[6月3日20時00分 天候:晴 東京都江東区木場三丁目 警視庁深川警察署]
ようやっと事情聴取が終わった頃には、とっくに夜になっていた。
結構疑い深く聞かれたが、私はとにかく、高橋と“コネクション”の関係は知らぬ存ぜぬを貫いた。
実際そうなのだから、仕方が無い。
安藤刑事「なるべく、いつでも連絡が取れるようにしてください」
愛原「いいですよ。月曜日にまたお邪魔しますから」
安藤刑事「月曜日?」
愛原「ここに収容されている高橋に、面会に伺います」
安藤刑事「そういうことですか。火曜日には拘置所に移送される予定ですから、ちょうど良いタイミングですね」
愛原「あれ?案外早いですね?」
安藤刑事「まあ、色々と……」
外で待っていた善場係長が、そっち耳打ちした。
善場「タイムリミットが来たということですよ」
愛原「ああ、なるほど……」
そこで私から新たな情報が聞き出せないか、上手く行けば私の容疑を固められないかと考えていたようだが、そうは問屋が卸さないってもんだ。
善場「それでは、この人は今度はこちらで面倒看るということで宜しいですね?」
安藤刑事「協力はお願いしますよ」
善場係長と安藤刑事の間に火花が飛び散っているように見えたのは、仲の悪い公安調査庁と公安警察だからだろうか。
警察署の外に出て、車に乗り込む。
善場「とんだことに巻き込まれてしまって、申し訳ありません」
愛原「いえいえ、こちらこそ!こんな時間まで面倒看て頂いちゃって……」
善場「警視庁の方には、『話と違う』と抗議しておきますから」
愛原「は、はあ……」
これは公務員同士のメンツの話だろうから、私はヘタに発言しない方がいいだろう。
愛原「前向きに考えれば、月曜日は高橋の面会時間に充てることができるというわけです」
善場「それはそうですね。それでは、所長の御自宅まで向かいます」
愛原「ありがとうございます。パールが心配しているでしょうね」
善場「霧崎さんには、私から連絡を入れておきました。まあ、所長が警察で事情を聴かれてることを話したら驚いていたようでしたが……」
愛原「逮捕はされてないから安心して欲しいものです」
車が走り出し、私の自宅へ向かう。
ここから実は、車で5分くらいの近さである。
ただ、歩いて行こうとする20分くらいだから、ちょっとキツいかもしれない。
[同日20時10分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家]
無事に帰宅する。
パールが開けてくれたのか、ガレージのシャッターが開いていた。
車がバックで、1台分空いている駐車スペースに入った。
善場「お疲れさまでした」
愛原「ありがとうございました」
善場「明日は日曜日です。担当刑事も公休のようですし、面会も弁護士以外はできません。明日はゆっくり休んで、来週に備えてください」
愛原「ありがとうございます」
善場「リサの引き取りに関しては、火曜日以降としましょう」
愛原「火曜日ですか」
善場「はい。どうも静岡事務所の話によると、リサの解放手続きを勝手に進めているようです」
愛原「本当ですか……」
善場「向こうとしても、手に余る存在なのでしょうね。なるべくなら厄介払いしたいと」
愛原「あはは……」
そりゃまあ、歩く生物兵器なのだから、気持ちは分からないでもない。
だけど、何かまるで自分が侮辱されたみたいで、モヤッとなった。
善場「月曜日、書類をお持ちします。それを静岡事務所に送って、更に書類手続きが終われば、リサは解放されます」
愛原「色々と手続きが面倒なんですね」
善場「まあ、BOWですから」
愛原「それもそうか」
パール「先生!お帰りなさい!よく御無事で……」
エレベーターからパールが降りて来て、車の所までやってきた。
愛原「ああ、ただいま。心配掛けてすまなかった」
善場「それでは愛原所長、また後ほど……」
愛原「はい。本当にありがとうございました」
私は車を降り、荷物も降ろすと、リアドアを閉めた。
そして、車はガレージから出ると、そのまま公道を走り去って行った。
パール「先生、どうぞ、中へ。夕食の準備ができています」
愛原「ああ、ありがとう」
私は自分の荷物を持って、エレベーターに乗り込んだ。
パール「荷物の整理は後にして、先に御夕食から済ませてはいかがでしょう?」
愛原「そうだな。そうするよ」
確かに腹は減った。
どうせ明日は休みだ。
とはいえ、顧客や探偵業協会に、突然の休業に対するお詫びや経緯の説明をしなければならないだろう。
まずはメールを作成して送信するつもりだが、場合によっては、直接出向いて説明しに行かないといけないかも……。
[同日21時00分 天候:晴 同地区 愛原家3階・ダイニング]
私は遅い夕食を済ませると、パールが入れてくれた食後のコーヒーを口に運んだ。
愛原「明日は日曜日だから、まあ、家でゆっくり休ませてもらうよ。ただ、顧客の皆さんや探偵業協会へ連絡はしないといけないだろうがな」
そこにも表向きの理由である、『急性脳症により緊急手術をし、それでしばらく入院していた』ということになっている。
『何ぶん急なことなので連絡ができず、申し訳ありませんでした』といった感じのお詫びを添えればいいだろう。
愛原「それと月曜日、高橋の所へ面会に行こう」
パール「いいんですか!?」
愛原「ああ。俺とパール、2人で面会に行けば、高橋も喜ぶだろう」
パール「そうですね!きっと喜ぶと思います!」
愛原「火曜日には東京拘置所に移送されるそうだから、何とか間に合ったな」
もちろん、拘置所に移送されても、面会には行くつもりだが。
だが、小菅となると距離がやや遠くなるので、頻度は落ちるかもしれない。
その分、手紙のやり取りなどになりそうだな。
パール「先生……。先生のキャリーケースの中に、リサさんの下着が入ってたんですけど?」(;一_一)
愛原「そ、それはリサが勝手に入れたんだーっ!」(;゚Д゚)
そ、そういえばリサの下着で、まだ洗ってない一組があるんだった!
ようやっと事情聴取が終わった頃には、とっくに夜になっていた。
結構疑い深く聞かれたが、私はとにかく、高橋と“コネクション”の関係は知らぬ存ぜぬを貫いた。
実際そうなのだから、仕方が無い。
安藤刑事「なるべく、いつでも連絡が取れるようにしてください」
愛原「いいですよ。月曜日にまたお邪魔しますから」
安藤刑事「月曜日?」
愛原「ここに収容されている高橋に、面会に伺います」
安藤刑事「そういうことですか。火曜日には拘置所に移送される予定ですから、ちょうど良いタイミングですね」
愛原「あれ?案外早いですね?」
安藤刑事「まあ、色々と……」
外で待っていた善場係長が、そっち耳打ちした。
善場「タイムリミットが来たということですよ」
愛原「ああ、なるほど……」
そこで私から新たな情報が聞き出せないか、上手く行けば私の容疑を固められないかと考えていたようだが、そうは問屋が卸さないってもんだ。
善場「それでは、この人は今度はこちらで面倒看るということで宜しいですね?」
安藤刑事「協力はお願いしますよ」
善場係長と安藤刑事の間に火花が飛び散っているように見えたのは、仲の悪い公安調査庁と公安警察だからだろうか。
警察署の外に出て、車に乗り込む。
善場「とんだことに巻き込まれてしまって、申し訳ありません」
愛原「いえいえ、こちらこそ!こんな時間まで面倒看て頂いちゃって……」
善場「警視庁の方には、『話と違う』と抗議しておきますから」
愛原「は、はあ……」
これは公務員同士のメンツの話だろうから、私はヘタに発言しない方がいいだろう。
愛原「前向きに考えれば、月曜日は高橋の面会時間に充てることができるというわけです」
善場「それはそうですね。それでは、所長の御自宅まで向かいます」
愛原「ありがとうございます。パールが心配しているでしょうね」
善場「霧崎さんには、私から連絡を入れておきました。まあ、所長が警察で事情を聴かれてることを話したら驚いていたようでしたが……」
愛原「逮捕はされてないから安心して欲しいものです」
車が走り出し、私の自宅へ向かう。
ここから実は、車で5分くらいの近さである。
ただ、歩いて行こうとする20分くらいだから、ちょっとキツいかもしれない。
[同日20時10分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家]
無事に帰宅する。
パールが開けてくれたのか、ガレージのシャッターが開いていた。
車がバックで、1台分空いている駐車スペースに入った。
善場「お疲れさまでした」
愛原「ありがとうございました」
善場「明日は日曜日です。担当刑事も公休のようですし、面会も弁護士以外はできません。明日はゆっくり休んで、来週に備えてください」
愛原「ありがとうございます」
善場「リサの引き取りに関しては、火曜日以降としましょう」
愛原「火曜日ですか」
善場「はい。どうも静岡事務所の話によると、リサの解放手続きを勝手に進めているようです」
愛原「本当ですか……」
善場「向こうとしても、手に余る存在なのでしょうね。なるべくなら厄介払いしたいと」
愛原「あはは……」
そりゃまあ、歩く生物兵器なのだから、気持ちは分からないでもない。
だけど、何かまるで自分が侮辱されたみたいで、モヤッとなった。
善場「月曜日、書類をお持ちします。それを静岡事務所に送って、更に書類手続きが終われば、リサは解放されます」
愛原「色々と手続きが面倒なんですね」
善場「まあ、BOWですから」
愛原「それもそうか」
パール「先生!お帰りなさい!よく御無事で……」
エレベーターからパールが降りて来て、車の所までやってきた。
愛原「ああ、ただいま。心配掛けてすまなかった」
善場「それでは愛原所長、また後ほど……」
愛原「はい。本当にありがとうございました」
私は車を降り、荷物も降ろすと、リアドアを閉めた。
そして、車はガレージから出ると、そのまま公道を走り去って行った。
パール「先生、どうぞ、中へ。夕食の準備ができています」
愛原「ああ、ありがとう」
私は自分の荷物を持って、エレベーターに乗り込んだ。
パール「荷物の整理は後にして、先に御夕食から済ませてはいかがでしょう?」
愛原「そうだな。そうするよ」
確かに腹は減った。
どうせ明日は休みだ。
とはいえ、顧客や探偵業協会に、突然の休業に対するお詫びや経緯の説明をしなければならないだろう。
まずはメールを作成して送信するつもりだが、場合によっては、直接出向いて説明しに行かないといけないかも……。
[同日21時00分 天候:晴 同地区 愛原家3階・ダイニング]
私は遅い夕食を済ませると、パールが入れてくれた食後のコーヒーを口に運んだ。
愛原「明日は日曜日だから、まあ、家でゆっくり休ませてもらうよ。ただ、顧客の皆さんや探偵業協会へ連絡はしないといけないだろうがな」
そこにも表向きの理由である、『急性脳症により緊急手術をし、それでしばらく入院していた』ということになっている。
『何ぶん急なことなので連絡ができず、申し訳ありませんでした』といった感じのお詫びを添えればいいだろう。
愛原「それと月曜日、高橋の所へ面会に行こう」
パール「いいんですか!?」
愛原「ああ。俺とパール、2人で面会に行けば、高橋も喜ぶだろう」
パール「そうですね!きっと喜ぶと思います!」
愛原「火曜日には東京拘置所に移送されるそうだから、何とか間に合ったな」
もちろん、拘置所に移送されても、面会には行くつもりだが。
だが、小菅となると距離がやや遠くなるので、頻度は落ちるかもしれない。
その分、手紙のやり取りなどになりそうだな。
パール「先生……。先生のキャリーケースの中に、リサさんの下着が入ってたんですけど?」(;一_一)
愛原「そ、それはリサが勝手に入れたんだーっ!」(;゚Д゚)
そ、そういえばリサの下着で、まだ洗ってない一組があるんだった!