日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

映画「亡国イージス」を観て

2005-08-04 10:13:45 | 社会・政治
私の手元にある福井晴敏著「亡国のイージス」の奥付には第六刷発行2000年1月13日とある。多分その頃に読んだのであろう。だからというか、内容をまったくといっていいほど覚えていない。読み返すこともなく心を空にして映画館に向かった。

平日の昼下がり、全席指定で入った映画館は前二列ほどを除いてはほぼ満席である。7月30日の封切日から間もないからであろうが、それにしても前回ガラガラだった「戦国自衛隊1549」の時と比べると飛びきりの大入りである。私のような年配者が圧倒的に多いが若いカップルもちらほら見える。私は『大日本帝国海軍』の後裔を覗き見する好奇心もあってやって来たが、ひょっとしたら同類が多いのかも知れない。

観終わった結論から先にいうと、SFの「戦国自衛隊1549」とは違い大いに楽しめた。居眠りもしなかった。

小説の内容は覚えていないのでこの映画だけで云うと、平和ボケで護るべき国を亡くしてしまった『日本』と、それを憂えて決起する『革新青年将校』の対立の構図にしたほうが分かり易くリアリティも出せたと思う。それなのに『革新青年将校』を変に第三国のテロ工作員と手を組ませたりするものだから話の筋がややこしくなって、白黒対決に馴らされている私の頭ではついて行くのに苦労した。『日本』を脅すのであれば2・26事件の帝国海軍が取った行動に習いミサイルの標的を首都に向ければ十分であろう。わざわざテロリストに持ち込まさせた『大量破壊兵器』を用いる必然性は感じなかった。この映画の撮影に自衛隊の協力が欠かせない以上、『第三国』の脅威を表に出さざるを得なかったのかどうか。

お目当ての「イージス艦」にはお目にかかれた。艦首側から艦橋構造物を見上げるように撮った情景がスクリーン一杯に広がるとさすがに偉容がある。慌ただしく探したが艦首に『菊のご紋章』があったのかなかったのか確かめられなかったのは残念であった。

それよりなにより『イージス艦』を攻撃すべく発進した航空自衛隊戦闘機のパイロットと『司令部』とのやりとりがすべて英語であることに注目していただきたい。あらためて日本が依然として米軍の占領下にある実体を再認識できる。実戦で司令部が攻撃されて英語をわかる人間がやられたらどうするのだろう、と余計なことまで気になった。

余計なことと云えば、この映画館は完全入れ替え制・全席指定をうたっている。帰りがけに出口で一人の年配者が係員に頼み込んでいた。「半分寝ていたので筋がわからへん。もう一遍観させてぇや」と。どうなったかな。