「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「十字草」

2014-06-16 00:48:16 | 和歌

 梅雨時は「十字草」が一斉に咲いて、目を楽しませてくれる。

 木蔭など半日陰が大好きで、地下茎で繁茂するので、一般的には雑草の扱いで「どくだみ」と呼ばるが、可憐な花に相応しい「十字草」の呼び名に軍配を上げたい。

 ところが「白十字の花が咲いて」と思いきや、この花弁風の部分は総苞片と呼ばれ、中心の花を包む働きをするのだという。蕊の様に見える部分が小花の集合だというから、いとも簡単に騙されていたのだ。

 雑草よろしく身近な存在だが、この草の持つ極めて広範囲な薬効が漢方では高く評価され、葉も茎も根もいわゆる全草として利用され、「十薬」の名前で親しまれている。

 虚庵居士は加齢とともに発汗と汗疹に悩まされ、シッカロールが手放せなくなった。そんな折、知人から「十薬の日陰干し」の効果を伝授された。

 少量をタオルに包んで風呂に入れるか、「十薬」を浸したお湯で、患部をそっと拭いなさいというご忠告であった。早速試みたら、効果テキメンだった。今年も庭の「十薬」を抜き取り、ガレージに吊るして日陰干しを確保した。これからは汗ばむ日が続くので、「十薬」が欠かせぬ毎日になろう。




           可憐にも清楚な花を「ドクダミ」とは

           「十字草」との呼び名もあるに


           白十字の可憐な花と思ひしに

           蕊の姿に 小花は群れ咲く 


           様々な薬効ゆえに「ドクダミ」と

           はたまた「十薬」 思いを籠めしか


           いと痒き汗疹の悩みに「十薬」の

           救いを頂く爺の夏かな