珍しい「八重咲き柘榴・ザクロ」が、しかも斑入りの花びらで咲いていた。
実のなる「柘榴・ザクロ」の花は、子房の部分が小壺の形をしていて、縁が花びら風に切り込んでいる。 小壺はやがて成長して、ザクロの果実の厚い皮になるのだ。ザクロの果実のお尻には、花びら風の小壺の縁が其のまま残っていて、秋になれば厚い皮がぱっくりと口を開け、「食べてたべて」とせがむ風情が何とも言えない。
八重咲きの柘榴も果実が生るのだろうか? 或いは観賞用の園芸種で、果実は生らない品種なのであろうか?
人間は、草花や樹木にまでも品種改良の細工を凝らすので、天然種か否かの判断が難しい。
柘榴の実に纏わる鬼子母神の昔話を、虚庵居士は子供の頃に聞いたことがある。 奇怪なお話だった。それだけに鮮烈に記憶にとどまったのだろう。
かなり以前に「柘榴とお婆ちゃま」とのタイトルで掲載した。併せてご覧頂きたい。
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八重に咲く柘榴の花を見上げれば
初めて食べた果実を思ほゆ
華やかな斑入りの花の結ぶ実を
思いも描けず柘榴の姿を
枝垂れ咲く八重の柘榴の二輪かな
花の重みに堪えかねるらし
皮割れて中よりのぞく紅の
艶やかな実を瞼に描きぬ