Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

日本存亡のとき             高坂正堯(講談社)

2006年12月18日 | 本と雑誌
Hitorigaten
 京都大学教授、高坂正堯氏の没後十年という。
 戦後からロシア崩壊まで、日本外交や自由主義と共産主義のせめぎあいについて、平明な表現で講義してくれていた感がある。新内閣発足後の外交について、評論願いたかった。

○世界は一つであり、数個あるいは200に分かれている
○冷戦が終わってみれば、勝っていたのは日本とドイツ
○ソ連の体制はユートピアに起源を持つ
○どのような体制の中で育ち、どのような教育を受けようが、人間はそれを越え歴史を通じて形成されてきた普遍的な価値を評価する人物が現れるものなのである
○湾岸戦争の勝敗を分けた決定的な要因は、アメリカ外交の成功であった
○米国:軍事費の削減という「平和の配当」があっても、その分は簡単に福祉関係で食い潰す
○吉田茂の外交感覚:①米国との同盟関係、②防衛力を抑える、③通商国家へ
○外交感覚:鼻のきかない奴はだめだ
○GATT-IMF体制という開放的な国際経済体制の大きな受益者
○日本より軍事力を重視する国々も、自らは平和国家であると考えている
○自由放任主義者アダム・スミス:国内秩序と国際的安全保障-政府の機能は認める
○最も必要なのは、われわれ自身の革新能力
○食管法によって保護されているのは、日本の農業そのものではなく、多くの兼業農家と農協を柱とする1955年版の日本農業
○商工省(1949年:13,822人) → 通産省(1952年:3,257人) 自由競争
○1975年残存輸入規制品目:日本22、米国1、英国5、伊10、西独18、仏33
○「外圧」利用による決定体質-「公論」による決定がほとんどない