日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

小沢氏「起訴相当」報道に思うこと

2010-04-28 17:55:28 | 社会・政治
朝日朝刊一面であるが上の見出しに続いての記事である。


私は小沢さんをかねてから胡乱臭い政治家だと思っているので、東京第五検察審査会のこのような決定には素直に賛成したいが、世間のはしゃぎように少々天の邪鬼が頭をもたげてきた。皆が誉めそやすこの検察審査会ていったい何だろうと思ってみると、実は私は何も知らないのである。もちろん最近、明石の歩道橋事故やJR福知山線脱線事故では検察審査会の議決により関係者が強制起訴されたが、私の知るのはその事実のみである。それでいて検察審査会の議決を変に有り難がるのは、考えようでは今日も報じられた詐欺事件の被害者と同じだなと思ったからである。

振り込め詐欺 指示役の男逮捕 兵庫県警
 架空の法曹団体を名乗るグループによる振り込め詐欺事件で、兵庫県警捜査2課は28日、詐欺容疑で佐賀県基山町小倉の無職、○○○○容疑者(30)を逮捕したと発表した。グループの指示役とみられ、県警は組織の全容解明を進める。

 逮捕容疑は、昨年11月19日、「東京管財事務局」と名乗り、同県加古川市の女性(53)に民事訴訟を起こされたと偽った内容のはがきを送りつけ、裁判費用などとして60万円をだまし取ったとしている。容疑を否認しているという。
(2010年4月28日 13:38  産経新聞大阪本社公式ニュースサイト)

被害者が「東京管財事務局」というのをそのまま信じたのがいけなかったのである。だから私も検察審査会に距離を置くことにして、まず検察審査会とは何なのかを調べようと思ったが、朝日朝刊第二面に解説記事が出ていたので、その要点を引用する。


「くじで選ばれた11人の市民」がそのメンバーだそうであるが、検察審査会という厳めしい名称の会にしてはあまりにもあんちょこな選び方のような印象を持った。東京検察審査会と地名がついているからには、主な地方自治体にはそれぞれ検察審査会があって、その地域の有権者からくじで選ばれるのだろう。くじの具体的なやり方が公開されているのかどうか、ちょっと調べただけでは分からなかった。

そういうことが気になるのも、審査員の質を想像したからである。くじで選ばれた人の中からさらに何かの基準や条件で選抜をしているのだろうか。そうだとすると恣意的な選択が入ってくる可能性は高くなることだろう。モンスター・ペアレンツが加わってきたら大変だと思うし、正義感溢れる大学生ばかりならまた面白いかなと、と見こう見するにはよいとしても、少なくとも起訴という法律的手続きを巡ってその是非を問うかなり高度に専門的な問題に、いったいどのような立場で審査員が関与できるのかと思うと、私は不安を感じてしまった。素人談義に過ぎないのではないかと思ったからである。それに審査員が素人という前提に立てば、その判断を市民、国民の目線とするには11人では少なすぎる。サンプル数が多いだけにこれではマスメディアのアンケート調査の方がまだましであろう。

ところが読売新聞に掲載された今回の議決要旨を見ると、素人が書いたような文章ではない。それもそのはず「議決書の作成を補助した審査補助員 弁護士 米沢敏雄」とあるように、弁護士の文章なのである。審議内容は一切公開されないから、われわれの目に触れるのはただこれだけ。審査員がどのような素人談義を交わしたのか分からないが、それをまとめたのがこれです、と弁護士に示されたら素人はそのまま頷かざるをえないでああろう。議決要旨はこのようなものであると私は理解した。ところが、である。朝日朝刊は第一面には『幹事長辞任 否定』と大きく見出しを掲げ、素人判断の「起訴相当」に過ぎないのに、それで幹事長辞任を取り沙汰しないといけないかのような大仰なとらえ方をするし、また社説でも『「起訴相当」 小沢氏はまだ居直るのか』と極めで高飛車であるが、その拠り所が素人集団の判断に過ぎないとはこれまた単純である。素人談義に花を添えるようなことでお茶を濁すのは『ガス抜き』に手を貸すだけのことである。そんなことよりは政治家の責任逃れを許さない抜本的な対策の確立を訴えるべきであろう。議決要旨にもあるように、「秘書に任せていた」と言えば、政治家本人の責任は問われなく逃れ道を一切認めない法改正を行うことがその一つであることは間違い無い。マスメディアがその他大勢と同じようにはしゃいでいては話にならない。