報恩坊の怪しい偽作家!

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“アンドロイドマスターⅡ” 「きっと終わりは大団円」

2019-05-14 19:17:04 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月5日15:00.天候:晴 宮城県宮城郡利府町 セキスイハイムスーパーアリーナ]

 敷島:「皆、開場したぞ!お客さん、わんさか来てる!」
 鏡音リン:「おお〜!気合い入るねぇ!」
 アリス:「取りあえず整備は完璧だわ。皆、思う存分歌って来なさい」
 初音ミク:「はい!」

 敷島は控え室の片隅に立つエミリーに聞いた。

 敷島:「どうだ?爆弾の方は……」
 エミリー:「今のところは発見できておりません」
 敷島:「そうか。このまま何も無ければいいんだが、さすがにそういうわけにはいかないだろう。引き続き、警戒してくれ」
 エミリー:「かしこまりました」

 敷島は控え室を出ると、廊下を進んだ。

 セキュリティロボット:「IDガ確認デキナイ場合、不審者ト見ナシマス」
 敷島:「お前は“探偵”側のロボットだろうが!」

 と、そこへ敷島のスマホが鳴る。

 敷島:「はい、もしもし?」
 鷲田:「私だ!ボケは要らんぞ!」
 敷島:「どうしたんです、そんなに慌てて?爆弾はまだ見つかってませんよ?」
 鷲田:「それもそのはず!見つけたのは我々だからだ!」
 敷島:「おおっ、さすが鷲田警視!で、どこにあったんです?」
 鷲田:「新幹線の中だ!」
 敷島:「は!?」
 鷲田:「新幹線の中に爆弾があるんだ!」
 敷島:「その新幹線は今どこを走ってるんです!?」
 鷲田:「白石蔵王~仙台間で止まってる!ジャックしやがった!ロボットのヤツが!」
 敷島:「はあ!?」

 敷島は急いで控え室に戻った。

 敷島:「エミリー、シンディ!直ちに出撃だ!」
 アリス:「何かあったの!?」
 敷島:「新幹線が襲われないなんて、とんでもないフェイントだった!今、襲われてる!」
 平賀:「何ですって!?」
 エミリー:「私のレーダーに、そんなイレギュラー起こしてるヤツなんていませんけど?」

 だが、シンディの方が異変に気づいた。

 シンディ:「! 姉さん、トンネルの中!あそこはレーダーが届かない!」
 エミリー:「あっ!」
 シンディ:「だから私達、『なるべく地下やトンネルには入るな』って命令出してたじゃない!」
 敷島:「直ちに出撃するぞ!エミリー、俺を背中に乗せろ!」
 平賀:「いやいや、敷島さん!南里研究所時代じゃあるまいし!そんな危険なことはやめてください!DCJに行って、ヘリ出してもらいますから!」
 敷島:「いや、そんなヒマ無いです!」
 エミリー:「すぐに離陸しますので、早く外に!」
 シンディ:「私も行くわ!」

 敷島とマルチタイプ2機が急いで部屋を出て行った。

 KAITO:「博士!ライブの方は?」
 平賀:「ライブは予定通り行う。お前達は何も心配せず、自分のプログラム通りに動いてくれ」
 アリス:「逆を言えば、爆弾がここで爆発することは無いってことだからね」
 平賀:「新幹線で何があったんだ!?」

[同日15:30.天候:晴 宮城県白石市郊外 東北新幹線某トンネル]

 トンネルの前後は警察隊によって封鎖されていた。

 敷島:「さすがマルチタイプの超小型ジェットエンジンは速いな!」
 エミリー:「ですが、ここで燃料が切れてしまいました。帰りは別の手段を使いませんと」
 敷島:「新幹線でもヒッチハイクするよ」

 敷島は警察隊に自分の身分を明かした。

 敷島:「……というわけで、うちのマルチタイプで対応しますよ」
 機動隊員:「危険ですよ。相手はロボットで、しかも爆弾を抱えているんです」
 敷島:「そのロボットにはAIが搭載されているんでしょう?エミリーは最高位機種だから、コイツに命令させて投降させますよ」
 シンディ:「取りあえず、私が入ってみます」
 敷島:「ああ、頼む」
 機動隊員:「ちょっと!勝手に……!」
 敷島:「いいから任せてくださいって。相手はどんなロボットなんです?」
 機動隊員:「乗務員の話では、メイドロイドだと……」
 敷島:「あー、だったら大丈夫。こいつらの命令ですぐ投降させます。今度はトンネルの中でもすぐに異常を検知するよう、レーダーの性能を向上してもらわないといけませんな」

 シンディがトンネルに入ってしばらく進むと、そこにはE5系車両が停車していた。

 シンディ:「フム。車両の方は無事みたいね」

 で、シンディ、すぐにメイドロイドの位置を特定する。
 しかし、どうしてもその個体の異常が検知できない。

 シンディ:「私の方も故障かしら?」

 一応、シンディはメイドロイドと交信を行った。

 シンディ:(こちらMT3、シンディ・サード。車内にいるメイドロイドは個体番号、管理番号、所有者コード、全て発信するように。応じない場合……こちらから自壊装置を遠隔起動させる)

 そう、マルチタイプにはその権限がある。

 メイドロイド:「個体番号は○○○○-××××、管理番号はM457-△△△、所有者コードは……」
 シンディ:(素直に返してきたね。ん?暴走してるわけじゃないの?何してるの、あなた?)
 メイドロイド:「爆弾テロを阻止しているところです。早く助けてください」
 シンディ:「え?え?え?あなたが起こしてるんじゃないの???」

 トンネルの外でシンディの交信を聞いていた敷島。

 敷島:「どういうこっちゃ?」
 機動隊員:「乗務員からは、確かにメイドロイドが爆弾を抱えているとの通報がありまして……」
 敷島:「エミリー、お前も突入しろ!」
 エミリー:「はい!」

 エミリーがトンネルに突入すると、既にシンディが車内に入っている最中だった。

 エミリー:「シンディ!」
 吉塚:「わーっ、放せ!この暴走ロボットめ!!」
 シンディ:「お黙りなさい!『メイドロイドを使った爆弾テロ』の実行犯と見なし、警察に引き渡します!」

 敷島:「あれ?シンディが爆弾テロ犯捕まえたぞ?」

 敷島がそう言うと、機動隊もトンネルの中へと入って行った。

[同日16:00.天候:晴 トンネルの外]

 敷島:「あんたが吉塚博士のお孫さん?何でこんなことを?」
 吉塚:「……ロボットを自由に使えるあんたに答えたくはないね」
 敷島:「吉塚家の呪われた家系ってか」
 吉塚:「ああ、そうだよ!クソババァがテロ組織にさえいなかったら、こんなことにはならなかったんだ!」
 敷島:「取りあえず、豚箱出たら婆さんの墓石でも蹴飛ばしてやんな。大石寺の……何とかって所にあるらしいから」
 吉塚:「知ってるよ!」

 吉塚という男は警察に連行されていった。

 メイドロイド:「私は……お役に立てましたでしょうか?」
 シンディ:「ああ……うん。今度はマルチタイプにでも改造してもらいな」
 敷島:「勝手に改造すんな!」
 エミリー:「社長、爆弾は取りあえず取り外しました」
 敷島:「『取りあえず』で爆弾取り外せるマルチタイプも大概な過剰性能だと思う」
 エミリー:「え?何ですか?」
 敷島:「何でもない。取りあえず、鷲田警視に表彰状3枚分発行してもらうように頼んでおこう」

 敷島はスマホを取り出した。

 エミリー:「社長の分は?」
 敷島:「俺は要らん。……あ、もしもし。鷲田警視ですか?敷島ですけど、東北新幹線で起きた爆弾テロ未遂事件のことで……はい」

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