「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「柘榴・ザクロ」

2013-10-26 14:41:26 | 和歌

 ご近所から、「柘榴・ザクロ」の実を頂いた。
分厚い皮が何か所かでパックリ割れて、赤い透明感のある粒々が溢れんばかりだ。

 甘酸っぱい独特の味覚が想い出されて、早速食べたかったがじっと我慢して、頂戴した珍品を暫らくテーブルに飾った。表皮は傷だらけ、瘤だらけで何とも無骨な姿だが、割れ目から見えるルビーのような粒々との対比が絶妙だ。

 これだけ分厚い皮が割れるのだから、かなり強烈な力が働いたに違いない。
柘榴の実はテニスボール程の大きさまでは、表皮は赤い色が艶やかだが、更に大きくなるに従って表皮は艶を失い、瘤々が次第に大きくなる。 やがて実が熟す頃には不規則な割れ目が走り、次第に大きく割れてこんな姿になるのだ。

 中のプリプリの粒々が成長し、果汁をたっぷりと含むので体積が膨張して、分厚い皮を割るのかもしれない。或はまた、粒々に含まれる果汁を大切に守るために、柘榴の分厚い皮は、自らを割る特殊な能力を備えているのかもしれない。

 テーブルに飾った柘榴の実を眺めつつ、様々なことが想い出された。
今年の初夏には、珍しい「八重咲き柘榴」の花に出合った。そしてまた、虚庵居士が幼児のころ食べたザクロと、お婆ちゃまのお話も懐かしい。




           ご近所の枝もたわわな柘榴一つ

           枝からもぎ取りどうぞとたまわる


           両の手に大切そうにザクロ持ち

           わぎ妹子笑みつつ帰り来しかな


           無骨なる分厚い皮がパックリと

           口開け溢れるルビーの粒々


           粒々の輝き見れば果汁満ちて

           早くたべてとせがむ風情ぞ


           逸る気を静めて暫しテーブルに

           珍品飾り眺め入るかな


           眺むれば柘榴にものこそ思われぬ

           稚児の昔のお婆の話しも