梅雨時は「十字草」が一斉に咲いて、目を楽しませてくれる。
木蔭など半日陰が大好きで、地下茎で繁茂するので、一般的には雑草の扱いで「どくだみ」と呼ばるが、可憐な花に相応しい「十字草」の呼び名に軍配を上げたい。
ところが「白十字の花が咲いて」と思いきや、この花弁風の部分は総苞片と呼ばれ、中心の花を包む働きをするのだという。蕊の様に見える部分が小花の集合だというから、いとも簡単に騙されていたのだ。
雑草よろしく身近な存在だが、この草の持つ極めて広範囲な薬効が漢方では高く評価され、葉も茎も根もいわゆる全草として利用され、「十薬」の名前で親しまれている。
虚庵居士は加齢とともに発汗と汗疹に悩まされ、シッカロールが手放せなくなった。そんな折、知人から「十薬の日陰干し」の効果を伝授された。
少量をタオルに包んで風呂に入れるか、「十薬」を浸したお湯で、患部をそっと拭いなさいというご忠告であった。早速試みたら、効果テキメンだった。今年も庭の「十薬」を抜き取り、ガレージに吊るして日陰干しを確保した。これからは汗ばむ日が続くので、「十薬」が欠かせぬ毎日になろう。
可憐にも清楚な花を「ドクダミ」とは
「十字草」との呼び名もあるに
白十字の可憐な花と思ひしに
蕊の姿に 小花は群れ咲く
様々な薬効ゆえに「ドクダミ」と
はたまた「十薬」 思いを籠めしか
いと痒き汗疹の悩みに「十薬」の
救いを頂く爺の夏かな
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