[2月9日17時55分 天候:曇 静岡県富士市 JR新富士駅→ASTY新富士]
JR富士駅から新富士駅までは、路線バスで向かった。
地元のバス会社が運行しているもので、車種も中型バスが運用されていた。
行先は地元のイオンモールになっていたが、新富士駅にも止まるということなので、それに乗った次第。
愛原「ここまで来れば、もう安心だろう」
高橋「そうですね。ここで飯食いますか?」
愛原「そうだな。そうしよう」
この駅でも駅弁は売っているようだが、行きが駅弁だったこともあり、帰りはここで食べてからにすることにした。
その前に……。
愛原「リサに土産を買って行ってやろう。約束だからな」
高橋「あー、そういえば何かありましたね……」
愛原「お前はパールにでも買って行ってあげたら?」
高橋「そうします」
私達は駅構内の土産物店に立ち寄った。
駅弁もここで買えるようだ。
やはりリサへの土産と言ったら、食べ物だろうな。
肉系統はおつまみのビーフジャーキーくらいしか無いので、お菓子系を買うことになるか。
愛原「パールへの土産は酒かい」
高橋「あいつ、ああ見えて飲むんスよ」
愛原「だろうな」
私はリサへのお土産に、富士山サブレーを購入した。
鋭い歯でバリボリ咀嚼するリサの姿が思い浮かんだからだ。
高橋はやはり酒にしたらしい。
まあ、好き好きである。
この後は、キップ売り場に向かった。
自動券売機で、東京までの自由席のキップを2枚購入する。
何の成果も上げられずに帰京するのだから、贅沢はできなかった。
それから駅ビルに向かう。
愛原「せっかくだから、居酒屋系に行きたいな」
高橋「いいっスね」
飲食店が主に入居している2階建ての駅ビルだった。
階段で2階に上がり、飲食店に入る。
そこそこ賑わっていて、私と高橋はカウンター席に横並びに座った。
愛原「取りあえず、ビールでいいか?」
高橋「そうっスね」
それから焼き物や揚げ物などを適当に注文する。
それで高橋と抜きつ差しつしていると……。
高野芽衣子「お隣、宜しいですか?」
私の隣に、女性が座って来た。
愛原「どうぞ……って、あれ!?」
そこにいたのは……。
愛原「高野君!?」
高橋「アネゴ!?」
私達がビックリしている中、高野君は何食わぬ顔でビールを注文した。
愛原「い……生きてたのか、キミ……」
高野「逆に聞きますが、あの程度で死ぬとでも?」
高橋「まあ、フツーの人間なら死んでるな」
愛原「キミは普通の人間じゃない。だから、ヘリの墜落くらいじゃ死なない」
高野「その通りです。それより、今回は大変でしたね」
愛原「知ってるんかい」
高野「先に注文しちゃいましたけど、御馳走になっても?」
愛原「ああ、いいよいいよ。再会の記念だ」
高野「ありがとうございます」
愛原「それより、どうして俺達が骨折り損のくたびれ儲けだったと知ってるんだ?」
高野「私達が先客でしたからね」
愛原「先客?……ああ、先に富士宮市に来ていたということか?」
高野「もちろんそうです。あの民宿は、富士宮市にありますからね。……焼き鳥の盛り合わせ、いいですか?」
愛原「いいよ」
高野君は運ばれてきたビールのジョッキを手に取った後、今度は焼き鳥を頼んだ。
高橋「もしかしてアネゴ、あの民宿に泊まってたのか?」
高野「さすがはマサね」
愛原「……俺達より先に?」
高野「はい!」
愛原「……ま、まさか、ガスボンベを爆発させたのは……」
高野「もちろん、私達じゃないですよ。でも、『じゃあ誰が?』って聞かれても困るんですが……」
愛原「高野君は、あのガス爆発は、伯母さん……女将さんの過失じゃないと言いたいのかい?」
高野「直接は見ていませんから何とも言えませんけど、私は疑うつもりは無いですね。何せ、仲間の話ですと、ボンベそのものが直接爆発したそうなので」
愛原「ボンベそのものが!?」
高野「はい。仲間のヘリが上空で見守っていたんですけど、爆発したのが建物外だったんですよ。これがその証拠映像です」
高野君はタブレットを取り出した。
その動画は、上空を飛ぶヘリから撮影されたものだった。
一際大きな建物は、民宿さのやだとすぐに分かる。
そして、爆発の瞬間を私は見た。
確かに建物の中からではなく、外側が爆発したように見える。
建物の間取りからして……。
愛原「確かに、ここにプロパンガスのボンベがあったかもしれない……」
高野「そして、これを見てください」
高野君は爆発する直前まで巻き戻した。
豆粒のような小さな物だが、人だというのが分かる。
その人らしき物が民宿の裏から走って来ると、民宿の駐車場に止めてあった軽トラに乗り込み、走り去って行った。
その直後、大爆発を起こす。
高野「何か怪しいと思いません?まるで、ガスボンベに細工をしていったかのようですね」
愛原「た、確かに!誰なんだ、こいつは!?」
高野「分かりません。私達の組織でも追うことにしてるんですけどね」
愛原「でも、そうだとしたら、伯母さんの潔白が証明される!今、伯母さんは失火の疑いで警察に拘束されてるんだ!」
高野「それはお気の毒ですね。でも、この動画は差し上げられませんわ」
愛原「な、何故だ!?」
高野「さすがに、国家機関から敵視されている組織たる私達の動画を提出したりしたら、先生のお立場が悪くなりますよ?」
愛原「し、しかし……」
高野「それに、御心配には及びません。犯人を捕まえられるかどうかは分かりませんが、先生の伯母さんの容疑は近いうちに晴らされると思います」
愛原「どういうことだ?」
高野「動画の続きを御覧ください」
因みに音声はミュートになっている。
怪しい軽トラが走り去った後、どうも慌てていたのか、対向車と接触する瞬間が映し出されていた。
しかし、軽トラは当て逃げしてしまう。
当て逃げされた車の運転手が降りた瞬間、民宿が大爆発を起こした。
高野「もしもこの車の運転手が警察に証言する際、間違いなく民宿から出て来たと証言するでしょう。この車の位置から民宿は見えますから」
愛原「確かに……」
民宿の前の県道は直線になっていて、道は狭いものの、見通しは悪くない。
怪しい軽トラが接触事故を起こした場所は、正にそんな直線区間に入った所であり、民宿の駐車場は陰になっている為、そこから軽トラがいきなり出て来たのなら、確かに当て逃げされた方は、『相手の車は民宿の駐車場から出て来た』と証言するだろう。
伯母さんはスーパーへの買い物は車で行くから、駐車場には連泊する宿泊客の車以外は止まっていないはずなのだ。
愛原「それで、高野君は俺達より先に民宿に泊まって、何をしていたんだ?」
高野「フフッ。気になりますよね?」
愛原「当たり前だよ。まあ、うちの伯父さん絡みか?」
高野「そういうことです」
高野君は民宿のエレベーターの鍵を取り出した。
高野君は高野君で、鍵を手に入れていたようだ。
高野「そしてこれが、私が地下室に潜入した時の動画です。これはお渡しできますよ?」
愛原「くれるってことは、これをデイライトに提出してもいいってことなんだな?」
高野「はい。まあ、あの女は顔中怒筋だらけにするでしょうねぇ……」
善場主任は高野君の事が嫌いらしい。
高野君はそれは十分知っていて、煽りたがる。
女のケンカか……。
まあいい。
愛原「その前に、動画を確認させてくれ」
高野「どうぞ」
愛原「因みに、報酬は?」
高野「ここの食事代を御馳走して下さったら、それで結構ですよ」
高野君は笑って答えた。
JR富士駅から新富士駅までは、路線バスで向かった。
地元のバス会社が運行しているもので、車種も中型バスが運用されていた。
行先は地元のイオンモールになっていたが、新富士駅にも止まるということなので、それに乗った次第。
愛原「ここまで来れば、もう安心だろう」
高橋「そうですね。ここで飯食いますか?」
愛原「そうだな。そうしよう」
この駅でも駅弁は売っているようだが、行きが駅弁だったこともあり、帰りはここで食べてからにすることにした。
その前に……。
愛原「リサに土産を買って行ってやろう。約束だからな」
高橋「あー、そういえば何かありましたね……」
愛原「お前はパールにでも買って行ってあげたら?」
高橋「そうします」
私達は駅構内の土産物店に立ち寄った。
駅弁もここで買えるようだ。
やはりリサへの土産と言ったら、食べ物だろうな。
肉系統はおつまみのビーフジャーキーくらいしか無いので、お菓子系を買うことになるか。
愛原「パールへの土産は酒かい」
高橋「あいつ、ああ見えて飲むんスよ」
愛原「だろうな」
私はリサへのお土産に、富士山サブレーを購入した。
鋭い歯でバリボリ咀嚼するリサの姿が思い浮かんだからだ。
高橋はやはり酒にしたらしい。
まあ、好き好きである。
この後は、キップ売り場に向かった。
自動券売機で、東京までの自由席のキップを2枚購入する。
何の成果も上げられずに帰京するのだから、贅沢はできなかった。
それから駅ビルに向かう。
愛原「せっかくだから、居酒屋系に行きたいな」
高橋「いいっスね」
飲食店が主に入居している2階建ての駅ビルだった。
階段で2階に上がり、飲食店に入る。
そこそこ賑わっていて、私と高橋はカウンター席に横並びに座った。
愛原「取りあえず、ビールでいいか?」
高橋「そうっスね」
それから焼き物や揚げ物などを適当に注文する。
それで高橋と抜きつ差しつしていると……。
高野芽衣子「お隣、宜しいですか?」
私の隣に、女性が座って来た。
愛原「どうぞ……って、あれ!?」
そこにいたのは……。
愛原「高野君!?」
高橋「アネゴ!?」
私達がビックリしている中、高野君は何食わぬ顔でビールを注文した。
愛原「い……生きてたのか、キミ……」
高野「逆に聞きますが、あの程度で死ぬとでも?」
高橋「まあ、フツーの人間なら死んでるな」
愛原「キミは普通の人間じゃない。だから、ヘリの墜落くらいじゃ死なない」
高野「その通りです。それより、今回は大変でしたね」
愛原「知ってるんかい」
高野「先に注文しちゃいましたけど、御馳走になっても?」
愛原「ああ、いいよいいよ。再会の記念だ」
高野「ありがとうございます」
愛原「それより、どうして俺達が骨折り損のくたびれ儲けだったと知ってるんだ?」
高野「私達が先客でしたからね」
愛原「先客?……ああ、先に富士宮市に来ていたということか?」
高野「もちろんそうです。あの民宿は、富士宮市にありますからね。……焼き鳥の盛り合わせ、いいですか?」
愛原「いいよ」
高野君は運ばれてきたビールのジョッキを手に取った後、今度は焼き鳥を頼んだ。
高橋「もしかしてアネゴ、あの民宿に泊まってたのか?」
高野「さすがはマサね」
愛原「……俺達より先に?」
高野「はい!」
愛原「……ま、まさか、ガスボンベを爆発させたのは……」
高野「もちろん、私達じゃないですよ。でも、『じゃあ誰が?』って聞かれても困るんですが……」
愛原「高野君は、あのガス爆発は、伯母さん……女将さんの過失じゃないと言いたいのかい?」
高野「直接は見ていませんから何とも言えませんけど、私は疑うつもりは無いですね。何せ、仲間の話ですと、ボンベそのものが直接爆発したそうなので」
愛原「ボンベそのものが!?」
高野「はい。仲間のヘリが上空で見守っていたんですけど、爆発したのが建物外だったんですよ。これがその証拠映像です」
高野君はタブレットを取り出した。
その動画は、上空を飛ぶヘリから撮影されたものだった。
一際大きな建物は、民宿さのやだとすぐに分かる。
そして、爆発の瞬間を私は見た。
確かに建物の中からではなく、外側が爆発したように見える。
建物の間取りからして……。
愛原「確かに、ここにプロパンガスのボンベがあったかもしれない……」
高野「そして、これを見てください」
高野君は爆発する直前まで巻き戻した。
豆粒のような小さな物だが、人だというのが分かる。
その人らしき物が民宿の裏から走って来ると、民宿の駐車場に止めてあった軽トラに乗り込み、走り去って行った。
その直後、大爆発を起こす。
高野「何か怪しいと思いません?まるで、ガスボンベに細工をしていったかのようですね」
愛原「た、確かに!誰なんだ、こいつは!?」
高野「分かりません。私達の組織でも追うことにしてるんですけどね」
愛原「でも、そうだとしたら、伯母さんの潔白が証明される!今、伯母さんは失火の疑いで警察に拘束されてるんだ!」
高野「それはお気の毒ですね。でも、この動画は差し上げられませんわ」
愛原「な、何故だ!?」
高野「さすがに、国家機関から敵視されている組織たる私達の動画を提出したりしたら、先生のお立場が悪くなりますよ?」
愛原「し、しかし……」
高野「それに、御心配には及びません。犯人を捕まえられるかどうかは分かりませんが、先生の伯母さんの容疑は近いうちに晴らされると思います」
愛原「どういうことだ?」
高野「動画の続きを御覧ください」
因みに音声はミュートになっている。
怪しい軽トラが走り去った後、どうも慌てていたのか、対向車と接触する瞬間が映し出されていた。
しかし、軽トラは当て逃げしてしまう。
当て逃げされた車の運転手が降りた瞬間、民宿が大爆発を起こした。
高野「もしもこの車の運転手が警察に証言する際、間違いなく民宿から出て来たと証言するでしょう。この車の位置から民宿は見えますから」
愛原「確かに……」
民宿の前の県道は直線になっていて、道は狭いものの、見通しは悪くない。
怪しい軽トラが接触事故を起こした場所は、正にそんな直線区間に入った所であり、民宿の駐車場は陰になっている為、そこから軽トラがいきなり出て来たのなら、確かに当て逃げされた方は、『相手の車は民宿の駐車場から出て来た』と証言するだろう。
伯母さんはスーパーへの買い物は車で行くから、駐車場には連泊する宿泊客の車以外は止まっていないはずなのだ。
愛原「それで、高野君は俺達より先に民宿に泊まって、何をしていたんだ?」
高野「フフッ。気になりますよね?」
愛原「当たり前だよ。まあ、うちの伯父さん絡みか?」
高野「そういうことです」
高野君は民宿のエレベーターの鍵を取り出した。
高野君は高野君で、鍵を手に入れていたようだ。
高野「そしてこれが、私が地下室に潜入した時の動画です。これはお渡しできますよ?」
愛原「くれるってことは、これをデイライトに提出してもいいってことなんだな?」
高野「はい。まあ、あの女は顔中怒筋だらけにするでしょうねぇ……」
善場主任は高野君の事が嫌いらしい。
高野君はそれは十分知っていて、煽りたがる。
女のケンカか……。
まあいい。
愛原「その前に、動画を確認させてくれ」
高野「どうぞ」
愛原「因みに、報酬は?」
高野「ここの食事代を御馳走して下さったら、それで結構ですよ」
高野君は笑って答えた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます