[8月29日01:00.天候:晴 埼玉県さいたま市上空]
エレーナはホウキに跨り、空を飛んでいた。
ただ単に夜の散歩ではなく、後輩のリリアンヌの指導である。
リリアンヌ:「フヒーッ!エレーナせんぱーい!わらひ、随分……上手く飛べてるですよねぇ!?」
エレーナ:「おう、その調子だ!」
リリアンヌ:「そそそ、それにしても……かかか、風が……風が物凄く……強いです!」
エレーナ:「アナスタシア組の誰か……多分、アホアンナのせいだと思うけど、台風明日直撃だからなぁ!」
リリアンヌ:「明日も飛ぶですか!?」
エレーナ:「アホか!さすがに死にたくないよ!……はい、ここでターン!」
リリアンヌ:「フヒッ!?はーい!」
エレーナは華麗にUターンしたが、リリアンヌは大回り。
エレーナ:「まだまだだな」
リリアンヌ:「ご、ごごごめんなさい……」
エレーナ:「今度は宙返りしてもらうから」
リリアンヌ:「フヒーッ!?」
エレーナ:「それとも背面飛行するか?」
リリアンヌ:「フヒーッ!?」
エレーナ:「冗談だよ。さっさと帰ろう」
するとホウキの先端に陣取っていた使い魔の黒猫、クロがエレーナの所にやってきた。
クロ:「エレーニャ。ニャニャニャニャ……」
エレーナの耳元までやってきて、何やら伝える。
エレーナ:「ほお……。リリィ!」
リリアンヌ:「はい!?」
エレーナ:「ちょっと私、寄る所あるから後で帰る。先に帰ってて。もう寝てていいから」
リリアンヌ:「は、はいーっ!そそ、それじゃお先に失礼しますです」
リリアンヌはそのまま南下していった。
尚、エレーナもリリアンヌもゴーグルを着けてGPSを所持している辺りが何とも現実的である。
エレーナは後輩を見送ると、スーッと降下していった。
エレーナ:「本当にこの近くで悪魔召喚の儀式が?」
クロ:「そうニャ」
エレーナ:「うちの門内、悪魔を新規に呼び出す場合は事前通達をすることになってるよね?それが無いってことは……」
クロ:「無断呼び出しニャ」
エレーナ:「よし。いいネタ発見!行くぞ!」
エレーナは現場へと向かった。
が!
エレーナ:「うわっ!?」
突然空間に現れた大きな魔法陣に取り込まれてしまった。
エレーナ:「おい、マジかよ!?」
[同日02:00.天候:曇 埼玉県さいたま市中央区 さいたま中央高校]
体育館裏の地面に魔法陣を描き、その前に佇む女子生徒6人。
そのうち1人は魔道書を持ち、眼鏡を掛けている。
女子A:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり。……はい、皆も一緒に続いて」
女子B:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
女子C:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
女子D:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
女子E:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
女子F:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
すると、魔法陣が青色に光り出した。
女子B:「うそ、マジで!?」
女子C:「さすが麻子!本当に光り出した!」
麻子:「やめないで!悪魔が出て来るまで呪文を唱え続けないと!」
女子D:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
女子E:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
更に光は強くなり、そしてそこから現れた。
エレーナ:「あたしゃ“悪魔くん”か!」
女子F:「きゃーっ!」
女子D:「ほ、ホントに出てきた!」
女子B:「これが悪魔?」
エレーナ:「あぁ!?」
エレーナはホウキから降り立った。
そして、ぐるりと見渡す。
女子E:「どっちかって言うと、魔女じゃない?」
エレーナ:「オマエらなぁ!ド素人のくせに悪魔呼び出してんじゃねぇよ!てか、本来私、魔女でもないんだぞ!」
ただ単にダンテ門内での定義(人間時代に性暴力被害の経験があった者が“魔女”)なので、それを外に出されても困る。
麻子:「あの……悪魔ですか?魔女ですか?」
エレーナ:「魔道師だよ!てか、何やってんだ、オマエら!?」
女子C:「何か、悪魔じゃないみたいだね」
女子E:「魔女さんですか?」
エレーナ:「ああ!百歩譲って魔女でいいよ!なに?悪魔に何か用だったの?」
麻子:「あ、あの……。私、占いとかの研究を趣味にしている者なんですけど……。今度、力試しで悪魔を召喚してみようかなぁーって……」
エレーナ:「それで魔道師呼び出した時点で失敗だね。じゃな!用が無いなら帰るぞ!」
エレーナは女子高生達の遊びに付き合わされたと知り、憤慨した様子でホウキに跨った。
ところが、後ろからポンと肩を叩かれた。
エレーナ:「あ?」
マモン:「まあ、待ちたまえ。そんなに悪魔を御指名なら、私が話を聞いてやろうじゃないか」
エレーナの契約悪魔、キリスト教における七つの大罪の悪魔、強欲(主に金銭欲)を司るマモンが現れた。
エレーナ:「あんまり勝手なことするなよ」
マモン:「分かっている」
麻子:「あの、その人は……?」
エレーナ:「私の契約悪魔でマモンって言うんだ」
女子B:「普通のリーマンのオッサンじゃね?」
エレーナ:「皆が皆、黒いローブ羽織って、フードを被って、ガイコツ顔して、大きな鎌を持ってるわけじゃないんだぞ」
クロ:「エレーナ、それ死神」
エレーナ:「ん?」
マモン:「あいにくと私の契約者はここにいる魔道師ただ1人。だが、せっかくの御指名だ。私の力をお見せしようではないか。どうだろう?1つゲームをしないか?それに勝ったら、何でも望みを1つだけ叶えてあげよう」
エレーナ:「あー、マジであれやるの?」
マモン:「たまにはやらせてくれよ。いかがかな?」
麻子:「どんなことをするの?」
マモン:「簡単なゲームさ。お互いにサイコロを振る。そして、出た目の数が多い方が勝ちだ。いたってシンプルだろう?」
麻子:「本当にどんな願いも叶えてくれるの?」
マモン:「もちろんさ。但し、負けたら私も1つ望みを言わせてもらおう」
女子B:「私、やってみる」
女子C:「じゃあ、私も」
我も我もと女子生徒達はマモンのゲームに参加する意思を見せてしまった。
マモン:「それでは……」
マモンは上着のポケットからサイコロを……出す前に、紙を出した。
マモン:「この同意書にサインを……」
女子B:「きっちりしてるね」
エレーナ:(あーあ。オワタな、こいつら……。ロクに悪魔の契約書を読みもしないで……)
女子生徒達は悪魔の契約書にサインをしてしまった。
マモン:「それではキミ達はサイコロを1個、5回ずつ振ってもらおう」
麻子:「えっ、5回も振っていいの?」
マモン:「もちろん。ここにそう書いてある。そして私は1回だけだ」
女子B:「マジ!?それ、超ラクショーなんですけど!」
エレーナ:(バーカ……)
マモン:「順番は自由だ。誰からやるかな?」
女子B:「じゃ、アタシから!」
マモン:「よし。じゃ、先に5回振りたまえ」
Bはサイコロを5回振った。
あいにくと1とか2とかも出たが、5や6も出た。
マモン:「ふむ。こんなものか。エレーナ、悪いが記録係を」
エレーナ:「はいはい。もうやってますよ」
マモン:「じゃ、次の人どうぞ」
マモンは次々と女子生徒達にサイコロを振らせる。
そして、次はマモンの番になった。
マモン:「それでは私は1回だけ振るぞ」
マモンは懐の中から別にサイコロを取り出した。
それはどんなものだったと思う?
1:普通のサイコロ1個
2:普通のサイコロ10個
3:正二十面体のサイコロ1個
4:普通のサイコロだが10から60まで
5:想像もつかない。
エレーナはホウキに跨り、空を飛んでいた。
ただ単に夜の散歩ではなく、後輩のリリアンヌの指導である。
リリアンヌ:「フヒーッ!エレーナせんぱーい!わらひ、随分……上手く飛べてるですよねぇ!?」
エレーナ:「おう、その調子だ!」
リリアンヌ:「そそそ、それにしても……かかか、風が……風が物凄く……強いです!」
エレーナ:「アナスタシア組の誰か……多分、アホアンナのせいだと思うけど、台風明日直撃だからなぁ!」
リリアンヌ:「明日も飛ぶですか!?」
エレーナ:「アホか!さすがに死にたくないよ!……はい、ここでターン!」
リリアンヌ:「フヒッ!?はーい!」
エレーナは華麗にUターンしたが、リリアンヌは大回り。
エレーナ:「まだまだだな」
リリアンヌ:「ご、ごごごめんなさい……」
エレーナ:「今度は宙返りしてもらうから」
リリアンヌ:「フヒーッ!?」
エレーナ:「それとも背面飛行するか?」
リリアンヌ:「フヒーッ!?」
エレーナ:「冗談だよ。さっさと帰ろう」
するとホウキの先端に陣取っていた使い魔の黒猫、クロがエレーナの所にやってきた。
クロ:「エレーニャ。ニャニャニャニャ……」
エレーナの耳元までやってきて、何やら伝える。
エレーナ:「ほお……。リリィ!」
リリアンヌ:「はい!?」
エレーナ:「ちょっと私、寄る所あるから後で帰る。先に帰ってて。もう寝てていいから」
リリアンヌ:「は、はいーっ!そそ、それじゃお先に失礼しますです」
リリアンヌはそのまま南下していった。
尚、エレーナもリリアンヌもゴーグルを着けてGPSを所持している辺りが何とも現実的である。
エレーナは後輩を見送ると、スーッと降下していった。
エレーナ:「本当にこの近くで悪魔召喚の儀式が?」
クロ:「そうニャ」
エレーナ:「うちの門内、悪魔を新規に呼び出す場合は事前通達をすることになってるよね?それが無いってことは……」
クロ:「無断呼び出しニャ」
エレーナ:「よし。いいネタ発見!行くぞ!」
エレーナは現場へと向かった。
が!
エレーナ:「うわっ!?」
突然空間に現れた大きな魔法陣に取り込まれてしまった。
エレーナ:「おい、マジかよ!?」
[同日02:00.天候:曇 埼玉県さいたま市中央区 さいたま中央高校]
体育館裏の地面に魔法陣を描き、その前に佇む女子生徒6人。
そのうち1人は魔道書を持ち、眼鏡を掛けている。
女子A:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり。……はい、皆も一緒に続いて」
女子B:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
女子C:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
女子D:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
女子E:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
女子F:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
すると、魔法陣が青色に光り出した。
女子B:「うそ、マジで!?」
女子C:「さすが麻子!本当に光り出した!」
麻子:「やめないで!悪魔が出て来るまで呪文を唱え続けないと!」
女子D:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
女子E:「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め、訴えたり」
更に光は強くなり、そしてそこから現れた。
エレーナ:「あたしゃ“悪魔くん”か!」
女子F:「きゃーっ!」
女子D:「ほ、ホントに出てきた!」
女子B:「これが悪魔?」
エレーナ:「あぁ!?」
エレーナはホウキから降り立った。
そして、ぐるりと見渡す。
女子E:「どっちかって言うと、魔女じゃない?」
エレーナ:「オマエらなぁ!ド素人のくせに悪魔呼び出してんじゃねぇよ!てか、本来私、魔女でもないんだぞ!」
ただ単にダンテ門内での定義(人間時代に性暴力被害の経験があった者が“魔女”)なので、それを外に出されても困る。
麻子:「あの……悪魔ですか?魔女ですか?」
エレーナ:「魔道師だよ!てか、何やってんだ、オマエら!?」
女子C:「何か、悪魔じゃないみたいだね」
女子E:「魔女さんですか?」
エレーナ:「ああ!百歩譲って魔女でいいよ!なに?悪魔に何か用だったの?」
麻子:「あ、あの……。私、占いとかの研究を趣味にしている者なんですけど……。今度、力試しで悪魔を召喚してみようかなぁーって……」
エレーナ:「それで魔道師呼び出した時点で失敗だね。じゃな!用が無いなら帰るぞ!」
エレーナは女子高生達の遊びに付き合わされたと知り、憤慨した様子でホウキに跨った。
ところが、後ろからポンと肩を叩かれた。
エレーナ:「あ?」
マモン:「まあ、待ちたまえ。そんなに悪魔を御指名なら、私が話を聞いてやろうじゃないか」
エレーナの契約悪魔、キリスト教における七つの大罪の悪魔、強欲(主に金銭欲)を司るマモンが現れた。
エレーナ:「あんまり勝手なことするなよ」
マモン:「分かっている」
麻子:「あの、その人は……?」
エレーナ:「私の契約悪魔でマモンって言うんだ」
女子B:「普通のリーマンのオッサンじゃね?」
エレーナ:「皆が皆、黒いローブ羽織って、フードを被って、ガイコツ顔して、大きな鎌を持ってるわけじゃないんだぞ」
クロ:「エレーナ、それ死神」
エレーナ:「ん?」
マモン:「あいにくと私の契約者はここにいる魔道師ただ1人。だが、せっかくの御指名だ。私の力をお見せしようではないか。どうだろう?1つゲームをしないか?それに勝ったら、何でも望みを1つだけ叶えてあげよう」
エレーナ:「あー、マジであれやるの?」
マモン:「たまにはやらせてくれよ。いかがかな?」
麻子:「どんなことをするの?」
マモン:「簡単なゲームさ。お互いにサイコロを振る。そして、出た目の数が多い方が勝ちだ。いたってシンプルだろう?」
麻子:「本当にどんな願いも叶えてくれるの?」
マモン:「もちろんさ。但し、負けたら私も1つ望みを言わせてもらおう」
女子B:「私、やってみる」
女子C:「じゃあ、私も」
我も我もと女子生徒達はマモンのゲームに参加する意思を見せてしまった。
マモン:「それでは……」
マモンは上着のポケットからサイコロを……出す前に、紙を出した。
マモン:「この同意書にサインを……」
女子B:「きっちりしてるね」
エレーナ:(あーあ。オワタな、こいつら……。ロクに悪魔の契約書を読みもしないで……)
女子生徒達は悪魔の契約書にサインをしてしまった。
マモン:「それではキミ達はサイコロを1個、5回ずつ振ってもらおう」
麻子:「えっ、5回も振っていいの?」
マモン:「もちろん。ここにそう書いてある。そして私は1回だけだ」
女子B:「マジ!?それ、超ラクショーなんですけど!」
エレーナ:(バーカ……)
マモン:「順番は自由だ。誰からやるかな?」
女子B:「じゃ、アタシから!」
マモン:「よし。じゃ、先に5回振りたまえ」
Bはサイコロを5回振った。
あいにくと1とか2とかも出たが、5や6も出た。
マモン:「ふむ。こんなものか。エレーナ、悪いが記録係を」
エレーナ:「はいはい。もうやってますよ」
マモン:「じゃ、次の人どうぞ」
マモンは次々と女子生徒達にサイコロを振らせる。
そして、次はマモンの番になった。
マモン:「それでは私は1回だけ振るぞ」
マモンは懐の中から別にサイコロを取り出した。
それはどんなものだったと思う?
1:普通のサイコロ1個
2:普通のサイコロ10個
3:正二十面体のサイコロ1個
4:普通のサイコロだが10から60まで
5:想像もつかない。
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