[6月3日14時15分 天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]
イオンモールでの買い物と食事を済ませた後、私達は東京中央学園上野高校に到着した。
確かに校舎の一部が損壊し、そこでは修復工事が行われていた。
私は善場係長に伴われ、校長室へと向かった。
土曜日ではあるが、元々授業のある日だったらしく、校長先生は出勤していた。
私は菓子折りを持参しながら、リサの暴走を詫びた。
尤も、校長先生は、『愛原さんには何の責任もありません。気になさらないでください』と、仰ったが。
愛原「私はリサの保護者です。立場上の責任を取るに、吝かではありません」
校長「愛原さんは事件当時、脳の病気で入院されていたとか……」
さすがにバイオテロのことは機密なので、私の手術の事は表向き、脳に異常が見つかって手術したことになっている。
その為、入院していたという話を学校側にしていた。
校長「その状態では、保護監督は難しいでしょう。よって、私共と致しましては、愛原さんに事件の責任そのものを追及するつもりはございません。それに、お詫びでしたら、そちらのデイライトさんからして頂きましたから」
恰幅の良い好々爺的な校長先生は、穏やかな顔で言った。
善場「愛原リサを東京中央学園様に紹介したのは私共です。責任問題が云々というのであれば、それは私共の方が大きいかと」
校長「愛原リサさんは、1ヶ月の停学と致しました。異論ありませんね?」
愛原「はい。因みに、中間テストが受けられなかったようですが、卒業にどのくらいの影響があるのでしょうか?」
校長「中間試験につきましては、全ての試験科目が落第となり、それぞれ教科ごとに追試または補習を受けて頂くことになります。当然ながら、内申点にも大きく響くこととなります。例えば愛原リサさんは、東京中央学園大への進学を希望していますが、残念ながら学校推薦(東京中央学園高等部限定の推薦枠。指定校推薦か)は受けられなくなります」
愛原「そうですか……」
これはエスカレーターで上がることができなくなったことを意味する。
校長「今後の反省の態度や、その後の生活態度、成績の度合いによっては、一般推薦入試(他校生が受ける推薦入試。公募推薦とほぼ同じ意味と思われる)は受けられるかもしれません。が、確率は五分五分です。一般入試でしたら確実に受けられますので、もしも進路に変更が無ければ、それも御検討ください」
愛原「分かりました」
お世辞にも一流、二流ではない東京中央学園大学。
リサの普段の成績をもってすれば、一般入試でも合格可能だろう。
確か、秋田の太平山美樹もそこを一般入試で受けるとか言ってなかったか。
合格枠、バッティングしたりしないだろうか……。
愛原「リサには、そう伝えておきます。何とか、公募推薦で行けるように頑張りますよ」
とはいえ、学校推薦から外れた者が受ける試験だ。
やや冷遇されている。
具体的には、受験者数が限定されている為、本来その枠に入るべき他校生を優先して受け付けるからである。
それで枠が余った時に、改めて補欠学校推薦みたいな形で入ることになる。
学校推薦との大きな違いは試験内容。
学校推薦はそれまでの高等部での成績、生活態度が重視され、試験内容も面接だけであるという。
公募推薦は、それにプラスして小論文などがある。
校長「よろしくお願いします」
お詫びに来ただけのつもりが、その後、リサの復学のことについて話すことにした。
まあ、簡単に言えば反省文を書かせて提出せよとのことだ。
[同日16時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
善場「お疲れ様でした」
愛原「こちらこそ、色々とありがとうございました」
善場「本日や翌日はゆっくり休んで頂きまして、また来週に……」
白峰「……係長。どうやら、そういうわけにはいかないようです」
善場「は?」
前から2人、スーツ姿の男2人がやってきた。
そして、警察手帳を提示する。
刑事「警視庁深川警察署の安藤と申します。愛原学さんにお話を伺いたいのですが、もう大丈夫ですね?」
白峰「係長!?」
善場「月曜日にお話を伺うという話では?」
安藤刑事「なるべく早くにお話を伺いたいのです。署までご同行願えますか?」
愛原「どうやら、かなり私が疑われているようですね……」
善場「深川警察署ですね。愛原所長、宜しいですか?」
愛原「しょうがないですね」
安藤刑事「それでは、車を移ってもらって……」
善場「いえ、私達も同行します」
安藤刑事「えっ?公安庁さんが?」
善場「……はい。私達の管轄でもあるので」
うわ……公安警察と……もうバレてるな。
公安調査庁とのせめぎ合い。
尚、公安調査庁の職員には逮捕権は無い。
だから、善場係長達が誰かを逮捕するような描写は無い。
もちろん、現行犯逮捕は許されるだろうが。
ウィキペディア日本語版では、公安警察が『同じ協力者をめぐり、対立する公安調査庁の調査官のことをあえて報道関係者にリークしたことがある』とのことで、つまり警察の方が公安庁の活動を妨害することもあるのだとか。
公安調査庁からすれば、私は協力者であり、公安警察から見れば、容疑者一歩手前の重要参考人ということか。
なるほど。
善場主任達が警戒するのも分かる。
警察に、自分達の協力者を横取りされるかもと思っているのだ。
安藤「悪いようにはしませんよ」
善場「当たり前です、そんなのは。所長、これは任意ですから」
安藤「心証悪くなりますよ?」
善場「既にこちらとしては、そちらに対する心証が悪いのですが?」
安藤「捜査の為です」
愛原「善場係長、いいですよ。私は何も知らないんですから。それを答えればいいわけでしょう?」
善場「私達も同行します。宜しいですね?」
善場係長は有無を言わさぬと言った感じで、安藤刑事に迫った。
善場「宜しいですか、愛原所長。警察の事情聴取には、全て正直に答えてください」
愛原「分かっていますよ。荷物だけ置いて行っても宜しいですか?」
安藤「できれば荷物の中も見せて頂きたいのですが?」
愛原「うえー……」
キャリーケースの中には、リサの下着が……。
それについては、何て説明しよう?
イオンモールでの買い物と食事を済ませた後、私達は東京中央学園上野高校に到着した。
確かに校舎の一部が損壊し、そこでは修復工事が行われていた。
私は善場係長に伴われ、校長室へと向かった。
土曜日ではあるが、元々授業のある日だったらしく、校長先生は出勤していた。
私は菓子折りを持参しながら、リサの暴走を詫びた。
尤も、校長先生は、『愛原さんには何の責任もありません。気になさらないでください』と、仰ったが。
愛原「私はリサの保護者です。立場上の責任を取るに、吝かではありません」
校長「愛原さんは事件当時、脳の病気で入院されていたとか……」
さすがにバイオテロのことは機密なので、私の手術の事は表向き、脳に異常が見つかって手術したことになっている。
その為、入院していたという話を学校側にしていた。
校長「その状態では、保護監督は難しいでしょう。よって、私共と致しましては、愛原さんに事件の責任そのものを追及するつもりはございません。それに、お詫びでしたら、そちらのデイライトさんからして頂きましたから」
恰幅の良い好々爺的な校長先生は、穏やかな顔で言った。
善場「愛原リサを東京中央学園様に紹介したのは私共です。責任問題が云々というのであれば、それは私共の方が大きいかと」
校長「愛原リサさんは、1ヶ月の停学と致しました。異論ありませんね?」
愛原「はい。因みに、中間テストが受けられなかったようですが、卒業にどのくらいの影響があるのでしょうか?」
校長「中間試験につきましては、全ての試験科目が落第となり、それぞれ教科ごとに追試または補習を受けて頂くことになります。当然ながら、内申点にも大きく響くこととなります。例えば愛原リサさんは、東京中央学園大への進学を希望していますが、残念ながら学校推薦(東京中央学園高等部限定の推薦枠。指定校推薦か)は受けられなくなります」
愛原「そうですか……」
これはエスカレーターで上がることができなくなったことを意味する。
校長「今後の反省の態度や、その後の生活態度、成績の度合いによっては、一般推薦入試(他校生が受ける推薦入試。公募推薦とほぼ同じ意味と思われる)は受けられるかもしれません。が、確率は五分五分です。一般入試でしたら確実に受けられますので、もしも進路に変更が無ければ、それも御検討ください」
愛原「分かりました」
お世辞にも一流、二流ではない東京中央学園大学。
リサの普段の成績をもってすれば、一般入試でも合格可能だろう。
確か、秋田の太平山美樹もそこを一般入試で受けるとか言ってなかったか。
合格枠、バッティングしたりしないだろうか……。
愛原「リサには、そう伝えておきます。何とか、公募推薦で行けるように頑張りますよ」
とはいえ、学校推薦から外れた者が受ける試験だ。
やや冷遇されている。
具体的には、受験者数が限定されている為、本来その枠に入るべき他校生を優先して受け付けるからである。
それで枠が余った時に、改めて補欠学校推薦みたいな形で入ることになる。
学校推薦との大きな違いは試験内容。
学校推薦はそれまでの高等部での成績、生活態度が重視され、試験内容も面接だけであるという。
公募推薦は、それにプラスして小論文などがある。
校長「よろしくお願いします」
お詫びに来ただけのつもりが、その後、リサの復学のことについて話すことにした。
まあ、簡単に言えば反省文を書かせて提出せよとのことだ。
[同日16時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
善場「お疲れ様でした」
愛原「こちらこそ、色々とありがとうございました」
善場「本日や翌日はゆっくり休んで頂きまして、また来週に……」
白峰「……係長。どうやら、そういうわけにはいかないようです」
善場「は?」
前から2人、スーツ姿の男2人がやってきた。
そして、警察手帳を提示する。
刑事「警視庁深川警察署の安藤と申します。愛原学さんにお話を伺いたいのですが、もう大丈夫ですね?」
白峰「係長!?」
善場「月曜日にお話を伺うという話では?」
安藤刑事「なるべく早くにお話を伺いたいのです。署までご同行願えますか?」
愛原「どうやら、かなり私が疑われているようですね……」
善場「深川警察署ですね。愛原所長、宜しいですか?」
愛原「しょうがないですね」
安藤刑事「それでは、車を移ってもらって……」
善場「いえ、私達も同行します」
安藤刑事「えっ?公安庁さんが?」
善場「……はい。私達の管轄でもあるので」
うわ……公安警察と……もうバレてるな。
公安調査庁とのせめぎ合い。
尚、公安調査庁の職員には逮捕権は無い。
だから、善場係長達が誰かを逮捕するような描写は無い。
もちろん、現行犯逮捕は許されるだろうが。
ウィキペディア日本語版では、公安警察が『同じ協力者をめぐり、対立する公安調査庁の調査官のことをあえて報道関係者にリークしたことがある』とのことで、つまり警察の方が公安庁の活動を妨害することもあるのだとか。
公安調査庁からすれば、私は協力者であり、公安警察から見れば、容疑者一歩手前の重要参考人ということか。
なるほど。
善場主任達が警戒するのも分かる。
警察に、自分達の協力者を横取りされるかもと思っているのだ。
安藤「悪いようにはしませんよ」
善場「当たり前です、そんなのは。所長、これは任意ですから」
安藤「心証悪くなりますよ?」
善場「既にこちらとしては、そちらに対する心証が悪いのですが?」
安藤「捜査の為です」
愛原「善場係長、いいですよ。私は何も知らないんですから。それを答えればいいわけでしょう?」
善場「私達も同行します。宜しいですね?」
善場係長は有無を言わさぬと言った感じで、安藤刑事に迫った。
善場「宜しいですか、愛原所長。警察の事情聴取には、全て正直に答えてください」
愛原「分かっていますよ。荷物だけ置いて行っても宜しいですか?」
安藤「できれば荷物の中も見せて頂きたいのですが?」
愛原「うえー……」
キャリーケースの中には、リサの下着が……。
それについては、何て説明しよう?