[5月18日13:00.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区大成 鉄道博物館]
館内で主に新幹線の展示について楽しんだ稲生達は、昼時を外して昼食を取ることにした。
稲生:「ここにしますか」
それは本館2階にある“トレインレストラン日本食堂”。
実際に食堂車で売り出されていたメニューが特徴である。
窓際で通過する在来線列車を見ながら食事をするか、或いは食堂車を模した中央の席かを選べる。
混雑時は空いている席から案内されるので、基本的には選べない。
稲生達が案内されたのは、後者の席。
4人席と2人席があって、さすがにそれは前者を案内された。
で、そのテーブルの上にスタンドライトが置いてある。
これは実際に“北斗星”で使われていたものを持って来たらしい。
稲生:「何にします?」
マリア:「そうねぇ……えーと……」
ルーシー:「ビーフシチュー」
稲生:「おっ、いいですねぇ」
マリア:「私はデミグラスソースのハンバーグステーキで」
稲生:「なるほど。多分これ、どちらも“北斗星”のパブタイムで出されてたヤツですね」
しかし、さすがにディナータイムで出されていたメニューは無いようだ。
稲生:「じゃあ僕もマリアさんと同じヤツで。すいませーん!」
稲生は早速注文した。
ルーシー:(“ベタな日本人の法則”、他人と同じ物を注文する……)
マリア:(いや、多分勇太はビーフシチュー食べたかったんだろうなぁ……)
但し、ここでも上下関係が発生していることに留意。
後輩は先輩より高い物を食べるべからず。
では、後輩は先輩と同じ物を食べるのはOKなのかというと、それはケースバイケース。
上下関係の緩いイリーナ組ではOKである。
ここではルーシーが1番高い物を注文している。
ルーシーとマリアは同期生でどちらが先輩というわけでもないのだが、実年齢はマリアの方が若干年上で、入門のタイミングとしてはルーシーの方が若干早いという程度。
相殺してフラットということだ。
稲生:「食事の後はどうします?」
マリア:「まだ屋上とかを見ていない。そこからの眺めを見てからだな」
ルーシー:「あと、15時15分からSLの運転体験でしょ。おおかた勇太が機関士役でマリアンナが助士役だろうから、かま焚き頑張ってね」
マリア:「え゛……?」
稲生:「ここでしか体験できないことですからね、頑張りましょう」
ルーシー:「頑張ってね〜」
マリア:「ルーシーもやって!」
ルーシー:「私は新幹線に興味があるだけだから」
ルーシーがうそぶくと、稲生が言った。
稲生:「都内には地下鉄博物館もあるんですよ。そっちには興味無いですか?」
ルーシー:「わ、私は……」
ルーシーの手が震える。
マリア:「勇太、余計なこと言わない!」
稲生:「す、すいません」
ポーリン組のエレーナとリリアンヌは地下の暗闇を好むのに、全くルーシーは正反対のようだ。
マリアが教えてくれたが、ルーシーは幼少の頃から持ち前の強い魔力を制御することができず、暴走させてポルターガイスト現象を引き起こすのは当たり前であったという。
教会からは何度も悪魔祓いの勧告を受けたらしい。
ついには地下室に幽閉されることもあり、その時の恐怖体験がトラウマになっているのではないかとマリアは言った。
だが、マリアとて全て真実を語っているわけではないようだ。
ルーシーには、もっと別の秘密がある。
稲生:「は、話を変えましょう。イギリスにはこういった鉄道博物館は無いんですか?」
ルーシー:「あるよ」
マリア:「うん、あるな。私は行ったことないけど」
ルーシー:「私はヨークの鉄道博物館とロンドン交通博物館に行ったことがある」
稲生:「へえ!イギリス国立鉄道博物館と、この鉄道博物館は姉妹提携を結んでいるそうですよ」
ルーシー:「らしいね」
マリア:「それはルーシーのダディに連れられて?」
ルーシー:「そうね。特にヨークの鉄道博物館にはあの0系も展示されていて、だから私はあれを初めて見たのはヨークなの」
稲生:「そうか!確かに0系がイギリスで展示されているという話は聞いたことがあります!」
マリア:「ロンドン交通博物館はロンドンの地下鉄とかも展示品だろう?そういうのは大丈夫なの?」
ルーシー:「……多分、今はムリ……」
稲生:(地下鉄で何かあったのかな???)
稲生は鉄ヲタの知識から、日本人でも聞いたことのあるロンドン地下鉄に関するニュースを思い出した。
稲生:(まさかな……)
[同日15:15.天候:晴 鉄道博物館1F SL運転シミュレーター]
稲生:「第2閉塞、進行!……ほら、マリアさんも歓呼!」
マリア:「ええっ!?」
ルーシー:「Second section,clear!」
ルーシーが代わりに英語で歓呼する。
てか、イギリスの鉄道はそのような歓呼なのだろうか?
日本の鉄道はイギリスから取り入れた為、閉塞とかもイギリス式なのだろうが……。
稲生:「マリアさん、石炭くべて!」
マリア:「は、はい!」
魔道士の世界では先輩と後輩だが、ここでは逆転する。
機関士の方が立場が上で、助士は下なのである。
航空機でも機長が上で副操縦士が下なのと同じ。
因みに機関士の席は進行方向左側で助士は右側だが、航空機もそうである。
スタッフ:「それではこれを使ってください」
にこやかな女性スタッフに、スコップを渡されるマリア。
マリア:「石炭が重い!」
ルーシー:「ガチの石炭、これ?マリアンナ、あんまりスコップ一杯に盛っても重くてやりにくいだけよー?」
マリア:「じゃあ、アンタやってよ!」
稲生:「第1閉塞、進行!」
ほとんどスタッフの指導無しに運転している稲生。
ルーシー:「何であなたの後輩は普通に運転できるの?」
マリア:「知らないよ!」
スタッフ:「運転お上手ですね」
女性スタッフに褒められた稲生。
稲生:「そ、そうですか?えへへ……」(∀`*ゞ)
マリア:「」
ゴッ!(マリアのスコップが稲生の足に直撃)
稲生:「いでっ!」
マリア:「ちゃんと前見て運転して!」
稲生:「は、はい……」
良い子の皆は石炭投入用スコップで機関士役の人を叩かないでね。
館内で主に新幹線の展示について楽しんだ稲生達は、昼時を外して昼食を取ることにした。
稲生:「ここにしますか」
それは本館2階にある“トレインレストラン日本食堂”。
実際に食堂車で売り出されていたメニューが特徴である。
窓際で通過する在来線列車を見ながら食事をするか、或いは食堂車を模した中央の席かを選べる。
混雑時は空いている席から案内されるので、基本的には選べない。
稲生達が案内されたのは、後者の席。
4人席と2人席があって、さすがにそれは前者を案内された。
で、そのテーブルの上にスタンドライトが置いてある。
これは実際に“北斗星”で使われていたものを持って来たらしい。
稲生:「何にします?」
マリア:「そうねぇ……えーと……」
ルーシー:「ビーフシチュー」
稲生:「おっ、いいですねぇ」
マリア:「私はデミグラスソースのハンバーグステーキで」
稲生:「なるほど。多分これ、どちらも“北斗星”のパブタイムで出されてたヤツですね」
しかし、さすがにディナータイムで出されていたメニューは無いようだ。
稲生:「じゃあ僕もマリアさんと同じヤツで。すいませーん!」
稲生は早速注文した。
ルーシー:(“ベタな日本人の法則”、他人と同じ物を注文する……)
マリア:(いや、多分勇太はビーフシチュー食べたかったんだろうなぁ……)
但し、ここでも上下関係が発生していることに留意。
後輩は先輩より高い物を食べるべからず。
では、後輩は先輩と同じ物を食べるのはOKなのかというと、それはケースバイケース。
上下関係の緩いイリーナ組ではOKである。
ここではルーシーが1番高い物を注文している。
ルーシーとマリアは同期生でどちらが先輩というわけでもないのだが、実年齢はマリアの方が若干年上で、入門のタイミングとしてはルーシーの方が若干早いという程度。
相殺してフラットということだ。
稲生:「食事の後はどうします?」
マリア:「まだ屋上とかを見ていない。そこからの眺めを見てからだな」
ルーシー:「あと、15時15分からSLの運転体験でしょ。おおかた勇太が機関士役でマリアンナが助士役だろうから、かま焚き頑張ってね」
マリア:「え゛……?」
稲生:「ここでしか体験できないことですからね、頑張りましょう」
ルーシー:「頑張ってね〜」
マリア:「ルーシーもやって!」
ルーシー:「私は新幹線に興味があるだけだから」
ルーシーがうそぶくと、稲生が言った。
稲生:「都内には地下鉄博物館もあるんですよ。そっちには興味無いですか?」
ルーシー:「わ、私は……」
ルーシーの手が震える。
マリア:「勇太、余計なこと言わない!」
稲生:「す、すいません」
ポーリン組のエレーナとリリアンヌは地下の暗闇を好むのに、全くルーシーは正反対のようだ。
マリアが教えてくれたが、ルーシーは幼少の頃から持ち前の強い魔力を制御することができず、暴走させてポルターガイスト現象を引き起こすのは当たり前であったという。
教会からは何度も悪魔祓いの勧告を受けたらしい。
ついには地下室に幽閉されることもあり、その時の恐怖体験がトラウマになっているのではないかとマリアは言った。
だが、マリアとて全て真実を語っているわけではないようだ。
ルーシーには、もっと別の秘密がある。
稲生:「は、話を変えましょう。イギリスにはこういった鉄道博物館は無いんですか?」
ルーシー:「あるよ」
マリア:「うん、あるな。私は行ったことないけど」
ルーシー:「私はヨークの鉄道博物館とロンドン交通博物館に行ったことがある」
稲生:「へえ!イギリス国立鉄道博物館と、この鉄道博物館は姉妹提携を結んでいるそうですよ」
ルーシー:「らしいね」
マリア:「それはルーシーのダディに連れられて?」
ルーシー:「そうね。特にヨークの鉄道博物館にはあの0系も展示されていて、だから私はあれを初めて見たのはヨークなの」
稲生:「そうか!確かに0系がイギリスで展示されているという話は聞いたことがあります!」
マリア:「ロンドン交通博物館はロンドンの地下鉄とかも展示品だろう?そういうのは大丈夫なの?」
ルーシー:「……多分、今はムリ……」
稲生:(地下鉄で何かあったのかな???)
稲生は鉄ヲタの知識から、日本人でも聞いたことのあるロンドン地下鉄に関するニュースを思い出した。
稲生:(まさかな……)
[同日15:15.天候:晴 鉄道博物館1F SL運転シミュレーター]
稲生:「第2閉塞、進行!……ほら、マリアさんも歓呼!」
マリア:「ええっ!?」
ルーシー:「Second section,clear!」
ルーシーが代わりに英語で歓呼する。
てか、イギリスの鉄道はそのような歓呼なのだろうか?
日本の鉄道はイギリスから取り入れた為、閉塞とかもイギリス式なのだろうが……。
稲生:「マリアさん、石炭くべて!」
マリア:「は、はい!」
魔道士の世界では先輩と後輩だが、ここでは逆転する。
機関士の方が立場が上で、助士は下なのである。
航空機でも機長が上で副操縦士が下なのと同じ。
因みに機関士の席は進行方向左側で助士は右側だが、航空機もそうである。
スタッフ:「それではこれを使ってください」
にこやかな女性スタッフに、スコップを渡されるマリア。
マリア:「石炭が重い!」
ルーシー:「ガチの石炭、これ?マリアンナ、あんまりスコップ一杯に盛っても重くてやりにくいだけよー?」
マリア:「じゃあ、アンタやってよ!」
稲生:「第1閉塞、進行!」
ほとんどスタッフの指導無しに運転している稲生。
ルーシー:「何であなたの後輩は普通に運転できるの?」
マリア:「知らないよ!」
スタッフ:「運転お上手ですね」
女性スタッフに褒められた稲生。
稲生:「そ、そうですか?えへへ……」(∀`*ゞ)
マリア:「」
ゴッ!(マリアのスコップが稲生の足に直撃)
稲生:「いでっ!」
マリア:「ちゃんと前見て運転して!」
稲生:「は、はい……」
良い子の皆は石炭投入用スコップで機関士役の人を叩かないでね。
イリーナ:「うぃ〜っス!ルゥ・ラ使うの勿体無いからヒッチハイクで戻ってきたよ〜」
稲生:「そんなものに乗って来ないでください!」
マリア:(何考えてんだ、このBBA……)
助士役は踏切や橋梁手前で汽笛を鳴らしたり、石炭をくべたりします。
尚、石炭をくべるタイミングはスタッフが教えてくれます。
今の電車の何と運転のしやすいこと!