報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「東京を周る」

2017-05-24 22:20:26 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月28日12:50.天候:晴 バスタ新宿]

 バスが話題のバスタ新宿の中に入る。

 稲生:「もう、ここも何回も来ましたねぇ……」
 マリア:「昔はどこから乗り降りしてたんだっけ?」
 稲生:「西口ですよ。ヨドバシカメラの前辺り」
 マリア:「そうだったっけ」
 イリーナ:「クカー……」
 稲生:「やっぱり寝落ちしてる」
 マリア:「そんなことだろうと思った」

 バスが到着場の3階部分に停車する。

 稲生:「着いたー」
 マリア:「中継地点というより、スタート地点に戻って来たって感じだ」
 イリーナ:「ゴメーン、また寝ちゃったお」
 マリア:「特に期待してないんで」
 稲生:「ハハハ……」
 イリーナ:「えーと……ここから、駅に行って帰りの電車のキップだっけ?」
 稲生:「その前に泊まる場所、探します」
 イリーナ:「なるほど」

 というわけで稲生達が向かった場所は、同じバスタ新宿内にある東京観光情報センター。

 マリア:「スタッフがKimonoだ……!」
 イリーナ:「インバウンド相手の場所だからねぇ……」

 イリーナは適当に観光案内のパンフレットを見ていた。

 スタッフ:「大人3名様で、本日宿泊できるホテルですね?」
 稲生:「はい。なるべく大浴場付きでお願いします」
 スタッフ:「お部屋割の御希望はございますか?」
 稲生:「一応、シングル一部屋とツイン一部屋で」
 スタッフ:「少々お待ちください。……ご予算の方で御希望はありますか?」
 稲生:「あっ、先生!宿泊代なんですが……」
 イリーナ:「ん?そうねぇ……今、持ち合わせはあんまり無いんだけどぉ……」
 スタッフ:「かしこまりました。それではなるべく安価なホテルを……」
 イリーナ:「現金はあまり持ち歩いてないの。カードならあるよ」

 イリーナがスッと出したカードは、アメリカンエキスプレスのプラチナカードだった。

 スタッフ:「大変失礼しました!」
 マリア:「師匠、プラチナカードでいきなり予算吊り上げないでくださいよ」
 イリーナ:「ブラックカードは伝家の宝刀だから、そうそう使うものじゃないよ」
 スタッフ:(この人、ブラックカードも持ってるの!?)
 マリア:「師匠にばかり支払わせては申し訳無いので、私のコールドカードで……」
 スタッフ:(また20歳にもなってなさそうな感じのコなのに、ゴールドカード!?)
 イリーナ:「いいのいいの。こういうのは先生が全部持つから」
 スタッフ:「も、申し訳ありませんが、こちらでは魔女(セレブ)の方々のホテルは御紹介しておりません」
 稲生:「えっ!?い、いや、大丈夫ですよ!?こ、この人達、ちゃんとパスポートとビザありますよ!?」

 もちろん、世を忍ぶ仮のものである。
 実際はマリアはイギリスで自殺したことになっているし、イリーナは実年齢が既に【お察しください】。

 稲生:「……あっ、このドーミーインホテルでお願いします。前行った所とは違う所だ」
 イリーナ:「へえ、そこも温泉付き?」
 稲生:「天然温泉ではないみたいですけどね。でも、広そうですよ」
 スタッフ:「こういう所でよろしいんですか?(プラチナカードやゴールドカードを持っているような人達が?!)」
 稲生:「ええ。部屋、空いてます?」
 スタッフ:「あいにくとクイーンは満室のようです」
 稲生:「あ、そういう部屋でなくてもいいですよ。シングル1つとツイン1つで」
 マリア:「師匠は取りあえず、寝る所さえあればどこでも寝られますもんね」
 イリーナ:「まあね。この近辺?」
 稲生:「渋谷と原宿の間くらいだから、そうなりますね。じゃ、ここでお願いします」
 スタッフ:「かしこまりました……」

 観光情報センターを出た稲生達。

 マリア:「さっきの女性スタッフ、私達が魔女だと知ってから態度が急変しましたね」
 イリーナ:「キリスト教過激派のメンバーかもしれないわね。気をつけないとダメよ」
 マリア:「はい」
 稲生:(キリスト教に過激派なんているのか?……あ、魔女達にとって、か……)

 つまり、未だに魔女狩りを肯定する宗派のこと。
 確かに魔女側から見れば過激派だ。
 もっとも、稲生とてその場合は他人事ではない。
 中世ヨーロッパでは、男も魔女として狩られていたのである。

 稲生:(いざとなったら、日蓮正宗の武闘派さん達に頼めばいいや)

 流血の惨を見る事、必至であります!

 イリーナ:「ユウタ君、ホテルも予約できたし、次はどこに行くの?」
 稲生:「JRの駅に行って、帰りの電車のキップを買ってきます。まあ、グリーン車なら何とか……」
 マリア:(師匠の金だと思って、少し贅沢になりつつあるような……?気のせいか?……まあ、ホテルはそんな高級そうな所でもないみたいだし……)

 ※注意:東京観光情報センターにおいて、都内全てのホテルを紹介しているわけではないようです。ドーミーインがその対象になっているかどうかまでは調査しておりませんので、あくまでもここではフィクションということでお願いします。

[同日15:00.天候:晴 東京都渋谷区神宮前 ドーミーインPREMIUM渋谷神宮前]

 マリア:「おっ、結構きれいなホテル」
 稲生:「プレミアムと名乗っているくらいですから、以前に泊まった秋葉原店よりもグレードは高いんだと思います。先生」
 イリーナ:「あいよ。アタシのカードだね」

 イリーナはアメリカンエキスプレスのプラチナカードを出した。

 イリーナ:「てか、アタシが行かなきゃダメか」
 マリア:「そりゃ、カードは本人確認が必要ですから」

 イリーナが稲生の代わりにカードを差し出した。

 フロントマン:「それでは、こちらにサインを……」
 イリーナ:「ダー。・・・・・・・」
 稲生:「先生、自動通訳(魔法)切れてます」
 イリーナ:「イズベニーチェ。……これは失礼」
 稲生:(繋がりの悪いWi-Fiみたいだな……)

 因みにイリーナ、サインの所はロシア語ではなく、英語で書いた。
 ルームキーはカードである。
 これを受け取って、客室へ上がるエレベーターに乗った。

 稲生:「夕食は外に食べに行くことになりますが、何がいいですか?」
 マリア:「肉」
 イリーナ:「魚」
 稲生:「えー……では、魚ですね」
 マリア:(くそ……)
 イリーナ:「うん♪」
 稲生:「後で検索しておきます」

 部屋は当然別れている。
 稲生はシングルに、イリーナとマリアはツインの部屋に向かった。

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