が搭載されてからも、快楽殺人を繰り返した。
 ついには製作者まで笑いながら刺殺し、文句無しの悪女認定。

 3、マリアンナ・ベルゼ・スカーレット:

 え?マジ?……さいです。長野県の広大な森の中にある洋館でひっそり暮らしているのだが、迷い込んだ人間を魔術の実験台にするということで……というのは表向き。
 実はまだ本編では触れられていない、魔道師になる前、まだ生粋の人間だった頃のが川井ひとみ以上、シンディ以下……。

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「ただいまぁ!」
 ユタはルンルン気分で、マリアとのデートから帰って来た。
「お帰り。魔道師に何かされなかったか?」
「全然」
「……そのようですね」
 カンジはユタの姿を見て頷いた。
「ん?魔道師は連れてこなかったのか?」
「もう帰っちゃった。残念」
「キノだったら、帰らせる前にホテルにでも連れ込むのでしょうが、稲生さんはそういうキャラではないですね」
「いや、ハハハ……」
「カンジ」
「失礼しました」
 威吹にたしなめられたカンジ。
「でもまた会ってもらうことになったよ」
「それはそれは……」
 ユタは2階の自室に向かった。
「全く。ユタにも困ったものだ」
 威吹は座椅子に腰掛けて、溜め息をついた。
「まあ、ご本人の気持ちですからね」
「よりによって、人間ではない女を選ぶとは……」
「元・人間ではありますがね。それより先生、あの魔道師……マリアンナ師のことですが……」
「何だ?」
「少し違和感がありましてね」
「何が?」
「あいつは魔道師になるに当たって、“笑い”の感情が封印されたとのことです」
「らしいな。おっ、そうだそうだ。その割には顔が笑ったりしている。……まあ、微笑とか冷笑くらいだが」
「あと失笑もですね。作った笑顔はできても、心から笑えないということでしょう」
「それがどうかしたか?オレは魔道師のことは知らんが、何かしら感情が欠けるのが条件なんだろう?」
「それが先生、どうも違うようなのです」
「違う?」
 カンジはプラスチック製のカバンの中から、別の書類を取り出した。
「何だ何だ?幽霊騒ぎの報告書とはまた違うのが出て来たな?」
「ええ。実はオレも西洋妖怪については、色々と調べてまして……。今後、オレ達の前に立ちはだかる恐れが無いとは限りませんので」
「まあ、そうだな。で、魔道師の何を調べたんだ?」
「魔道師になるに当たって、『全てを失い、全てを手に入れる』というのがあいつらの掟だそうです」
「全てを失うとは何だ?」
「オレ達と同じ、永遠の命のことですよ。『全てを失い、全てを手に入れる』というのは、言わば時間のことです。寿命が無制限なので、オレ達も含めて時間の概念を必要としない。そういうことです」
「なるほど。改めて言われると、却って首を傾げるものだが、何となく分かった。で、それがマリアの『笑いの感情が無くなった』と、どう関係があるんだ?」
「魔道師になるに当たって、そんなのは条件でも何でも無い。オレの予想ですが、『何かの理由で、あえて封印している』と思われます」
「何かの理由でねぇ……」
「その証拠に師匠であるイリーナ師は、よく笑っています」
「そうだな。……お前も笑っていいんだぞ?そんな仏頂面してないで」
 威吹は相変わらずポーカーフェイスのカンジに言った。
「はあ……」
「お前も笑いを封印してるのか?」
「いえ。これは天然です。しかし、マリア師は間違いなくその感情が封印されています。作り笑顔自体も、やたら不自然ですので」
「ふーん……。まあ、これ以上はオレ達も関係無いよ。ユタの恋愛事情に首を突っ込むとどうなるかは、お前も知ってるだろう?」
「ええ。オレ達も永遠の命はありますが、あくまで寿命が無制限というだけですので、殺されれば死にますからね」
「なのに魔道師は殺されても死なない。不気味な連中だ。だからあの屋敷での騒ぎは変だと思ったんだ」
「ええ」
 

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