報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

何かここ最近……。

2014-01-24 20:56:25 | 日記
 いくら日記のネタが無いからって、小説書き過ぎだな。多摩先生から、小説の分だけ別枠に移したらどうだと言われたが、管理が大変だし、あくまでもメインは日記なのでこのままにしておく。
 取りあえず、ジャンルの所だけは「日記」と「小説」で分けているのだが。

 まあ、日記のネタが無いということは、それだけ平和だってことなんだけどね。
 警備日報にも、「特になし」と書くというのは、実はそれが我々警備業の成果でもあるのだ。

 で、アンサイクロペディアによれば、「特になし」の意味には2つあって、1つは本当に何も無いことであるが、もう1つは、あっても到底書けない黒い内容だというんだな。……うん、ま、お察しください。

 明日は会社で昇格試験がある。昨年はあいにくと不合格となってしまったので、もう1度チャレンジという形である。
 年々その試験は難しくなっており、昔は「名前さえ書けば合格できる」ほどの難易度だったらしいが、今では最低合格ラインが今年からアップされるとか、本社の試験官達が総入れ替えとなった為に、筆記試験の出題傾向さえもガラリと変わるなどの噂も出るほど、ますます不利な状況になっている。
 果たして、このブログで成果報告ができるかどうか。
 愚痴ブログになるか、しばらくまた小説の連載が続いてお茶濁しになるのかどうか。それは分からない。

 まあ、できるだけ頑張ってこよう。
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“アンドロイドマスター”「狂科学者の孫娘」 2

2014-01-24 17:23:04 | 日記
[2月20日 16:00.財団仙台支部 敷島孝夫、平賀太一、アリス・フォレスト]

 どよめく支部内。メイドロボットなどは、その威圧感にフリーズしてしまうほどだった。
「招聘に応じてくれて、ありがとう」
 エントランスまで出迎える敷島と平賀。バージョン5.0量産型2機に護衛されるかのように入ってきたのは、アリス・フォレストだった。
 血の繋がりは無いものの、あの“世界的なマッド・サイエンティスト”として世界を震撼させたウィリアム・フォレスト、通称“ドクター・ウィリー”の孫娘として、今、学界内で俄かに注目されている。
 彼女は自他共に認める、ウィリーの後継者であり、今回の件は十条の手引きによる。
「日本語は分かるから、あえて英語で話す必要は無いな?」
 平賀は苦い顔をしてアリスに言った。
(あれ?翻訳機どこいったっけ?……あ、いいのか)
 敷島は一瞬、自分のポケットを探った。
 アリスは敷島達を養祖父やシンディの仇と誤解していたが、平賀にとっては、アリスがむしろ師匠の仇でもあるのだ。
「もちろんよ。平賀太一教授」
 アリスは悠然とした感じで、警戒心を露わにする平賀にウインクした。
「じー様からはノウハウを全部受け継いだから安心して」
「お手並み、拝見とさせてもらおう」
 3人して、研究室に向かった。
(十条理事も、俺と同じ考えだったか)
 十条に問い合わせた敷島だったが、やはり十条は渡米中で、すぐに帰国できない状態だという。
 そこで司法関係とのやり取りも終えたアリスならと、十条はアリスにエミリーの修理を依頼したという。
「修理代の請求先はどこ?」
「完全出来高制だ。直せなければ報酬はナシだ」
 平賀は吐き捨てるように言った。
「んまっ、何それ!?」
「お手並み拝見だと言っただろう?」

[同日 16:10.同場所 敷島、平賀、アリス]

「Hum,Hum...」
 アリスはエミリーを遠隔監視しているPCと、本人を見比べていた。
 LEDライトを取ると、閉じられている瞼を開けて照らしてみたり、口を開けて中を覗いたり……。
「まるで医者だな」
 敷島はそう思った。
「シンディとスペックがほぼ一緒ね」
「そりゃ同型機だからな。ディテールで違う所がかなりあるだろう?」
「まあ、それはいくらでも……」
 アリスはノートPCを置くと、エミリーの着ているスリットの深いロングスカートのついたワンピースを脱がした。
「ま、修理始めるから手伝って」
「分かった」
「私は外で問い合わせの対応でもしていますよ」
 敷島は言った。
「敷島さん、その前にエミリーをひっくり返すの手伝ってください」
「えっ?」
「エミリーの自重200キロなんで、ひっくり返すのが大変なんです」
「ああ!」
 エミリーのコスチュームの下はビキニ状の装甲版、いわゆる“ビキニ・アーマー”が装着されている。
 そのうちブラの部分を外して上半身裸にすると、うつ伏せにする。
 エミリーの故障の原因は上半身にあると断定したアリスは、背中の蓋を開けた。なので、下のビキニショーツまでは脱がさなくていいようだ。
「OK.だいたい分かったわ」
「本当か!?」
 平賀は目を丸くした。

[同日 21:00.財団仙台支部事務所・受付ロビー 敷島孝夫]

 原因が分かったからと言って、すぐ簡単に直せるものではないようだ。未だに修理完了の報告は来なかった。
 小さなロビーの長椅子からは研究室が見えることもあって、敷島はそこに座って修理完了の報告を待っていた。
 平賀としては複雑な気分だろう。師匠の仇敵の助手をしなければならないなんて、屈辱でもあるかもしれない。
 しかし、そこを飲まないと、やはり師匠から相続した大きな遺産を失うことになる。
 因みにアリスが護衛に連れて来たバージョン5.0量産型2機は、事務所の奥に保管されている。
 自分が指示しないことには勝手に動くことは無いから、安心しろとのことだった。
 最初は研究室の前に立たせて厳重警備をさせるつもりだったが、そもそも今やアリスが敵に回らなければ脅威など無いので、そこまでする必要は無いと判断し、倉庫に待機(保管?)してもらうことになった次第。

[2月21日 05:00.同場所 敷島孝夫]

 誰かが膝枕してくれている……。
 エミリーがよく、膝枕してくれた。
 まるで人間のように、柔らかく安心感に包まれる何かがあった。
 それももうできなくなると思うと、夜も眠れなくなることがあった。
 たかだか膝枕で……。ん?膝枕?
「!?」
 敷島がパッと起きた。
「あ、たかおさん。起きましたか?」
 私服ながら、イメージは崩さない程度の服装をしたミクが目の前にいた。
「ミク!?お前、どうして……?」
 ミクが膝枕していたのだった。
「エミリーが故障したと聞いて、すぐに駆けつけたかったんですが……」
「KAITO!」
「仕事が忙しくて、来られなかったんです。そしたら今度は修理が入るということなので、いても立ってもいられなくて……」
「まあ、エミリーには色々世話になったし、私も世話してやったから、簡単に壊れられちゃ困るのよねー」
 MEIKOもいた。
「そしたらプロデューサー、グースカ寝てるし。叩き起こしてやろうかと思ったけど、ミクが膝枕したがってね。ま、ボーカロイドに膝枕してもらうなんて機会、滅多に無いんだから、ありがたく思いなさいよ」
「ああ。そうだな」
「昨日の夕方から修理を始めたと聞きましたが、状況はどうなんですか?」
 KAITOが聞いて来た。
「いや、それが……。原因はすぐに分かったみたいなんだけど……」
 他にボカロはいなかった。今や全員が売れっ子であるため、なかなか駆けつけられなかったのだろう。
 その時、研究室のドアが開いた。
「平賀先生!」
「平賀博士!エミリーの状態は!?」
「てか、博士の方がフラフラじゃない!」
「いや、ははは……。大丈夫、大丈夫……」
 MEIKOに支えてもらう平賀。
「修理、終わりましたよ。直りました。何て、ヤツだ……。さすがは……ドクター・ウィリーの孫娘……」
「おおっ!」
 敷島は研究室内に飛び込んだ。
「エミリー!大丈夫か!?」
 そこには、ビキニ・アーマー姿のエミリーが上半身だけ起こした形で台の上に座っていた。
「敷島・さん。ご迷惑を・お掛けしました」
「大丈夫なんだな?大丈夫なんだな?」
「イエス」
 エミリーは敷島の2度の問い合わせにニコッと笑って答えた。
「いやあ、良かったぁ……。早速この朗報をキールに連絡します」
 KAITOは心底ホッとした感じで、ケータイを取り出した。
「ああ。……って、お前、何でキールの連絡先知ってるんだ!?」
 MEIKOが代わりに答えた。
「ほら、今度、執事がメインの映画に出ることになったでしょ?その役作りの為に、キールから色々と教わったのよ」
「いつの間に……」
 アリスは研究室内の椅子にもたれかかり、アイマスクをして寝息を立てていた。
「報酬は財団から弾まないといけないな。まあ、試運転してからだけど……」
 敷島は総務部の室内に行き、また取って返した。
「取り急ぎ、まずは諸経費だけでも前金、小切手で……」
 十条とは逆に、さっき渡米して来たというので、その交通費から払わなければならないだろう。
 敷島は小切手を切ろうとした。
 すると、アリスがパッと起きた。アイマスクを取り外し、敷島に詰め寄る。
「No!キャッシュで!キャッシュで頂戴!」
「銀行ですぐ換えられるよ!まだ朝早くて開いてないけど……」
 その時、敷島は思った。
(しっかしアメリカから飛んできて、すぐにエミリーの修理を長時間やって……元気なコだなー)
 理系の割には体付きがしっかりしていて、体力もあるということか。

[2月21日 15:00.仙台市内の敷島のマンション 敷島孝夫]

『世界唯一のマルチタイプ、エミリー復活!』『正に神業!その手法とは!?』『アリス・フォレスト博士の真意や如何に!?』
 財団内の機関紙は異例の号外が刷られ、業界紙もまた臨時号としてエミリーが復活したことを報じていた。
 これだけ注目されたのはエミリーの存在感も去ることながら、あの世界的なマッド・サイエンティストから遺伝子以外の全てを受け継いだとされるアリスが修理を手掛け、それに成功したことが大きい。
 無論、それは科学テロリストの孫娘でもあるということから、表立った取材も受けることなく、ただ単に、
「今後、エミリーの整備は自分が請け負う」
 というコメントを残しただけだった。
 彼女は正に日陰者らしく報酬を受け取ると、まるで風来坊のように何処へと去って行った……。

 ……はずなのだが!
「う……」
 徹夜してしまった敷島は、今日は午前中だけで仕事を切り上げ、午後は早退して休むことにした。
 しばらく横になって寝ていたのだが、部屋のインターホンが鳴った。
 ここいらに色んな勧誘が来ることは珍しくない。
 この前も顕正会だかが、諌暁書やら顕正新聞やらをポスティングしていきやがった。
 しょうがないので、その後でやってきたエホバの証人の2人の信者に横流ししたが。
 居留守を使おうとした敷島だったが、もう1度インターホンが鳴った。
(うるさいなぁ……。早く帰れよ)
 敷島は頭から布団を被っていたが、手元にあるスマホが鳴った。
(今度は何だ?)
 参事くらいになると、多忙でしょうがないと己惚れてみる(本当は定時に出勤して、余裕で定時に帰れる)。
「はい、もしもし?」
{「ちょっと!いるのは分かってるんだからね!早く開けなさいよ!ドア壊すわよ!」}
「うわっ!?」
 一瞬MEIKOかと思ったが、来週から舞台公演に出るということで、既に関西に行っているはずだから、それはあり得ない。
 敷島はそれでも慌てて飛び起きて、玄関に向かった。
「な、何だよ!?」
 ドアを開けると、そこにいたのはアリスだった。
「エミリーの整備できるの、アタシしかいないみたいだから」
「ああ、そうだな。それがどうした?もちろん報酬は財団から定期的に出す。額に不満があるのなら、交渉は来週にしてくれ」
「そうじゃないの」
「じゃ何?」
「エミリーは確かに直ったけど、まだまだ予断を許さない状況だわ」
「そうなのか。それで?」
「ここにエミリーを保管してるんですって?」
「ああ。平日は財団事務所で受付係をやってる。それ以外は基本的にここだな。まあ、出歩くこともあるけど……」
「分かったわ。それじゃあ……」
 何故か大型のキャリーバックを手にしているアリス。
「私もここに詰めて、エミリーの監視に当たるわ。了承しなさい」
「ふーん……。え?……ええーっ!?」
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“ユタと愉快な仲間たち”、前回の続き

2014-01-24 15:10:22 | 日記
[1月1日12:30.日蓮正宗・正証寺 稲生ユウタ、威吹邪甲、威波莞爾、藤谷春人]

「はーい、元旦勤行に参加の方はこちらー!」
「班長、明けましておめでとうございます」
「おおっ、稲生君。おめでとう。今年もよろしくな」
「こちらこそ」
「ちゃんと正装してくる辺りが感心だぞ、2人とも」
 藤谷は紋付き袴姿の威吹とカンジを見て言った。
「フフ、まあな……」
「これでキミ達が人間だったらなぁ、新年早々御受誡だったのに」
 藤谷が残念そうな顔をした。
「オレはともかく、カンジは人間界生まれの人間界育ちなこともあって、こっちの世界に戸籍があると聞いたが……」
 威吹が言うと、
「! じゃあ、カンジ君。ちょっと話そうか」
「は?」
「お茶と菓子くらい出すぞ。さあさあ。さあさあ」
「やめい!」
 威吹の一喝。
「班長、いかにも誓願達成できてませんみたいな感じでみっともないですよ」
 さすがのユタも呆れた顔をした。
「だってさ、昨年の誓願達成率最悪だったんだもん」
「こればかりは仏縁だからしょうがないって言ってたじゃないですか。その代わり……」
「ん?」
 ユタはタブレットを取り出した。
「都内の布教区全部合わせて、退転率はうちのお寺が1番低いですよ」
「どうやって調査したんだ、おい?」

[同日13:00.同場所 威吹邪甲&威波莞爾]

「おっ、始まったな」
 本堂から鈴の音が聞こえてきて、題目を唱える声が聞こえて来た。
「先生、僅かに鬼の匂いがしますが……」
「ああ、キノと栗原殿が既に年明けの時点でここにいたらしい。『鬼の匂い』はなかなか取れないからな、その残り香だろう」
 もっとも、普通の人間には感じ取れないほどである。
「それにしても……」
「ええ」
 この寺院には顕正会の会館と違いそこそこ広い駐車場が完備されている。
 そこに、1台のマイクロバスが止まっていた。自前の白ナンバーではなく、都内のバス会社のもので、当然ながら運転手もバス会社の人間である。
 信徒達を乗せて来たと思ったら、真っ先に降りて来たのは副講頭だという。
 それ以外に降りてきたのは未入信者。つまり、新願者である。
「珍しいですね。だいたい20人くらい降りてきましたよ」
「ああ」
「元旦勤行が終わるのが1時間後ぐらいだとして、その後はどうしますか?」
「ユタ次第だな。魔道師達は……まあ、いいだろう」
 そごう・西武が1日から初売りをやっていると聞いたイリーナ。
 これから都内の寺院へ元旦勤行に行くのならばと、都内の西武百貨店に出向いた次第。
 今頃は弟子のマリアと、福袋でも購入している頃だろう。

[同日14:30.JR池袋駅埼京線ホーム ユタ、威吹、カンジ、イリーナ、マリア]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の4番線の電車は、14時37分発、各駅停車、大宮行きです。……〕

「一気に20名も、元旦から集団御受誡なんて、副講頭やるなぁ……」
 ユタはさっきまでの元旦勤行を振り返っていた。
「顕正会……いや、他のお寺でもこんなことはないだろう」
「そうでしょうとも」
 威吹は当たらず障らずの反応をした。
「マリアさんは、何を買ったんですか?」
 ユタはマリアにすり寄った。
「私は……」
 ユタがマリアと話している間、威吹はカンジに話し掛けた。
「カンジ。お前も頭が良い。よく考えて良い案を出してほしい」
「何をでしょう?」
「どうやったらユタの機嫌を損ねず、やんわりとあの魔道師と引き離せるかだ」
「なるほど……」
「今すぐである必要は無いし、理由は言わなくても分かるな?」
「はい」
 威吹とカンジの企み。これが後に大きなトラブルの元になるとは……。
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“アンドロイドマスター”、「狂科学者の孫娘」

2014-01-24 02:16:16 | 日記
[2月20日14:00. 財団仙台事務所 敷島孝夫&平賀太一]

「うーむ……」
 事務所内にある研究室。そこに敷島と平賀が深刻そうな顔をしていた。
 その目の前には、エミリーが寝かされていた。
「先生、どうなんでしょう?」
 敷島が不安そうな顔をして言った。
「最悪のことを考える必要があるかも……ですね」
 難しい顔をして答えた平賀。
「そんな……」

[2月14日13:05. 財団仙台事務所 敷島孝夫]

「ヒビヤ総研じゃ、大変だったそうですよ?」
「いや、まさか爆発するとは思わなくてさぁ……」
 そこへ電話が掛かってきた。
「はいはいっと」
 敷島は自分の机の上にある電話を取った。
「はい、日本アンドロイド研究開発財団総務部、敷島です。……あ、エミリー。どうした?……え?俺に客?ふーん……?アポは無かったと思うけど?まあいいや。受付にいるんだな?分かった。今行く」
 敷島は電話を切った。
「エミリーからですか?」
「ああ。いつもなら内線で掛けて来るのに、外線で掛けてきやがった。変なヤツ」
「内線の調子が悪いのかな?」
「かもしれない。この前も防災センターに掛けたら、1階のラーメン“あおば”に繋がったからな」
「そりゃ、単なる間違い電話では?」

 敷島が受付に行くと……。
「何だ?誰もいないじゃん?おい、エミリー。俺に客って……」
 その時、受付の電話が鳴った。しょうがないから、電話対応が終わるまで待つか……。
 と、思っていたのだが、
「……おい、エミリー。電話取れ……」
 何故か電話を取ろうとしない。直後にエミリーが倒れた。
「エミリー!どうした!?」
「……再起動・します。しばらく・お待ち下さい」

 その後もエミリーはシャットダウン、再起動を繰り返し、昨日にはそれもしなくなり、完全に電源が落ちてしまい、20日に至る。

[2月20日14:15.財団仙台事務所 敷島孝夫&平賀太一]

「平賀先生でも直せないなんて……」
「そもそも、今までが奇跡的なものです。まあ、科学者が奇跡なんて言葉を使うのもアレなんですけどね。エミリーは、耐用年数をオーバーしていたんです。それでも受付係をやったり、敷島さんの身の回りの世話をする分には問題無かったんでしょうけど……」
「ずっとそれでやってきましたよ?」
「その前、アリスとの件で、久しぶりにエミリーは激戦に立たされました。その後遺症かもしれません」
「ええっ!」
「とにかく残念ですが、自分の手に負えるものでは無さそうです。十条先生なら、あるいは……」
「十条理事、アメリカに行ってて、しばらく戻ってこないはずですが……。弟子の平賀先生で直せないのに、旧友に直せますかね」
「自分より長く南里先生の近くにいて、やはり自分より長くエミリー……いや、シンディまでも近くで見てましたからね。もしかしたらと思うんですよ」
 その時、敷島はハッとした。ある人物が頭に浮かんだのである。
(いや、何考えてんだ、俺……)
 敷島はすぐに打ち消した。
「一応、十条理事に連絡してみます」
「お願いします」
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