報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「鬼怒川温泉での一夜」 2

2019-12-02 19:24:17 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[11月23日20:00.天候:雨 栃木県日光市鬼怒川温泉 あさやホテル]

(※このホテル、貴賓室とかあって、そこにダンテが泊まっている設定なんだけど、顕正会夏合宿の時、浅井会長もそこに泊まったのだろうか?)

 無事に宴会の終わったダンテ一門は、稲生の案内で2次会の会場へ向かった。
 あとはイリーナの計らいで、稲生の今日の仕事は基本的に終わりである。

 稲生:「ふう……」

 稲生は大浴場の湯船に浸かり、大きく息をついた。

 稲生:「あー、疲れた……」
 横田:「クフフフフ……。稲生さん、お疲れさまです」
 稲生:「ブバッ!?」

 びっくりした稲生、足を滑らせて湯船の中に一瞬ダイブ。

 横田:「横田です。先般の夏合宿における大感動は、未だ冷めやらぬものであります」
 稲生:「いつの話だよ!?僕は参加したこと無いぞ!」
 横田:「いやいや、あれは本当に良かったですね。まるで昨日のことのように思えます」
 稲生:「カントクみたいなこと言って……」
 横田:「しかし、大石寺の周りには温泉など無いでしょう?」
 稲生:「いや、そんなこと無いよ。てか横田理事、“富嶽温泉 花の湯”行ったことあるでしょ!?」
 横田:「それはそうですが、しかしあれは同じ市内にあるというだけであって、『大石寺の周辺』と言うには少し無理が有りはしませんか?クフフフフ……」
 稲生:「う……まあ、確かに大石寺からタクシーで2000円以上掛かる距離だけど……」
 横田:「まあ、富士山の麓にあることですし、掘れば境内にも温泉が湧き出て来そうな感じではありますね」
 稲生:「顕正会でやる気か!?」
 横田:「もしも顕正会が宗門に復帰し、私が会長になった暁には境内に温泉を掘り当てることを誓願と致しましょう。クフフフフフ……」
 稲生:「ヤな誓願だ。てか、顕正会が宗門復帰することはまず無いと知ってて言ってるな?」
 横田:「お察しください」
 稲生:「で、『上条温泉 顕正の湯』ができた暁には、どうせ全部混浴にするんだろ?」
 横田:「な、何故それをっ!?」
 稲生:「アンタの考えそうなことだ!」
 横田:「温泉好きの私としては、正に悲願ですな。クフフフフ……」
 稲生:「温泉が好きというよりは、温泉に入っている女が好きなだけだろうが。……てか横田理事、何しに来たの?まさかこの期に及んで、マリアさん達の入浴シーンを覗きに来たんじゃないだろうね?」
 横田:「クフフフフフ……。それができればベストなのですが、あいにくと魔に妨害されてそれができません。今回はただ、過ぎ去りしケンショーの思い出を辿りに来たのですよ。休暇を頂きましてね」
 稲生:「横田理事の場合、もう毎日が休暇状態のような気がするけど……。カントクもこのホテルに泊まったのかなぁ?」
 横田:「いえ、あいにくとこの近くのグリーンパレスというホテルだったようです。カントクの所属していた隊は比較的優しいところでしたので、旅行気分が味わえたということですね」
 稲生:「なるほどなぁ」
 横田:「何しろ私が初参加した時にはアルコールも出ましたからね。クフフフフフ……」
 稲生:「合宿なのに!?」
 横田:「さすがに問題が発生して、セピアが後から禁酒令を出しましたがね。でもイエロー先生はピンクと一緒に【お察しください】」
 稲生:「だろうなぁ。実はブルーもなんじゃないの?」
 横田:「それが意外とブルーは守っていました」
 稲生:「へえ、そうなんだ!意外!」
 横田:「しかし禁断症状が出てファビョりまくり、彼の隊は【お察しください】」
 稲生:「どこのアル中だよ!?」
 横田:「むしろ破っていたのはレッドの方……おっと、失礼。私はそろそろ行かねば……」
 稲生:「どこに?」
 横田:「50名様で来館の報恩坊さんがコンパニオンを呼んでいるので、ちょっとおこぼれをば……」
 稲生:「おーい、カントク。あんまりフザけると、またトチロ〜さんに怒られるぞ?」

[同日21:00.天候:雨 同ホテル マリアの客室]

 風呂から上がった稲生は、男女共同の湯上り処でマリア達と合流した。
 皆ちゃんと浴衣の上からどてらを着ている。

 稲生:「あれ?ちゃんと皆着れてるね?」
 エレーナ:「私が伝授したんだぜ」
 稲生:「なるほど。さすがは日本通」
 マリア:「今日は大変だったね。飲み物とか色々買ってあるから、ちょっと一息入れよう」
 稲生:「ありがとうございます」

 というわけで稲生は、マリアの客室に向かった。
 もちろんマリア1人で泊まっているわけではなく、そこにルーシーとエレーナも泊まっているわけだ。
 既に室内には布団が3組敷かれている。

 エレーナ:「冷蔵庫の中に入れといたからな」

 そこからビールやらチューハイやら、ワインやら出してくる。

 稲生:「よくこんなもの持って来て……」
 エレーナ:「なぁに。宴会で余ったのをキープしといただけだぜ。プラスしてチューハイとかハイボールとか買って来た。稲生氏はワインよりもこっちの方がいいだろ?」
 稲生:「確かに」
 ルーシー:「じゃあ早速頂きましょうか」

 ルーシーはワインをグラスに注いだ。
 ワイングラスは無いので、普通のグラスだ。

 マリア:「勇太、お疲れさま」
 ルーシー:「お疲れさま」
 エレーナ:「お疲れーっス!」
 稲生:「ありがとうございます」
 エレーナ:「私達の奢りだからな、ジャンジャン飲んで食べてくれ」
 マリア:「だから、宴会の余り物が殆どだろ」
 稲生:「ま、まあ、どうせ処分するものを僕達が有効活用するだけのことだからね」
 エレーナ:「明日はどうするんだぜ?」
 稲生:「明日は9時半にはチェックアウトしたいね。一応、先生には伝えてあるけど。それでまた電車に乗る。今度はスペーシアだから、安心して、ルーシー」
 ルーシー:「エレーナが言ってた新幹線的なスタイルのヤツね」
 稲生:「そう。それで浅草に着いたら、昼食会。その後でまたホテルにチェック・インするというものだよ」
 マリア:「温泉については先生達、楽しむ余裕あるのか?さっき大浴場に入った時、いなかったぞ?1人も」
 エレーナ:「多分、部屋専用の温泉に入ってるんだと思うぜ」
 稲生:「貴賓室とか、それに準ずるクラスの部屋には専用の温泉が引いてあるんですよ」
 マリア:「なるほど」
 ルーシー:「そこで先生方が混浴されているわけね」
 エレーナ:「ん?だったら、私達も混浴するか?ああ?」
 稲生:「ブッ!」
 ルーシー:「この部屋には無いことを知ってて言ってるね?」
 エレーナ:「あぁ?それでもバスルームくらいあんだろうが。4人一緒に……」
 ルーシー:「いや、狭いから」
 マリア:(入る事自体は否定しないのか、ルーシー……)

 どうにか稲生にもようやく心休まる時が来たようだ。
コメント (6)
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