報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち” 「玉やだと 又またぬかすわ 鍵やと云ひ」 2

2014-07-27 18:47:22 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
高1女子を殺人容疑で逮捕=同級生殴り、遺体切断―長崎県警(時事通信) - goo ニュース

「チェック……メイトだ……!」
 血のりの付いた鉄棒を手に、不気味な笑みを浮かべるマリア。
 はっきり言って、目はイッた状態だ。
 足元には、かつて自分を暴行したハイスクールの女友達だった肉塊があった。
「そろそろ、サツが来る。早いとこ、ここから離れろ」
 頭の中に、契約した怠惰の悪魔ベルフェゴールの声が響く。
「痕跡は私が完全に消しておこう。あくまで、コイツは事故で死んだことになる」
「よろしく」

「やはりこいつは許しがたい……!」
 マリアの過去を暴く1人の魔女。
 水晶玉越しに憤怒の顔を浮かべるは、イリーナのライバルで姉弟子のポーリン・ルシフェ・エルミラ。
「イリーナは甘い!甘すぎる!こいつが人間界で幸せにやってはいけないのだ……!」

[7月26日16:30.JR上野駅宇都宮線ホーム→東京メトロ上野駅銀座線ホーム 稲生ユウタ他4名]

〔まもなく終点、上野、上野。お出口は、左側です。……〕

 ユタ達を乗せた宇都宮線電車は高度を落とし、JR上野駅の低いホームにゆっくりと入って行った。

〔うえのー、上野ー。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 ドアが開いて、乗客が一斉に降りてくる。

〔「14番線に到着の電車は折り返し、17時25分発、宇都宮線普通列車の小金井行きとなります。……」〕

「改札口を出て、左手の方向です」
 ユタは言った。
 低いホームを真っ直ぐ進むと、中央改札口に当たる。
 頭上に上野動物園を表した動物の絵が描かれていることで有名な改札口だ。
 多くの乗客で賑わっており、中には浴衣姿の人も多く見られた。
「あれ?もうキノ達、到着してるらしいです」
 ユタはメールを見て言った。
「あいつら早いな」
 威吹は呆れた顔をした。
「ええ……」
 カンジは同調するように静かに頷いた。
「栗原さんも来るんですよね?確か今日と明日で、中等部・高等部合宿登山があったのではないですか?」
「あれっ!?」
「ほほぉ……。キノのヤツ、“獲物”様の信仰を妨害したか」
「まあ、鬼だからねぇ……」
「あのコの霊力はAからAAくらいかしらね」
 と、イリーナ。
「稲生君はSとAAAを行ったり来たりしてる状態だね」
「魔道師には魔道師のランク付けがあるんですねぇ……」
「顕正会仏法やってた頃は、文句無しのS級だったみたいだけど……」
「ユタ、今から顕正会に戻ろう」
「くぉらっ!」

 東京メトロ銀座線ホームに移動する。
「ただいま、団扇をお配りしてまーす」
「おっ、ありがたい」
 威吹は受け取るが、
「威吹は扇子があるでしょ?」
 ユタが突っ込むと、
「おお、そうだった」
 威吹は袴の帯に扇子を差していたのを思い出した。
 もっとも、この扇子は妖術を掛ければ刀に変わるのだが。
 パタパタ扇ぎながらホームに下りると、
「随分と賑やかだねぇ……」
 多くの乗客が電車を待っていた。
「こういう時は……」
 ユタが一行を先導する。
 進行方向1番後ろの車両が来る辺りだ。
「改札からは多少遠いですけど、その分、先頭車より空いてると思います」
「なるほど。マリアはまだ浴衣が着慣れないせいか、少し歩きにくいからね」
「そうですねぇ……」

〔まもなく2番線に、浅草行きが参ります。白線の内側まで、お下がりください。電車とホームの間に、広く空いている所があります。足元に、ご注意ください〕

 淡々と喋る男声の自動放送に対し、

〔「2番線、ご注意ください。浅草行きが到着します。危険です!下がってください!」〕

 駅員の注意の放送や花火大会の為に配置された警備員達の大声がホームに響く。

「あっ、1000系だ」
 まばゆいLEDヘッドライトがトンネルの向こうからやってきて、新型車両が入線してきた。
「初めて乗るんです。幸先がいいですね」
「それは良かった」

〔上野、上野。足元に、ご注意ください。日比谷線、JR線、京成線はお乗り換えです。……〕

 確かに最後尾は空いていた。
「これのモチーフになった電車になら乗ったことあるよ」
 と、イリーナ。
「マジっスか?昭和一ケタの開通ですよ?」
「うん。だからその時。新兵器たる自動改札機が故障して、駅員が自分の帽子に料金を入れさせてたねぇ……」
「あ、そうか。当時は運賃均一制の改札口で前払い……」
「そう」
 電車が走り出した。

〔東京メトロ銀座線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、浅草行きです。次は稲荷町、稲荷町〕

「でも魔界で乗ったことあるなぁ……」
 ユタは天井を見上げて思い出すように言った。
「威吹も覚えてるでしょ?アルカディア地下鉄の黄色い電車」
「ああ」
「あれ、葛西の地下鉄博物館に展示してある1000形とよく似てるんだよなぁ……」
「人間界から行った人間で、地下鉄に乗る度胸があるの、安倍首相とユウタ君だけだよ」
「いやあ、つい珍しい電車が走ってたもんで、つい……。威吹の護衛のおかげです」
「一応、周りの妖怪どもに睨みは利かせておいた」
「運転士が骸骨のモンスターだったので、びっくりしました」
「魔王軍をリストラされたモンスターも、魔界高速電鉄に転職してるからね」
「なるほど……」

[同日17:00.東京都墨田区吾妻橋 稲生ユウタ]

「よくよく考えたら、ここって妙縁寺さんが近いな……」
 と、ユタ。
「日蓮正宗のね」
「ほお……」
 吾妻橋を歩いて隅田川を渡る。
 左手にアサヒビールの本社が見えてきて……。
「……って、まんま妙縁寺さんの近くかな?」
 ユタは藤谷からもらった地図を見ていた。
「そこで勤行させてもらおうかなぁ……」
「ユウタ君は本当に熱心だね」
 イリーナは苦笑いした。
「あ、あった。このマンションです」
「お、なかなか高い所だね。確かにここからなら、花火もよく見えるだろうねぃ……」
 見上げると、夏の日差しが目に当たった。
「この分なら、予定通りに打ちあがりそうだ」
 ユタは早速入口で藤谷に電話した。

 しばらくして藤谷が団扇片手に下りて来た。
「おーう、よく来たなー。特別招待客は、キミ達で最後だぞ」
 と、藤谷。
「えっ、もう!?だって、まだ2時間もあるのに……」
「まあ、ここの住民さん達は自分の部屋で見るだろうからな。さっ、早く上がってくだせぇ」
「お邪魔します」

 エレベーターで最上階まで上がり、屋上へは更にそこから階段で上がる。
「おう、おせーぞ、オメーラ!」
 屋上に出ると、浴衣姿のキノが開口一番そんなことを言ってきたので、
「お前達が早過ぎだ!」
 と、全員で突っ込んだ。
「栗原さん、高等部の合宿登山は?」
 ユタが眉を潜めて、紺色を基調とした浴衣の江蓮に言った。
「いや、それがその……抽選に漏れちゃって……」
「抽選制だったっけ!?」
「どーでもいーじゃねーか!細けぇこたぁ、どーでもいいんだよっ!」
「キノ、既に酔っぱらってる……」
 ビールジョッキ片手にほろ酔い加減のキノ。
「初めまして!」
 そこへ元気な声が聞こえて来た。
「ユタとはお初かな?」
 威吹はその声の主が誰だかすぐに分かった。
「キノ兄ィの妹で、蓬莱山魔鬼です!」
「へえ、キミが妹さんか……。確かに、赤鬼の肌の色(赤銅色)と目元が似てるような……」
 魔鬼は赤を基調とした浴衣を着ていた。
「あ、僕は稲生ユウタ。大学2年生です」
「キノ兄ィ、あたし高校の次は大学行きたーい!」
「オレに言うなっ!」
「マリアさん、イリーナさん。花火は向こうの方に見えます」
「おっ、よし。特等席だねぃ」
「ビールもつまみもありまっせ。と、その会費集めておくか」
 藤谷はパンと手を叩いた。
「いくらですか?」
「1人3000円」
「高っ!御開扉御供養より高っ!」
「そりゃそうよ。こんな特等席で尚且つアサヒビールからガメてき……もとい、買い付けたビールサーバーでビールの飲み放題、つまみの食い放題だからよ。足りなかったら、下のテキ屋で買ってきてくれ」
「はは……」
「まあ、1番の特等席はエレーナのホウキで間近を飛ぶってことだと思うな」
 マリアが言った。
「さすがに花火が直撃する恐れがあるから、ポーリンも注意するわよ」
 イリーナは早速、ビールジョッキにビールを注いでもらいながら笑った。
「おおかた、自分の住んでるホテルでおとなしく見てるんじゃない?」
「そうですか。じゃあ、ちょっと一報していいですか?」
「いいよいいよ。弟子同士の友達付き合いまで、とやかく言うつもりは無いから」

 めいめいに打ち上げ開始までの一時を楽しむ面々。
 この時まだ待ち受けている困難に気付く者は、誰1人いなかった。
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“ユタと愉快な仲間たち” 次回予告!

2014-07-27 10:37:45 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
〔上野、上野です。足元に、ご注意ください。日比谷線、JR線、京成線はお乗り換えです。……〕

「おおっ!1000系だ!」
 初めて乗る新型車両に喜ぶユタ。

〔東京メトロ銀座線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、浅草行きです。次は稲荷町、稲荷町〕

「私、これのモデルになった開業当時の電車に乗ったことがあるよ」
 と、イリーナ。
「マジですか!?昭和一ケタの時代の開通のはずですが……」
「せっかくの自動改札機が故障して、駅員が自分の帽子に料金を入れさせてたわねぇ……」
「そうか!当時は運賃均一制の改札口で前払い……」

「おーう、稲生君!来てくれたか!」
「おせーぞ、オメーラ!」
 団扇をパタパタやってるキノ。
「お前達が早過ぎだ!」
 ユタ一行、全員でツッコむ。

「ちょ、ちょっとマリアさん、これ……」
「あっれ?雨は今日降らないはずじゃ……!」

 ピカッ!ゴロゴロゴロ……!
 ザァァァァッ!

〔「運営委員会からの緊急通達です。突然のゲリラ豪雨により、開始時間を30分遅らせることになりました。それ以降、天候の回復が見込まれない場合は中止もあり得るとのことです」〕

 花火大会を中継しているテレビから、そんな声が聞こえて来た。
「うそーん!?……取りあえず、ビールお代わり!……なに、無いだぁ!?アサヒビールからガメてこい!」
「藤谷さん……」
 すっかり出来上がっている藤谷。
「はっ……!」
 その時、イリーナは気づいた。
「あのバカ!!」
 そして、マンションの外に飛び出す。
「ちょっ……イリーナさん、どこ行くんですか!?」
あいつの所!」

 イリーナは“瞬間移動”の魔法を使って、その場から離れた。
コメント (2)
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小説の途中ですが、ここで本日の動向をお伝えします。

2014-07-27 00:42:18 | リアル旅行記
 “ユタと愉快な仲間たち”で主人公達は今、JR宇都宮線で上野に向かっている所だ。
 危うく小説がリアルの時系列に追い着くところだったが、危なかった。
 私は取材も兼ねた仕事で、隅田川花火大会が行われた浅草に向かった。
 浅草といっても、実際は浅草駅から吾妻橋を渡った先である。
 そこには日蓮正宗の末寺であり、顕正ウォッチャーには有名なお寺がある。
 旧・妙信講が解散処分を食らうまで所属していた妙縁寺である。
 今ではかの有名な【検閲により削除】のリーダー、あ【ホワホワ】さんが所属していることで有名であるが、情報元は【お察しください】。

 作者である私は往路については、主人公達とは違う列車で向かった。
 稲生ユウタは狙って宇都宮線(E231系10両のグリーン車)に乗ったが、私は高崎線(E233系10両のグリーン車)に乗った。
 こちらも狙って乗ったのは事実だ。
 何故ならば、上野から浅草に行く場合、東京メトロ銀座線の利用がデフォなわけだが、実は低いホーム(13番線から17番線)に到着してくれた方がより乗り換えやすいからである。
 ネタバレして申し訳無いが、時刻表を見てしまえば分かることなので、申し上げよう。
 私が乗った高崎線も、稲生ユウタ達が乗った宇都宮線も低いホームに到着する電車である。
 上野駅から山手線・京浜東北線に乗り換える場合はハズレだが、メトロに乗り換える場合は当たりなのである。
 その乗り換え先のメトロも、いいことがあった。
 メトロの乗り場で無料配布していた団扇を受け取り、パタパタ仰ぎながら電車を待っていると、新型の1000系に乗れたのである。
 実に幸先の良いスタートだ。
 LED蛍光灯を使用しているせいか、それまでの01系と違って照明が間引きされていることはなく、車内は明るい。
 改札まで歩くが、浅草行きは最後尾が空いていてお勧め。
 01系もそろそろ乗り納めの時期が来るのだろうか。
 そうなったら、多分またアルゼンチンのブエノスアイレスの地下鉄(メトロビアス社)に中古車として輸出されるのだろうな。
 現地では車体への落書きがかなりヒドく、車内の写真を見ても居眠りしている乗客が1人もいないことから、かなり治安の悪い地下鉄だと想像する。
 オウムにサリンはバラまかれたが、何だかんだ言って、それでもやはり日本の地下鉄は治安がいいのだろう。
 但し、大阪市地下鉄の治安状況については、ANPさんのレポを待つ。

 今年は昨年と違い、ゲリラ豪雨が無くて、本当に良かったな。
 私が帰る頃には交通規制も解除され、比較的早く浅草駅に向かうことができた。
 駅前が22時過ぎても、多少gdgdしていたのが気になったが。
 帰りは東武線経由で帰ることにした。
 ネタバレで申し訳無いが、やはり稲生ユウタ達に帰りに通らせるルートである。
 昨年既に取材しているとはいえ、やはり今年は今年で楽ちんに帰るためデータを取りたいということもあり、22時30分発、東武スペーシア“けごん”39号に乗り込んだ。東武スペーシアの最終列車である。
 “けごん”と名前は付いているが、日光まで行くことはなく、春日部止まりという、明らかな営業回送間合い運用である。
 実際この時間帯、後発の区間急行、新栃木行きが快速用の6050系を使用していた。
 座席のシートピッチは1100ミリ。新幹線の普通車より広く、グリーン車よりは狭い座席だ。
 立ち客で賑わう10000系や30000系の各駅停車などを横目に、快適な特急で通過してやるのは何となく優越感だ。
 しかしこの東武スペーシア、日本語や英語だけでなく、中国語や朝鮮語でも案内するのね。
 正直今、後者2ヶ国とは距離を置きたい今日この頃である。

 春日部には1分遅れで到着。
 どうも、キツキツのダイヤのようだ。そんなに高速で走行した感じがしない。
 ここからアーパーラインへの接続は良くなく、10分以上の待ち時間がある。
 やってきた電車は、毎度お馴染み8000系。
 冥鉄で走行していても良さそうな電車だが、まだまだ現役の東武電車である。
 こっちの10000系や60000系に乗れる日はいつなのだろう。
 ここまで来ても、浴衣の女性の姿を見ることができる。うん、マリアと【ネタバレなのでカット致します】に浴衣着させて良かった。
 60000系の姿を拝めたのは、終点大宮駅に到着した時。
 反対側のホームにいやがった。
 ところで8000系の中古車は、インドネシア国鉄のジャカルタ国電公社に売ったりしないのだろうか。
 日本の旧国鉄やJRと違い、インドネシア国鉄は首都の国電を別の組織体にやらせているようである。
 日本のJR103系を喜んで使ってくれている鉄道会社である。
 “私鉄の103系”の異名を持つ東武8000系も、冷房付きで自動ドアというだけで喜ばれそうだが。

 とにかく仕事も取材も無事に終わり。
 明日……って、もう日付が変わったか。
 覚えていないくらい久しぶりの日曜日休みだ。
 添書登山のバスのキップを買いがてら、末寺に行ってみるか。

 さすがに日曜日は賑わっているだろう……。
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